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紙彫刻の芸術家 — 成若涵 繊細な指先が生み出す美しい世界 (TAIPEI Quarterly 2019 春季号 Vol.15)

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発表日:2019-03-22

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TAIPEI #15 (2019 春季号)

紙彫刻の芸術家 — 成若涵 繊細な指先が生み出す美しい世界 

文 = 黃翊庭 訳者=下山敬之 写真 = 王漢順 


彫刻刀を握った手が落ちた場所に新しい世界が生まれていきす。 紙彫刻というだけあって成若涵 ( チェンルオハン ) さんが彫刻刀を 使うのは様々な色の紙の上です。描く線の幅や陰影の強弱によって 全く異なる彫刻作品を作り出します。 

成さんが芸術家を志して から7年という歳月が経 過しました。この業界に 入る原因となったのは、 大学卒業前に交通事故に 遭ってしまい療養を余儀 なくされたからです。元々 内定が決まっていた会社 もありましたが、療養期 間中に自分の未来や職業、 人生について考えました。 その時期に「讓天賦自由 (和訳版 : 才能を引き出 すエレメントの法則)」 という本に出会ったこと から、自分が幼い頃に切 り紙が好きだった事を思 い出しました。そこから 母の協力もあって普通の 人生から外れて、自分の ブランドを創立するに至 りました。 TAIPEI 春季号 2019 Vol.15--紙彫刻の芸術家 — 成若涵 繊細な指先が生み出す美しい世界
頑固こそ作品の肝 
成さんは自身の性格を 「とても頑固で根性があ る」と表現しています。や りたいと思った事は絶対に できる、絶対にやれると思 って取り組むそうで、この 仕事を始めたときは、昼間に自宅で創作活動に励み、 夜は家庭教師の仕事をして 生計を立てていました。そ れから数ヶ月後に〈金包里鴨肉閣〉という大きな注文 を受けた事で知名度が高く なりました。 

作品のコンセプトは伝統 や歴史と現代の文化を組み 合わせることが多く、一番 有名な作品である〈紙彫 刻‧台湾百景上河図〉は 「動く清明上河図」という 展覧会に影響を受けて生み 出されました。この作品の 制作には 2012 年にク ラウドファンディングを使 って集めた資金 23万元と他 の注文から得た収入が使わ れています。その中でも成 さんが一番好きな〈鹽埕, 国。参捌,家〉は一人で高 雄へ行き、歴史文化の調査 と当時の生活を体験するこ とで着想を得ました。半年 にも及ぶ制作時間かけて、 現代人の魂と歴史ある町を ぶつかり合わせることで作 品が生み出されました。成 さんはこの経験を通して台湾という場所をより愛せる ようになったと言います。 TAIPEI 春季号 2019 Vol.15--紙彫刻の芸術家 — 成若涵 繊細な指先が生み出す美しい世界►紙や布など使用する素材は違えど、全ての作品に 彼女の魂が宿っています。

文化の潤い 豊富な 創作 
幼い頃から台北で育った 成さんは、百景図のプロジ ェクトを通して中部や南部 に住む人たちの暖かさを感 じました。そして、台北に 戻ってから以前は気づかな かった台北の特色にも気づ くようになりました。成さ んいわく、台北は包容力の 豊かな都市で台湾全土のあ らゆる言語や人々の性格、 建物や色彩が全て融合した 場所だそうです。 TAIPEI 春季号 2019 Vol.15--紙彫刻の芸術家 — 成若涵 繊細な指先が生み出す美しい世界►紙や布など使用する素材は違えど、全ての作品に 彼女の魂が宿っています。

昔ながらの士林を描いた 〈故土〉、心中山生活節と いうイベントで披露した中 山と双連を繋ぐ〈如常生 活〉というドーム状の作品 には、こうした成さんの台 北に対する独特なイメージ が描き出されています。 

成さんは紙彫刻と長い時 間関わってきたことで、ど んな思い出を振り返る時も 紙彫刻にまつわる記憶が浮かぶと言います。これから も紙彫刻と人生を共にし、 たくさんの養分と素晴らし い体験を得ることで、前へ 進むための力を得ていきま す。それは単なる技術では なく彼女の人生から切り離 すことができないパートナ ーのような存在であり、ブ ランド名でもある「以紙, 雕成。若涵(紙彫刻が私を作る)」という表現にもつ ながっています。 TAIPEI 春季号 2019 Vol.15--紙彫刻の芸術家 — 成若涵 繊細な指先が生み出す美しい世界►自身の名前である成若涵をブランド名に組み込むことで、 自分と作品がともに生きていることを表しています。

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