発表日:2017-12-14
1474
古き街角の青春行進曲
にぎわいの時代の大稲埕へ
文 _ 許麗芩 写真 _ 許斌、大稲埕国際芸術祭
「台北の古い下町は熟年の美女、新しい街並みは30歳の大人の女性のよう。新しいところだけ見ても台北の全貌を見たとは言えません」。台北市観光伝播局の簡余晏局長は、台北にはさまざまな姿があり、特にユニークな歴史を刻み、この街の精神や台北の価値観を伝えるスポットには探訪する価値があると言います。「大稲埕」はその一つで、古い下町がどのようにして伝統を出発点として新旧を融合させ、下町の青春行進曲を奏でているのか、足を踏み入れ探索してみるのもいいでしょう。
各地から人々集う
艶っぽさ際立つアートの街
台北、ひいては台湾の歴史において、大稲埕はその足跡を力強く残しています。時の流れに熟成された大稲埕ならではの歴史があちこちに立ちこめます。古くは水の交通の便がよく、港が開かれ、新しいもの好きの気質から、茶葉や樟脳(しょうのう)などの輸出で栄え、国際貿易の一員となりました。外国商社や外国人がここに拠点を構え、台湾の有力企業や「紅頂商人(有力商人)」の発展の地となりました。
注目すべきは、大稲埕が台湾の近代思想の出発点であり文化運動のゆりかごであったことです。近代的な美術、音楽、文学、演劇、歌謡、映画など、多くがここを活動の中心に据えました。新文化運動(五四運動に端を発した近代的な新しい文化を推進する運動)が盛り上がると、あらゆるジャンルの文化や娯楽が大稲埕で花開きました。特に、延平北路を軸としてその周辺にまで、酒楼(居酒屋)、餐館(料理屋)、劇院(劇場‧映画館)、書局(出版社‧書店)が林立し、ユニークな文化サロンや酒家文化(料亭文化)が生まれ、大稲埕ならではの社会の姿と時代の空気が反映されました。
▲大稲埕国際芸術祭では、大稲埕のレトロでアートな雰囲気を再現。(写真/大稲埕国際芸術祭)
伝統の復活
下町の活力よ再び
大稲埕も一度はにぎわいが鳴りを潜めていた時期がありましたが、ユニークな歴史の歩みがかつての心意気を持つ多くの人々を引き付けています。台北市文化局によれば、大稲埕は古い下町の復興計画において、重要なポイントをつかんでいて、賞賛に値するそうです。つまり「官民がどちらも投資したい場である」ということです。この地区では、公共部門が史跡の保存や産業、文化といった各種の事業計画を進めるだけでなく、民間の自発的な関わりもあり、クリエイティブなショップや実験的な空間が目移りするほどひしめいています。
まさに大稲埕国際芸術祭の発起人、周奕成さんが言うように「大稲埕が体現する時代というのは、台湾とアジアが近代化した時代です。私たちにとって大稲埕とは、懐かしいレトロな場所というだけでなく、現実の刷新、創造の場でもあります」。大稲埕を訪れれば、この土地への想いが触発されるとともに、台北のイメージが再構築され、自分だけの物語を紡ぎ出してくれるかも知れません。
関連写真
人気の記事
TAIPEI Quarterly 2017 冬季号 Vol.10
台湾とフィリピンをより近く マニラ経済文化弁事処 アンヘリト‧バナヨ代表 (TAIPEI Quarterly 2017 冬季号 Vol.10)
Beyond Taipei 台北から台湾を見渡す 日台交流協会台北事務所 沼田幹夫代表 (TAIPEI Quarterly 2017 冬季号 Vol.10)
「拿鞘Nature」の山が育てた夢 若い世代と先住民文化つなぐ (TAIPEI Quarterly 2017 冬季号 Vol.10)
生活の味わいと姿を伝える 台湾らしさ満開の「花布」 (TAIPEI Quarterly 2017 冬季号 Vol.10)
受け継いだ音楽のDNA 魂込めるバイオリン作りの道 (TAIPEI Quarterly 2017 冬季号 Vol.10)













