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平凡なものを 素敵に変える デザイナーの手が創る 生活のぬくもり (TAIPEI Quarterly 2018 春季号 Vol.11)

アンカーポイント

発表日:2018-03-16

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平凡なものを
素敵に変える

デザイナーの手が創る
生活のぬくもり

_ 張文馨   写真 _ 劉徳媛

TAIPEI 春季号 2018 Vol.11 平凡なものを 素敵に変える  デザイナーの手が創る 生活のぬくもり

▲活況が続くフラワーデザインと花き産業は生活を豊かにします。(写真/劉徳媛)

 

台北はさまざまなデザイン分野の人材とアイデアが集まる大都市です。華山1914文化創意産業園区と松山文創園区だけでなく、各地で不定期に行われるフリーマーケットやデザイン展も新しい風を常に吹きこんでいます。近年、台北で開催されたデザインによる都市振興プロジェクト「2016 世界デザイン首都(WDC)」や「台湾デザイン・エキスポ」などの大型イベントはクリエイティブなパワーが結集しただけでなく、人々にさまざまな形でデザインに触れる場を提供しました。デザイナーにとって商品を開発してブランドを立ち上げるまでの道のりは、新しいアイデアだけに頼るのではありません。産業の各方面との協力があってこそ、その創造力をいつまでも持続させることができるのです。

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▲アイデアを商品にすることが産業を持続可能にする道です。(写真/劉徳媛)

 

22 Design Studio 
初心を忘れないデザイン

古いアパートの1階と地下室。デザイナーの游聲堯さん率いる若いチームが硬く冷たいコンクリートで温かみのある製品を作っています。2005年、大学を卒業したばかりの游さんと鄭伊婷さんは若者らしい情熱とパワーでオリジナル商品「コンクリートリング」を生み出しました。露店販売からオフィスを構えるようになり、さらにクラウドファンディングで資金を集めブランドを立ち上げます。22歳のあの頃の初心こそが最も大切だと考え、その青春時代を記念するために「22 Design Studio」というブランド名をつけました。この名前で初心を忘れぬよう自分自身に言い聞かせているのだそうです。

「コンクリートリストウォッチ」は「22 Design Studio」ブランドの中で人々に知られるようになった最初の商品です。クラウドファンディングサイト「嘖嘖zeczec」でブランドをアピール、資金集めに成功しました。游さんはアイデアを商品にし、さらにコンセプトショップをオープンさせます。現在「22 Design Studio」の製品にはシャープペンシルや各種の時計があり、「四度空間リストウォッチ」は改良に改良が重ねられました。歩留まりの低いコンクリート製品にとって、新たなアイデアの実現はどれもが大きな挑戦です。

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▲硬く冷たいコンクリートが創造力によって温かみのある時計になります。(写真/劉徳媛)

 

クラウドファンディングは気軽に夢を実現する手段だとばかり思われています。しかし、游さんが悟ったのは、クラウドファンディングの成功は、運ではなくデザイナーのコンセプトとアイデアを商品化できるかどうかにかかっているということです。新たなブランドはそのストーリーを語り続け、常に人々とコミュニケーションを図らねばなりません。とくにクラウドファンディングはブランドに対する人々の信用に頼るもので、「誠実」であってこそ製品は支持され続けることができます。またクラウドファンディングを通じたフィードバックによって、アイデアが市場のニーズにマッチしているかを知ることもできる、と游さんは言います。

路地裏にひっそりとたたずむ「22 Design Studio」にはデザインアトリエと工房があり、近所には同じように起業したデザイナーが数人います。路地裏、家屋、アパートに人々が集まってお互いに協力し、資源を共有し、小さなデザインの集積地を形成する、これは今や台北のデザイン産業が生きていくための道となり、そこにはさまざまな新しいデザインが開花しています。

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▲游聲堯さんは情熱とクリエーティビティを冷たいコンクリートを使った製品に注ぎます。(写真/劉徳媛)
 

S. FLOWER石花・芸
自然を生活の中へ

花き産業とフラワーデザイン産業は切り離すことができません。彩りを添え環境を美しくしたり、年中行事や祝い事に飾られたり、こうして花を利用することで、花き産業とフラワーデザイン産業は成長し続けています。花は人々の生活が豊かになったことを象徴するだけでなく、経済発展の重要な指標ともなっています。

S. FLOWER石花・芸」のデザイナー、石仁傑さんは、フラワーデザインの世界に入って20年近くになります。子どもの頃から草花を愛する母親や花屋を営む隣人が植物で生活空間を彩るのを見て育ち、自然に草花に興味を持つようになり、知識を身につけた石さんは、やがてフラワーデザイナーとなり、自然を生活の中に取り込むことに力を注ぐようになりました。

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▲アートとカルチャーは台北の産業を動かす力です。多くの若者がアイデアと資源を共有してさまざまな新商品を生み出しています。(写真/劉徳媛)
 

四方を山に囲まれた台北では、大自然に親しむことは難しくありません。さらに花き市場やフラワーデザインの展覧会で、海外のファッショントレンド情報も容易に手に入ります。フラワーデザイン産業は活況が続き、近年では起業を目指す若い世代に人気です。多くの人がフラワーデザイナーという職業に無限の夢を抱いていますが、石さんはこの仕事の背後にある難しさと苦労をこう話します。まずフラワーデザインは材料費が大きな問題です。ハイクラスの商品を作るためには、材料のコストも高くつきます。とくに近年人気のプリザーブドフラワーは台湾の製作技術がまだ成熟しておらず、材料は輸入となるためコストを抑えることはできません。しかし最高の作品を顧客に提供したいと思わないデザイナーはいないので、利益を削ることになるのだそうです。

S. FLOWER石花・芸」の顧客は現在ほとんどが企業で、町中にある花屋とは少し異なります。しかしどのような規模の店であれ、ネットショップは重要な販路です。ネットショップはフラワーデザイナーにとって便利なだけでなく、プロフェッショナルの重要性をより際立たせます。草花の本来の姿をよく理解していること、さらに芸術を観賞して感性を磨いておくことなど、基礎がしっかりしていなければ、やみくもに起業するのは危険でしょう。石さんは近年、フラワーデザインを教えることと作品の創作に打ち込んでいます。中国から招かれることもよくあり、台湾のフラワーデザイン産業にとって良い刺激となっていることは間違いないでしょう。

フラワーデザインは自然を生活に取り入れ、コンクリートだらけの都市に豊かな生命力と色彩を添えてくれます。フラワーデザイナーの努力が台北の産業に活力と繁栄をもたらし、都会の生活をより美しいものにしていくのです。


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▲フラワーデザイン産業は農産業に成長をもたらすだけでなく、生活をより色鮮やかにしてくれます。(写真/劉徳媛)

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▲石仁傑さんはフラワーデザインで生活をより素晴らしく彩ります。(写真/劉徳媛)

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