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異次元ジャングル「台北植物園」 (TAIPEI Quarterly 2016 冬季号 Vol.06)

アンカーポイント

発表日:2017-03-23

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活気溢れる青春の緑
異次元ジャングル「台北植物園」

_ 許慈倩
写真 _ 台北市観光伝播局、施純泰

青春小説として東山彰良さんの『流』をとらえると、初恋の場面で何度も登場する「台北植物園」には、味わわずにはいられない旧市街の余韻が満ち溢れています。主人公の葉秋生は当初、祖父の死の真相を究明するため頻繁に台北植物園へ足を運びますが、これをきっかけに恋が始まります。民国60~70年代(1971~1990年)、台北植物園は朝から晩までにぎやかで、早朝はお年寄りが太極拳や体操、社交ダンスを、日中は多くの児童‧生徒‧学生がハスの花が咲く池のほとりで写生を行い、夜はカップルのデートスポットとなりました。秋生が毛毛を夜の台北植物園に連れて行ったことは、二人が恋人関係を明確にしたことを意味します。小説では、「竹林も、池のほとりも東屋もカップルたちが所狭しと腰掛け、まるで電線に止まるスズメのように、常に陣取り合戦を演じていた」と描写しています。
TAIPEI 夏季号 2016 Vol.06 異次元ジャングル「台北植物園」
▲ 台北植物園で旧市街の余韻に浸りましょう。(写真/台北市観光伝播局)

今の世代の人たちは誰憚ることなく恋愛を楽しみ、街全体が恋人たちのステージになっています。台北植物園は今でも、お年寄りが早朝の運動に勤しむ場所であり、写生、ハス絵画、写真撮影の聖地でもあります。台北植物園と、園内にある多くの歴史的建造物の集合体「南海学園」は依然強い存在感を放っています。
TAIPEI 夏季号 2016 Vol.06 異次元ジャングル「台北植物園」
▲ 早朝の台北植物園で太極拳や体操をしている人をよく見かけます。(写真/施純泰)

草花に映える古蹟の美
しかし、東山彰良さんが惚れ込むのは、陰で酷暑を遮る熱帯植物や、真夏に綺麗に咲くハスの花畑です。120年の歴史を持つ台北植物園は敷地数万坪、園内で栽培している植物は1,000種に上り、都会ではなかなか見られない植物教室と言えます。四季を通じて緑と色とりどりの花を楽しめるほか、豊かな文化の香りも味わえます。3,000年前の新石器時代の「植物園文化」遺跡が園区全体と建国中学校一帯に広がっており、市の指定史跡の「欽差行臺」も園内にあります。欽差行臺とは清朝の時代に台湾に建てられた最大規模の政府機関で、計18棟の建築物から成っていました。今日では、最後の台湾巡撫(1885年に台湾省設置後の台湾における最高地方統治官として設置された官職)、唐景崧が設置した籌防局の正門と一部の庁舎しか残っていません。日本統治時代の初期、台湾総督府の事務室は籌防局に設けられたため、現在の総統府が完成する以前、ここは台湾の最高の行政機関だったのです。足を止めてゆっくり眺めてみると、官庁の威厳と建築物の優雅さと慎ましやかさを感じられるでしょう。
TAIPEI 夏季号 2016 Vol.06 異次元ジャングル「台北植物園」
▲ 市の指定史跡の「欽差行臺」も台北植物園内にあります。(写真/施純泰)

台北植物園内の歴史博物館ではよく展示会や芸術‧文学イベントが開催されています。参観のついでに園内を散策し、数多くの美しい、珍しい草花を鑑賞してみてください。園内には干支の動物にちなんだ植物を集めたコーナーや、中国最古の詩集「詩経」に登場する植物のうち約90種を集めたコーナーもあります。恋人と散歩しながら会話を交わしたり、文学青年らしく写真撮影や写生に興じたり、ベンチに腰掛けぼーっとしながら日々の疲れを取るのもいいでしょう。植物園は単なる「都市の肺」でなく「都市のオアシス」でもあり、ゆったり散策してみると贅沢な幸せを堪能できるはずです。

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