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台北霞海文化節

城隍爺の誕生日パーティー

文 吳家宇

写真 精鏡伝媒・写真部

台北霞海城隍廟は死後の世界をつかさどる霞海城隍爺をまつる道教の廟。月下老人の霊験あらたかとしてその人気は海外にまで及んでいますが、主神の霞海城隍爺の誕生日がもうすぐということをご存知でしょうか。旧暦5月14日（今年は6月27日）に迎える霞海城隍爺の誕生日、同廟は地元の歴史研究団体や文化クリエイティブ業者らとともに一連のイベントを行います。さあ、みなさんもご一緒に城隍爺の誕生日パーティーに参加してみましょう！
 

台湾海峡を渡りやってきた
城隍爺の第一楽章

霞海城隍爺はそもそも福建泉州府同安県（現在の金門とアモイ市あたり）の守り神で、海を渡り台湾に来た開拓民とともに1821年に渡来しました。台北霞海城隍廟は城隍爺が台湾に来て200年を記念する第一楽章「2018快楽出航去台湾（いざ台湾へ！）」をテーマに、「六死三留一回頭（10人のうち6人が死に、3人が残り、1人は戻る）」というほどの危険を冒して台湾海峡を渡ってきた祖先の物語を伝えます。来年の第二楽章では、同安の祖先が台湾に来てからというもの、艋舺で移民同士の武力衝突が起こり、負けた人々が大稲埕に逃げたおかげで今の台北霞海城隍廟が生まれたいきさつを語ります。200周年を迎える2020年には、盛大にこの歴史の叙事詩を歌い踊ることになっています。

今年は「暗訪（霊の陳情を聞き入れる行事）」、「日巡（巡礼）」といった伝統的な儀式の代わりにパレードが行われます。地元の忠孝中学の生徒や台北城市科技大学舞台芸術学科の学生が、「快楽的出航（楽しい出航）」の掛け声でポップダンスのウェーブの振り付けによって台湾海峡の荒波を表現します。地元のアーティストは大稲埕のふ頭に停泊する唐山帆船（ジャンクとも言われる中国古代の帆船の一種）をモチーフにしたインスタレーションを制作。さらにパレード参加者が、台湾オペラ、歌仔戯（ゴアヒ）の『八仙過海（道教の8人の仙人が海を渡る物語）』の配役に応じた衣装をまとい、カーニバルを繰り広げます。


▲台北霞海城隍廟に信徒の姿が絶えることはありません。

ドラゴンボートで巡礼　
いざ台湾へ

パレードで祖先が台湾に来た情景を表現するほか、何年も行われている城隍爺のご神体がドラゴンボートに乗る「水上巡礼」も行われ、当時泉州同安から船に乗って霞海城隍が奉納された光景を再現します。つまり城隍老爺の「快楽出航去台湾（いざ台湾へ）」のイメージを表現しています。

また霞海城隍爺が月下老人とともにドラゴンボートに乗り淡水河を上ります。お付きとして人々が藍色水路遊艇に乗って付き従い、永楽偶芸坊が伝統人形劇、布袋戯（ボテヒ）で『泉州過台湾（泉州から台湾へ）』を上演。画家、蔡雪渓の名作『扒龍船（ドラゴンボートを漕ぐ）』に描かれた、淡水河の川べりで人々が端午節のドラゴンボート競走に興じた様子を再現します。ご神体が上陸すると大稲埕に沿って巡礼の隊列が霞海城隍廟までを練り歩きます。
 

「淡水河に土砂が堆積するまでは、台北のドラゴンボートレースはずっとここで行われていました」。台北霞海城隍廟の広報担当、呉孟寰さんは言います。このイベントでは人々のルーツを呼び覚ますとともに、台北の発展の流れと淡水河の密接な関わりを理解してほしいと願っています。

城隍爺の生誕を祝う儀式に加え、周辺の大稲埕の店舗でも城隍爺文化の展示が行われます。同廟と友好関係にある日本の台湾新聞社も城隍爺の生誕を祝して「台湾－日本祭」を開催、永楽広場で美食や日本の小物を売ったり、出し物を行うフリーマーケットを開設し、ここで城隍爺の生誕を祝う人々とともに楽しみたいとしています。
 

クライマックスを迎えるのは旧暦5月14日の霞海城隍爺の誕生日当日。廟では生誕の宴を設けて、城隍老爺と夫人、神々とともに宴席が行われます。続いて祝賀の法要で一年に一度の誕生日のフィナーレを飾ります。まるまる1カ月の間、大稲埕の街はおめでたい雰囲気に満ち、盛りだくさんのイベントで霞海城隍爺の誕生日を祝います。
 

「5月13迎城隍」とは台北霞海城隍老爺が巡礼に出る日です。

▲ドラゴンボートでの水上巡礼を終えた城隍爺は、龍陣に出迎えられ台北の台北霞海城隍廟まで練り歩きます。

2018霞海城隍爺の誕生日パーティー