TOP メインコンテンツセクションに行く

台北観光サイト

TAIPEI 2015冬季号 Vol.02—地図と歴史で故郷をひも解くかつての艋舺~ 今の萬華をご案内

アンカーポイント

発表日:2016-06-22

更新日:2016-09-23

1867

文・写真 高伝棋(台北旧市街シニアツアーガイド)
萬華区は台北市に12 ある行政地区の1 つです。面積は広くありませんが、一歩深く踏み込めば、2 ~ 3 日見て回ることもできます。萬華は筆者の故郷、自然環境、文学・歴史・宗教、商店街の美食、ホームレスの社会福利、地域社会の構築などをテーマに、ここ萬華で毎年約50 ~ 60 回の屋外ガイドツアーを行っています。多くの場合、テーマに沿った実際の地域や場所をご用意し、室内でレクチャーを行った後で昔と今の地図を手に、教室の外の環境に足を踏み入れ、萬華を再認識してもらっています。

1_1930年代艋舺廟口販賣金銀紙的攤販。.jpg
▲1930 年代、艋舺廟の入口付近には供え物の金銀紙の屋台があった。
かつての艋舺から今の萬華へ
かつて「艋舺」と呼ばれた萬華区は300 年以上前から発展してきました。萬華の北部にある西門町、萬華中部の艋舺・下崁、萬華南部の加蚋仔・南機場と大きく5 つの伝統的な地域に分かれますが、それぞれに歴史を持ち、独特の空気が流れます。これらの地域は様々な変化を経て今日に至り、異なる街の特徴を持った生活文化圏となりました。例えて言えば、若者の流行文化と映画の街の西門町、お寺やレトロな町並み、小吃(シャオチー)の艋舺、台湾初の政府指定工業区である下崁(今は洋服と時計の卸売の街)、花やタケノコの生産で栄えた農業区である加蚋仔(今は台湾最大の卸売市場)、台湾初の空港と軍人用公営住宅の集合地区の南機場。これらのエリアは、現在の行政区分では「西門、龍山、大理、西園、東園、青年」の6 つになっています。

2_圖說:來青草巷逛逛歷史悠久的老店,度過充滿古早味的時光。(高讚賢攝).jpg
▲「青草巷で老舗をまわれば、レトロな時間を過ごせる。」
 
艋舺は台北で最も早く開発された地区で、商業も文化も大いに栄え、かつては台南の府城、彰化の鹿港と並ぶ台湾北部の重要な政治・経済・文化の中心地でした。300 年近い繁栄を経て今日に至り、艋舺境内の河港街文化、寺院建築、伝統的な町並み、古くからの老舗などは、台湾の歴史において独特の輝きを放つだけでなく、今も当時の繁栄の面影を見せています。
時代を越え、艋舺を知る
先人が残した古地図や歴史資料、さらにフィールドワークの実施により、最近300 ~ 400 年に台湾にやってきた漢人の開拓の歴史を窺い知ることができます。開拓の歴史は大まかに「港、寺院、市街地、学校、地域社会」の5つの段階があり、もちろん艋舺も同じです。初期の開拓者は淡水河畔の老碼頭から上陸、まず河岸近くの小高い場所に寺院を建てました。龍山寺、祖師廟、青山王宮など、どれも100 年あまりの歴史があります。寺と寺の間には自然と冠婚葬祭に関わる市街が形成されました。例えば仏具店の多い艋舺旧街、供え物の金紙や嫁入り道具の店が集まる艋舺新街、炭の売買が盛んだった剥皮寮など。また、日本統治時代、寺と市街からほど近い空き地にこの地で最初の小学校「老松国小」が建てられました。このほか萬華駅、新富市場などの公共施設も次々と建設され、早くから栄えた艋舺に外からの移民も加わり、徐々に富民里、福音里、青山里などの現在の街並みが形成されていったのです。
近年、台北は東へ向かって開発が進められ、艋舺は古い姿のまま、取り残されてきました。でも、かつての繁栄は遠ざかっても、今の艋舺もなお多くの観光地、老舗、庶民の文化や地元民の生活の様子、ひいては若者が新しく作ったデザインホテルや生活空間のギャラリーが隠れています。国内外の旅行客がちょっと立ち寄って、じっくり観光する価値は十分にあります。

3_在回顧過往之際,也讓我們放眼艋舺的未來,一起攜手再造艋舺為台北的新亮點.jpg
▲過去を振り返りつつ、艋舺の未来に目を向け、ともに「艋舺」を台北の新たなスポットに。
 皆で集まって「艋舺ぶらり旅」
今年の8 月29 日、筆者は柯文哲台北市長を艋舺ショートトリップに案内したほか、土日に計10 回の定期ガイドツアーを開催、参加者は初回の約30 人から150 人以上に増えました。1 つの地域について詳しくかつ手軽に教えてくれるガイドを、台湾の人々が強く望んでいたことが分かりました。
10 回実施した「艋舺迺透透(艋舺ぶらり旅)」は龍山寺地下街からスタート。艋舺旧市街(現西園路)に沿って艋舺公園と廟埕広場まで歩き、建築中の萬華駅を眺めた後、龍山寺、青草巷、艋舺新街(西昌街)、清朝の伝統的建築様式の街屋や路地、市場、そして康定路の有名な老舗、新富市場、台北郷土教育センター、老松国小、剥皮寮歴史街エリア、清朝の艋舺隘門、華西街観光夜市、台北仁済院などの有名スポットを回ります。

4_鳥瞰剝皮寮歷史街區,別具一番風味。.jpg
▲剥皮寮歴史街区を俯瞰すると、また一味違った魅力。
これらのスポットは、世界一、台湾一、台北一の称号を数多く手にしています。例えばもうすぐ創立120 周年を迎える老松国小は、成績が優秀なことで名の知れた学校ですが、かつて学生数の多さでギネスブックに登録されたことがあります。龍山寺地下街はプロの占い屋が世界一密集した占いストリートと言えます。現在急ピッチで建築中の萬華駅が完成すれば、台湾一高層の駅舎となります。また、剥皮寮歴史街区は、清朝~日本統治時代~戦後~ 1970 年代の100年の歴史的町並みが残存する貴重な場所です。さらに1920 年代に作られた新富市場は、現在の台北市でも数少ない現代化された老舗市場です。
筆者がガイドを務める「艋舺ぶらり旅」では、タイムトンネルを抜けるように艋舺の黄金時代を振り返り、先人の開拓の苦労の歴史が実感できることでしょう。そして、過去に目を向け、かつての感情に思いを巡らすと同時に、艋舺の未来に目を向け、ともに「艋舺」を台北の新たなスポットにしていこうではありませんか。
 

関連写真

Top