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ムハンマド・イサーム・M.ハッシャーン -サウジアラビア王国通商事務所代表 (TAIPEI Quarterly 2017 秋季号 Vol.09)

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発表日:2017-09-14

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ムハンマド・イサーム・M.ハッシャーン

サウジアラビア王国通商事務所代表

 _ Rick Charette     写真 _ 游家桓
 

ムハンマド・イサーム・M.ハッシャーン氏は、さまざまな世界に生きている。異なる人々の文化を深く探究する情熱を持ち、若いながらも数々の土地でその文化に没頭してきた。サウジアラビア王国に生まれ、数年間かけ米国はボストンのサフォーク大学で経営管理と国際情勢を学んだ。言語研究のために欧州に滞在したことから、欧州文化にも詳しい。現在、台北にあるサウジアラビア王国通商事務所の代表として、初めて触れる東アジア文化を探索している。
TAIPEI 秋季号 2017 Vol.09 ムハンマド・イサーム・M.ハッシャーン -サウジアラビア王国通商事務所代表 


台北での目標は

「私は去年、2016年初めに台北に派遣されました。個人的な目標としては、この地を深く知り、中華圏の伝統と文化の奥行きを体験したいです。国立故宮博物院には何度も行きました。深遠で驚くほど幅広い中華文化を教えてくれる場所を頻繁に訪れています。」

「仕事の面では、台湾とサウジアラビアの関係を強化できるようベストを尽くしたいです。両者の深い関係は、蒋介石総統がファイサル国王の台湾訪問を迎えられた1974年に始まりました。これが最初のステップでした。現在、サウジアラビアは台湾にとって8番目の貿易相手国で、中東諸国の中では1番目です。我が国の主要産品はもちろん石油ですが、他にも農産物、特にデーツを多く輸出しています。一方、台湾からは先端技術やハイテク製品が入ってきます。また農業などの分野で互いに協力しています。我が国のデーツなど青果の生産で、台湾の技術者が重要な役割を果たしています。」
 

台北と台湾の印象は

「台北は本当に個性的です。実は台湾のことは配属前から知っていました。好きなジャーナリストにトーマス・フリードマン(経済学者、作家、ニューヨーク・タイムズのコラムニスト)という人がいて、台湾についてのいろいろな文章の中で、米国の次に好きな国のひとつだと書いています。私が気に入っている点は、天然資源は少ないけれど起業家精神にあふれた人々がいることです。国民に投資する国は素晴らしいと思います。こういう投資は長く続けば、長期的なリターンがあるからです。」天然資源は有限だけれど国民を育てることはその国自身の力が成長を促すと語ります。

「だから台湾について、少しは予備知識があったのですが、初めて来た時、人々が非常に親切でオープンなことに一番驚きました。来るまで、おそらく異なる文化を持つ者として孤独を感じるだろうと考えていましたが、これほど開放的な場所だとは思ってもみませんでした。」

「よく人に言うのですが、アジアの暮らしを始めるなら台湾は最高の場所です。非常に国際的で、人々は以前に増してオープンで洗練されています。実際は島国で、人々は島国育ちらしいふるまい、つまり外から来た人に対し控えめで、知り合ったばかりの時は遠慮がちな態度を取る一方、オープンで国際的です。」
 

「ムスリムフレンドリー」は旅人をサポートしているか

近年、台湾政府と台北市はムスリム旅行者の受け入れ環境を組織的に整備してきました。公共施設に祈祷室を設置したり、ハラル対応のレストランやホテルの情報を提供しています。

「この取り組みを知り、素晴らしいと思いました。台湾を訪れるアラブ人ビジネスパーソンの多くは台湾の食べ物に興味を持ちますが、調理環境の問題や宗教的、文化的な壁に直面します。新鮮な海鮮料理はよくても、豚肉はもちろん禁じられています。台湾では、ラードが茹でた麺に使われているなど、意外なところで豚肉製品に出くわすことがあります。ですから、こうした取り組みは大変役に立つものです。しかし、まだ情報がムスリム旅行者が受け身では入手できず、すべてに行き届いているわけではないようです。そのため、今でもどこで食事をしているのかと旅行者によく聞かれます。」

「イスラム教の教えには、従うべき規則があります。しかし、米国や台湾などハラル対応の店が少ないところでは、もっと自由に食事を楽しんでもよいのです。厳格な人もいますが、人によります。私は柔軟なほうですが、私にとって最も重要なのは清潔であることです」新鮮さもまた大事だと言います。台湾の海鮮は素晴らしく、いろいろなものに挑戦しているそうです。
 

台北でお気に入りの
余暇の過ごし方は

「天気によります。天気がよければサイクリングに行きます。台北盆地を囲む山々にハイキングへ行ったりもします。北部の陽明山国家公園、信義区の南にある象山を含む四獣山(象山、獅山、豹山、虎山の総称)の登山路などはアクセスしやすいです。台北では手軽に日帰りハイキングができ、とても楽しいです。」

「あとは好みのレストランがないか、毎週ちょっとしたリサーチをしています。台北には小さくて雰囲気の良い食堂が数えきれないほどあります。大通りではなく路地にあって、足を踏み入れればカフェや食堂など小さくて素敵な宝物を発見できます。地元の人々が暮らす路地裏に入りこむのが好きなんです。オフィスのある天母と市中心地で、裏通りをくねくねと上ったり隣の路地へ下ったりします。魅力的で新しい知る人ぞ知る場所に必ず出会えます。」
 

旅行者が
「台北で経験すべきこと」は

ハッシャーンさんには、台北を訪れる旅行者にぜひ行ってほしい場所がたくさんあります。

「まず温泉です。海外からの旅行者の多くが温泉文化を体験するためにやってきます。台北の山間部は景色も素晴らしくアクセスもしやすく、きちんと整備された登山路もあります。」

美味しい牛肉麺や海鮮について話してから、こう語りました。「新鮮な果物もぜひおすすめしたいです。美味しくて種類が豊富です。驚くなかれ、耕地が貴重なのに、果物の値段は大変手頃です。」おそらく輸送費が他の先進国と比べて安いからだと彼は指摘します。

台北の医療観光もおすすめだと言います。「健康診断や治療ができるハイレベルの施設があります。まるでホテルみたいですが、病院であり医療施設でもあるのです。中東ではレバノンとヨルダンが医療観光で有名です。台北と台湾のサービスと設備はトップクラスですし、費用も他の国と比べて非常に安いです。」
 

台北の観光を強化するには

「台北は観光産業として最高の都市となる可能性を秘めていると感じます。足りないのは宣伝でしょう。文化的な問題が関係しているのかもしれません」ハッシャーンさんはより多くの場所に魅力的なカフェやレストランが集まり、特にビーチや水辺で魅力的なアウトドア活動が楽しめるようになってほしいと言います。こういうエリアは比較的静かで、華やいだな雰囲気に欠けると感じるそうです。彼は、騒がしい場所より隠れ家的な場所のほうが旅行客を引きつけると考えています。ホテルのあるエリアについては、夕食の後、旅行客は部屋に落ちついてしまいがちなため、「夜、人々をホテルの外へ連れ出す」ような人気スポットがあればベターです」と話してくれました。こういう楽しさが、この街により多くの旅行客を引きつけることとなるでしょう。

「海外から台北を訪れる人々のほとんどはビジネス目的です。こういうアトラクションが人々を引きつけより多くの時間を過ごしたり、今度は友人や家族と来たいと思わせるのです」彼は花博公園の「MAJI MAJI集食行楽」が良い例だと言います。ライフスタイルマーケットをうたうこの市場にはレストラン、パブ、ファストフード店があり、中央エリアには露天の座席が設置されています。外国人居住者だけでなく海外からの観光客にも人気で、出店者としてやってくる外国人もいます。音楽ライブなど屋外イベントが平日の夜、週末、休日に行われています。

台北北部にある北投温泉も、北投公園周辺にオープンエアのカフェが集まれば、豊かな歴史と温泉文化をより引き立てると言います。「ほとんどの人が温泉に入るためだけにやってきます。でも、素敵なカフェがあれば自分の部屋で温泉につかるだけでなく、他者とのコミュニケーションを通じた共通の体験が旅のアクセントとなり、より多くの旅行客を呼び寄せることになると思います。」
 

最後に

「最後に、大切なことを伝えたいと思います。今日は国家や都市のムスリムフレンドリーについて話しました。しかし、実際それほど複雑ではありません。どの場所もムスリムフレンドリーであることができます。簡単なことで誰もが自分らしく楽しめる場所だということです。ムスリムに限らず、どこにでもいる保守的な人は、ナイトクラブのような場所には行きません。彼らは山へ行ったり、自然に親しんだり、美味しいステーキを楽しみます。台湾や台北の人々がムスリムフレンドリーな旅先を目指しているのはよく理解していますが、私はいつもそんなに複雑なことではないと言うのです。」

海外からやってくるムスリム旅行者がこの街でより楽しい時間を過ごせるよう、台北市はさまざまな整備に取り組んでいます。しかし、ここに住むムスリムの目に映る台北は、実は以前から魅力的で快適なムスリムフレンドリーな街だったのです。
TAIPEI 秋季号 2017 Vol.09 ムハンマド・イサーム・M.ハッシャーン -サウジアラビア王国通商事務所代表

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