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文学の世界と共に「流」れる町 台北旧市街地の今と昔 (TAIPEI Quarterly 2016 冬季号 Vol.06)

アンカーポイント

発表日:2017-03-23

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文学の世界と共に「流」れる町
台北旧市街地の今と昔

_ 許慈倩
写真 _ 施純泰、王能佑
TAIPEI 夏季号 2016 Vol.06 文学の世界と共に「流」れる町   台北旧市街地の今と昔
▲ 台北旧市街地は魅力的な歴史の香りがただよいます。(写真/施純泰)
 
台北を好きになる理由はたくさんあります。いま、歴史を切り口に好きになるのがトレンドになっているようです。
台北は進化を続ける町です。壮大な建築物、豪華なオフィスビル、おしゃれなショッピングセンターがあり、整備された交通網と通信ネットワークでつながっています。しかしこの進歩は破壊を代償としたものではありません。台北では新たな建築と創造のほか、この町が内に秘めた味わいと歴史の深さを目にすることができます。
近年、台北市は忠孝橋のランプウェイを解体して北門広場を復活させるなど、旧市街地の整理を進めています。台北市民が昔の姿に親しむだけでなく、外国の人々もさまざまな顔を持った台北の色彩豊かな美しさを深く感じることができます。
さらに人々の心を動かすのは、時間というベールを開いて歴史を深く探ると見えてくるこの町の成り立ち、そしてその美しさと哀愁です。
TAIPEI 夏季号 2016 Vol.06 文学の世界と共に「流」れる町   台北旧市街地の今と昔
▲ 緑豊かな台北植物園はかつて若者に人気のデートスポットでした。(写真/王能佑)

東山彰良さんの描く台北
白先勇さんの『台北人』から東山彰良さんの『流』まで、台北は異なる世代、異なる歴史の雰囲気の中で多くの作家にインスピレーションを与えてきました。とくに『流』はまさに現代の台北人が共有する思い出が背景となっている作品です。
TAIPEI 夏季号 2016 Vol.06 文学の世界と共に「流」れる町   台北旧市街地の今と昔
▲ 昔の列車が東山彰良さんのペンによって昨日のことのように目の前に蘇ります。(写真/施純泰)

1950~1970年代生まれの台北人にとって、『流』は情感豊かな青春を描いた小説というだけではなく、それぞれの場面がありありと目に浮かんでくる作品です。例えば、今はもう過去のものとなった中華商場には中国各地の美食と家庭料理が集まり、当時国民政府と共に台湾へ渡ってきた軍人とその家族が故郷を懐かしんだものでした。また当時、学生服や学校名の刺繍を注文するのもここでした。東山さんのペンによって中華商場の狐仙廟が中国と台湾の民間信仰をつなぎ、すでに失われた場所に神秘的な息づかいを添えています。
東山さんは子どもの頃、広州街に住んでいました。大きくなるにつれて、彼の足跡は万華、西門町へと広がっていきます。これらの場所はいずれも台北市が近年重点的に再開発を進めている地域です。『流』に登場するさまざまな人たちが雑多に入り乱れる世界は、現在では台北の「ルネサンス」の基地へ姿を変えました。年配の人が昔を懐かしむだけでなく、若者が創意を発揮して才能を開花させる場に生まれ変わったのです。
『流』の中に当時の若者がデートした公園が出てきますが、ここは現在もまだ緑豊かな台北植物園です。東山さんはここについて詳しく描いていて、初恋の喜びを知るだけでなく主人公が祖父の不審な死について手がかりを探す場所としても登場します。これらの風景や人物描写を通じて、私たちはかつての台北人の暮らしを垣間見ることができます。
台北旧市街地の中でも、大稲埕は今も昔も最も重要な地区で、台北を理解し、台北の魅力を感じることができる、東山さんおすすめの場所でもあります。
時空を超えて、台北を旅しましょう。直木賞作家の東山さんと受賞作『流』が、あなたを案内してくれます。甘酸っぱい青春の記憶はここから始まります!

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