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優しさの種をまこう- 東南アジア移民たちを照らす温かな光 (TAIPEI Quarterly 2017 秋季号 Vol.09)

アンカーポイント

発表日:2017-09-14

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優しさの種をまこう
東南アジア移民たちを照らす温かな光

 _ 凃心怡  写真 _ 許斌、劉徳媛
 

遠方よりはるばる台湾へやって来た東南アジアの友人たちに関心を寄せ、彼らがやすらぎや支えを得られる場所を整え、この地で自分らしく生きる人生の舞台を見い出すことができるよう、思い思いのやり方で支援する人々が台北には存在します。
燦爛時光の発起人、張正さんは東南アジアの出稼ぎ労働者に思いやりの気持ちを示したいと考え、台北駅で「地べた式図書館」を始めました。(写真/許斌)
▲燦爛時光の発起人、張正さんは東南アジアの出稼ぎ労働者に思いやりの気持ちを示したいと考え、台北駅で「地べた式図書館」を始めました。(写真/許斌)

 

慣れ親しんだ言葉が
望郷の念を癒やす

かつて東南アジア諸言語による新聞「四方報」の編集長を務めた張正さんは、友人の提案をきっかけとし、東南アジアを訪れる台湾旅行者に自分の知らない言葉で書かれた現地の書籍を1冊持ち帰って寄付するよう呼びかける運動をスタートさせました。そして運動を通じて集まったルーツの異なる多様な書籍を基に東南アジア専門貸本店「燦爛時光」(新北市中和区)をオープン。さらには毎週日曜日、台湾鉄道・台北駅のコンコースで「地べた式図書館」を開くようになりました。

張さんは「燦爛時光」のことを「荒野に灯る一柱の火」と形容します。そして「私たちは移民たちがここで暖を取れるようにしています。一晩中、火を絶やさないことは無理ですが、慣れ親しんだ文字で書かれた書物の世界という一時な避難場所を彼らに提供することはできます」と語ります。地べた式図書館には、おかげで本のページをめくりながらのんびりと休日を過ごせるという読書好きのインドネシア女性がいたり、故郷の言葉で書かれた本を読むことで失恋に傷ついた心を癒やせたという移民の若い女性がいます。ここは多くの東南アジア移民や出稼ぎ労働者にとって共におしゃべりを楽しむ憩いの場ともなっています。

張さんの書籍寄付運動は台湾全土に広まり、現在では書籍の貸し出し拠点も約40カ所に増えました。台北市文山区のイベント用レンタルスペース「紋鳴号(Warming House)」もその一つです。同スペースのオーナー、簡暁軒さんによると、本を借りに来る人は決して多くないそうですが、意外にも書籍を並べた小さな本棚がまるで1本の街灯のように台湾人の注意を引き、ある人は面白がり、ある人はすばらしい試みだと称え、またある人は出稼ぎ労働者の問題に関心を寄せるようになるのだといいます。簡さんは、東南アジアからやって来た新しい友人たちの助けとなるよう、より多くの台湾人が温かい気持ちを示してほしいと願っています。
移民や出稼ぎ労働者たちにとって台湾鉄道・台北駅は、休日の大切な集いの場となっています。(写真/許斌)
▲移民や出稼ぎ労働者たちにとって台湾鉄道・台北駅は、休日の大切な集いの場となっています。(写真/許斌)

紋鳴号の東南アジア書籍コーナーを通じて多くの人が出稼ぎ労働者の問題に関心を寄せるようになっています。(写真/劉徳媛)

 ▲紋鳴号の東南アジア書籍コーナーを通じて多くの人が出稼ぎ労働者の問題に関心を寄せるようになっています。(写真/劉徳媛)

台湾と東南アジアをつなぐ「就諦学堂」

「新移民」と聞けば一般の台湾市民は、国籍も肌の色も話す言葉も台湾人とは異なる人たちと考えがちです。しかし東南アジア諸語を中心に教える語学塾「就諦学堂」の執行長で香港出身の李三財さんは、台湾で生まれ育ったわけではないけれど、台湾に暮らし、台湾人となることを選択する東南アジア華僑がいると指摘します。

「東南アジア移民たちの中には非常に高い学歴を持ち、母国においてその才能を認められていた者も少なくありません。しかし残念ながら、台湾では移民という身分からその長所を発揮できずにいます」と訴えます。彼はそんな移民たちを集めて語学教師としての訓練を受けさせ、仕事で東南アジアへ向かう人たちに現地語を教えるという役割を与えています。李さんは「就諦学堂では、これら移民の先生たちの体験を通じて台湾の若者に本当の東南アジア、真のアジアの姿を理解してもらいたいのです」と希望を語ります。

東南アジアからの移民や出稼ぎ労働者は、多様な文化が混ざり合う台北市の一員であり、働き手であると同時に、この都市に新たなエネルギーを注ぐ存在となっています。そんな彼らがこの地で安心して暮らす上で、心ある人々が見せる優しさはすぐ寄りかかることのできる肩のような役割を果たすのです。
就諦学堂の李三財執行長は、東南アジアからやって来た華僑を含む移民たちが自信を付け、より良い人生を送れるよう支援しています。(写真/劉徳媛)
▲就諦学堂の李三財執行長は、東南アジアからやって来た華僑を含む移民たちが自信を付け、より良い人生を送れるよう支援しています。(写真/劉徳媛)

台湾の一般市民に東南アジアに関する理解を深めてもらおうと、就諦学堂には関連中国語書籍の蔵書が多数あります。(写真/劉徳媛)
▲台湾の一般市民に東南アジアに関する理解を深めてもらおうと、就諦学堂には関連中国語書籍の蔵書が多数あります。(写真/劉徳媛)

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