発表日:2017-12-18
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「拿鞘Nature」の山が育てた夢
若い世代と先住民文化つなぐ
文 _ 鍾文萍 写真 _ 楊智仁
▲「拿鞘」はビンロウの鞘葉でデザイン性の高い生活用品を製作しています。(写真╱楊智仁)
ビンロウは、台湾先住民の文化と深いつながりがあります。先住民社会においてビンロウは部族、身分、階級、性別、年齢を超えて人々の間に広まっているものです。サキザヤ族は儀式の際にビンロウを供物にします。またアミ族の衣装にはビンロウを入れる袋が付いていて、女性は好意を持つ男性にそこから取り出したビンロウを渡します。先住民はビンロウやキンマなどで大切な客をもてなし、友好と敬意を表します。昨年創業した「拿鞘Nature」は先住民文化をデザインに取り入れ、ビンロウに全く新しい文化的な意義をもたらし、毎年大量に落ちるビンロウの鞘葉(しょうよう)を現代的な生活用品に生まれ変わらせました。「捨てられた落ち葉を生まれ変わらせるとどんな姿を見せてくれるのか、やってみようと思ったのです」創業者の劉大衛さんはこう言います。
新しさと先住民の特色 天然素材で表現
「鞘(さや)」とは樹木の幹あるいは茎を包んでいる葉の根の部分のことです。これまでは役に立たないものとして捨てられたり焼却されたりするだけで、粗末に扱われていました。劉さんは、ビンロウの鞘葉とプラスチックや金属などとの最も大きな違いはビンロウの鞘葉は自然が生んだものであり、成長した時間、地域、気候によって大きさや厚さが異なり、それが作品の仕上がりに影響することだと言います。「拿鞘Nature」のメンバーたちは鞘葉をつけておく水の温度や火であぶった時の縮小率の制御、折り曲げる角度や叩き方などさまざまな実験を通じて、徐々に適切な成形と処理方法を見い出していきました。こうしてビンロウの鞘葉は無害で防虫、防水、湿気を除く一方で、化学的な製法を一切使わない絶好の天然素材へと生まれ変わったのです。
鞘葉を使った作品のひとつひとつはどれも数多くの実験を経て、苦労の末に完成した血と汗の結晶です。例えば色の濃さが異なり、自然の葉脈が縦横に交錯する鞘葉の一枚一枚を数々の手作業を経て額縁に収めた「自然鞘画」や、大きくて平らな傷のない鞘葉をリングでとめた「鞘事記」ノートなどがあります。また「鞘サンダル」は台東アミ族の新鋭デザイナー‧高彩霜さんによるデザインで、生産はビンロウの葉を使ったシューズブランド「Betel Life」に委託しました。作品は先住民文化の特色とブランドの魅力がまとめて表れています。
先人たちの道具の使い方も、しばしばデザインが生まれるきっかけになります。例えばアミ族はビンロウの鞘葉を折りたたんで鍋を作ります。この手法を利用して、温かな光を灯す「鞘ランプ」や小物を入れる「鞘ボックス」が生まれました。現代的な新しさがありながら文化の彩りも兼ね備える新たな質感を放っています。
台湾の多様なエスニック‧グループの文化は幾度もの衝突と歩み寄りを経て、ついにお互いを理解し、受容し、称賛し合う新たな時代を迎えました。このような精神がデザインの世界に反映され、私たちに異なるエスニック‧グループ、異なる地域の工芸文化の奥深さを見せてくれるのです。先住民は台湾でずっと自然素材を活用してきた聡明な人々です。「拿鞘Nature」の新たな世代のクリエイターたちはこれまでと異なる形で、大地と自然を崇める先住民の精神を敬い、作品を通じて若い世代と先住民文化の新しいつながりを生み出そうとしています。
戯台市集(「拿鞘」作品販売所)
中正区中山南路21-1号
2397-1920内線30
09:00~23:00
▲「鞘サンダル」にはずっと手元に置いておきたくなるようなアミ族の細やかな模様が描かれています。(写真╱楊智仁)
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