発表日:2018-09-12
1942
さわやかな秋を満喫しよう─
台北親山歩道
文 陳瑞浩
写真 李智為、台北市大地工程処
都会のコンクリートジャングルに暮らし、仕事で走り回る毎日。ようやく訪れたさわやかな秋には、自然にふれ心身をリフレッシュしてはいかがでしょうか。台北市には自然に囲まれた山の風景が豊富にあります。その中を縫うように連綿と続く親山歩道は、市内を網羅する交通機関と組み合わせれば、簡単にたどり着けます。「街からすぐながら喧騒を離れる」という言葉はもはやマンションの宣伝文句だけのものではなく、自然の中で健康的に体を動かすことができるのです。
親山歩道から自然の中へ
ハイキングなどのレジャーがブームとなる中、台北市大地工程処は、市民が自然をより身近に感じ、その土地ならではの体験ができるよう、地元の特色を活かす形で市内各地の親山歩道の改善を進めました。かつて陽明山国家公園の擎天崗詰所、小油坑詰所、陽明書屋詰所の主任を歴任した呂理昌さんは、台湾大学森林研究所を出た後、長年にわたり陽明山で働き、「自然とダンスする男」とも言えます。呂さんによると、陽明山に数多く存在する歩道や古道では、豊富な植物、シダ類、チョウ類、鳥類といった生態資源に出会えるほか、現地の歴史や文化に対する理解を深めることもできます。また「簡素な歩道はアウトドアに足を踏み入れる最良のきっかけ」と強調し、歩道を通じて森と大地を知ることは、自然に親しむための最も基本的な方法だと指摘します。
▲かつて軍事要塞があった場所に整備された剣潭山親山歩道を歩けば、今も残る歩哨所の遺構を目にすることができます。(写真/台北市大地工程処)
台北の恵みを世界の旅行者に
地理的な制約を受ける他の国々とは異なり、台北市はもともと非常に恵まれた自然を有しています。MRTやバスといった便利な交通機関を利用すれば、山に足を踏み入れるのに1時間もかかりません。多くの外国人旅行者にとって、都市部で山登りができるという事実は想像もできないかもしれません。午前中は山で森林浴を楽しみ、夜には夜市(ナイトマーケット)でおいしいものをお腹いっぱい食べる。立地の制約なく、しかも遊びも食べ物も含めた多様な楽しみ方ができるこんな旅のスケジュールは、海外の旅行者にしてみれば望外の喜びとなるでしょう。象山親山歩道から美しい首都の夜景を眺め、水車寮歩道では竹子湖に咲き誇るカラフルな花々を愛でる。また文化的、歴史的な雰囲気を色濃く感じさせる剣潭山親山歩道や農村風情の漂う樟樹歩道と樟湖歩道、まるで修行者になったような気分が味わえる鯉魚山親山歩道と円覚寺歩道。そのいずれもが長い歴史を持つ登山道です。なお、こういった歩道には中英二か国語で表示された案内板や標識が設置されており、外国人旅行者も気軽に山に親しむことができます。それでも満足できない場合は、各歩道をつなぎ合わせて南北の山々を縦走する計画を立てることも可能です。チャレンジすればきっと、台北の山々を征服したという達成感に包まれることでしょう。
山の中へ分け入るということは、自然に帰ることにほかなりません。森林を大切に保護することは、自然に親しむ者の最低限の責任です。また適切な服装(長袖、長ズボン、簡単なジャケット)、食べ物(パンなどの携帯食)や雨具を準備し、しっかりとスケジュールを立て、天候を確認しましょう。森へ出かけることは、都会人にとって最も簡単に、かつ染み入るような心地よさを感じることのできる自然の楽しみ方です。
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