TOP メインコンテンツセクションに行く

台北観光サイト

Beyond Taipei 台北から台湾を見渡す 日台交流協会台北事務所 沼田幹夫代表 (TAIPEI Quarterly 2017 冬季号 Vol.10)

アンカーポイント

発表日:2017-12-18

1832

Beyond Taipei 台北から台湾を見渡す
日台交流協会台北事務所
沼田幹夫代表

_ 江欣盈    写真 _ 施純泰
TAIPEI 冬季号 2017 Vol.10 Beyond Taipei 台北から台湾を見渡す 日台交流協会台北事務所
沼田幹夫代表

 

台湾と日本の歴史的つながりは深く、その始まりは16世紀まで遡ることができます。以後400年に及ぶ台日関係は、政治的な覆いを取り除けば、民族、文化、言語、貿易、工芸、人の思いが織りなす、果てしなく広がるな帆布のような姿として立ち現れます。1972年の国交断絶後、日本と台湾は実務的な外交関係を保つため、非公式な交流の窓口機関としてそれぞれ「財団法人交流協会」と「亜東関係協会」を設立し、経済‧貿易面での協力を続けました。そして45年間の努力が実り、2017年に交流協会が「公益財団法人日本台湾交流協会」、亜東関係協会が「台湾日本関係協会」へと名称を変更したことは、両国の実務交流を確固たるものとしたほか、友好関係の発展にとって重要な一里塚となりました。
 

思い出の地、台北と再会

20147月に交流協会台北事務所の代表に就任した沼田幹夫さんですが、これが初めての来台ではありませんでした。沼田さんが大学生だった47年前に台北を訪れた当時、台北市の規模は現在の半分に過ぎず、MRTも、台湾高速鉄路(高鉄)も、全市を網羅する路線バスもありませんでした。東区(市東部)ではインフラ建設が始まったばかりで、今や金融‧ビジネスの中心となっている信義区には一面に水田が広がっていました。一方、1970年代の西門町は最も華やかな時代を迎え、武昌街だけで映画館が10軒以上、軒を連ねていました。まさにそこは台北市民にとって娯楽の聖地であり、若者たちが帰りたくなくなるほどのグルメ天国でした。文化の近さ、通じ合う言語、そしておいしい料理の数々。台北は若かりし沼田さんに強烈な印象を残しました。それから約半世紀、沼田さんは外交官として米国、中国、香港、ミャンマーなどでの職務を歴任し、経験豊富な大使となりました。そして、40年のキャリアで恐らく最後の海外赴任となる台湾へやって来た彼は、他の国際都市と比較した上で「私にとっては台北が一番」と語ります。

台湾は日本人にとても親しみやすく、衣食住すべてであまり苦労することはありません。観光局の統計によると、2016年に台湾と日本を相互に訪れた旅行者の数は600万人を超えました。しかし、そのうち台湾から日本への旅行者が約429万人を占め、日本から台湾への旅行者は約189万人にとどまりました。単純計算すると、台湾人の5人に1人が日本を訪れたのに対し、台湾を訪れた日本人は70人に1人に過ぎず、その上、訪問先は台北市に集中しました。こうした不均衡は、総人口の差だけでなく、文化に対する認識の差が要因と考えられます。沼田さんも、台湾人は日本各地の伝統文化や自然、建築物、料理などを詳しく知っているが、日本人は台北以外の台湾についてあまり知らないと指摘します。

文化で友と交わる 尽きない台湾の魅力

既に台湾で3年を過ごし、中国語での会話にも不自由しない沼田さんは、「台湾へ来て台北だけで過ごしても、台湾を見たことにはならない」と語ります。彼はこの島の北から南まで各地の美しさを数多く挙げた上で、台湾観光の魅力は各県市、さらには小さな街や村に潜んでおり、こうした地を体験してこそ旅行者は台湾独自の魅力を感じることができると強調します。日台交流協会は2014年から17年にかけて、官民問わず多くの芸術‧文化活動を支援してきました。例えば2014年には故宮博物院所蔵の「翠玉白菜」と「肉形石」が日本で初めて東京国立博物館で一般公開されたほか、2016年からは嘉義県の故宮博物院南部院区(故宮南院)で「日本美術の粋─東京‧九州国立博物館精品展」が、台南市の奇美博物館で「おもてなし 宴のうつわ‧茶のうつわ—静嘉堂蔵日本陶磁名品展」が開催されました。これらのイベントには、様々な地域における芸術‧文化交流を通じて台湾各地に観光客の目を向けさせたいとの期待が込められていました。

一味違う台湾へようこそ

2011年に日台間で航空自由化(オープンスカイ)協定が締結されて以降、台北以外にも台中、台南、高雄と日本各地の空港を結ぶ直行便が就航していますが、台湾鉄路(台鉄)や高鉄を利用すれば、どの都市も台湾旅行に最適の出発地点となります。桃園‧新竹‧苗栗はそれぞれ、無数の溜め池、風の街、山に囲まれた天空の世界が広がります。台中‧彰化‧南投エリアはそれぞれ、鉄道と信仰、農業に関わる文化が脈々と受け継がれています。雲林‧嘉義‧台南エリアは豊かな歴史と文化が息づく海産物と米の名産地です。寄せては返す波と青い空の南国、高雄‧屏東エリア。平原と山なみ、切り立った渓谷で知られる宜蘭‧花蓮‧台東エリア。そして首都としての輝きを放つ台北。

「日本と台湾の若者が友だちになること、それが私の願いです」という沼田さんの言葉は、台湾の全ての若者の願いでもあります。フォルモサ(美麗島)の名で知られるこの島が生まれてから数百万年の時が過ぎたと言われますが、太平洋に浮かぶ「台湾」という船はまだまだ若々しく、美麗、勇敢、情熱、誠実、革新という名の乗組員が黒潮の上で帆を掲げ、櫓をこぎ、世界に向かう航海へと出発したばかりです。

 

公益財団法人日本台湾交流協会台北事務所

日本の対台湾窓口機関で、政府に代わり経済、文化、学術、技術といった分野における交流を進めるほか、日本人旅行者や在台日本人ビジネスパーソンの入国、ビザ、教育、就業、生活に関する支援および相談など、在外公館と同様の業務を行っています。

台北市松山区慶城街28号(通泰商業ビル)

02-2713-8000

査証等受付時間:月~金曜‧

9:0012:3013:3016:00

https://www.koryu.or.jp/taipei/ez3_contents.nsf/Top

 

国立故宮博物院

「故宮」の名で親しまれ、中国の歴代王朝秘蔵の文物を数多く所蔵しています。新石器時代から現代までの8,000年間にわたる絵画、書、各種器具、彫刻、歴史的文献など19のカテゴリーに跨る70万点近くを擁し、台湾では最大規模の博物館であり、世界に名だたる中国芸術と漢学の研究機関でもあります。中華文化の愛好家には必見の施設です。

台北市士林区至善路二段221

年中無休:08:3018:30

夜間開館:每週金、土18:3021:00

関連写真

最近の人気記事

Top