発表日:2019-03-04
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TAIPEI #15 (2019 春季号)
台北で自由に花と向き合う
花に対する世界観を表現 フローリスト嶺貴子さん
文 /内海陽子 写真/ Samil Kuo
「実家の前が大きな花屋 で、 1本の花をもらったり 買ったりするのが小さい頃 からの日常、花がいつも身 近にある環境でした」物心 をついたときからすでに嶺 貴子さんにとって花は、生 活の一部でした。そして台 北に住む現在もそれは変わ っていません。台北生活の 中からインスピレーション を受け、この土地の彩り豊 かな花に囲まれ、フローリ ストとしてイキイキとした 毎日を過ごしています。
►嶺さんは台湾に引っ越して家族と一緒に台北で新しい生活を始めました。
東日本大震災をきっ かけに台湾へ
子供が 3歳になったばか りの頃東日本大震災があ り、余震などが落ち着くま で少しの間、別の土地に住 もうと思いました。台北に 親友が住んでいたのでそこ に身を寄せることに。始め は1週間の予定が、余震が 続いていたので様子を見て いる内に長期化していきま した。「最終的に長く居よ うと思ったのは、台湾の方々が親切にしてくださっ たことと、娘に合った幼稚 園が見つかったからです」 と嶺さんは振り返ります。
台北で生活していくうち に気づいたのは、台北は山 と街が近く花市場で仕入れ るものは、朝採ってきたば かりの新鮮な花。そんな都 市は世界でも珍しく、台北 だからできる事。「子供の 学校の裏が陽明山でそこに 提携している農園があるの で、サッと車で行って採っ て来られる。東京でそれを やろうと思ったら千葉まで 行かなくてはならないの で、すぐに山に行けること がとても便利で楽しいこと のひとつです」。
►お店に簡単に作れる花束がたくさんあります。
ルールに縛られず、 自由に花と向き合う
嶺さんは NY のアートス クールへ留学すると、空間 全体を作品とする体験型芸 術のインスタレーションに 出会い、そこからフェミニ ズムアートを学び 4年半で 日本へ帰国。その後は実家 前にあるカフェに併設した 花屋を手伝う形で就職し、 そこで花を使ったウィンド ウディスプレイがあること を知ります。それからいく つかの花屋での就業を経 て、H.P.FRANCEの ラ イ フスタイルショップ内の花屋へ就職。「同僚たちはバ イヤーや美大出身で花を専 門的に学んだことのない人 ばかりでしたが、ルールに 縛られない自由な花の魅せ 方をしていてすごく影響を 受けました」と嶺さんは話 します。バラ単体で花束を 作るのではなく、花と枝物 を混ぜてアレンジしたり、 花瓶や雑貨の販売などもし ていたそうです。「今でこ そ複合ショップは流行って いますが、その頃は先駆け でした。台湾に来た時も、 今後同じような形態が展開 されていくのではと感じて いました」。
►複合型のフラワーショップになっていて、その 他の展示品も見ることができます。
台湾で花と言えば仏花や 人に贈るための蘭が多かっ たので、 1本ずつ好きな花 を買える花屋があったらと 思ったそうです。そして食事の持ち帰り文化のある台 湾では自炊をあまりしない ので、自分の手で何かを作 り出すことに憧れていた時期でもありました。嶺さん がオープンさせた「salon by Takako Mine」は、花 を 1本から購入する事ができます。メインの「花」に 加えて花瓶や雑貨なども販売。嶺さんが花に対する想 いを伝えながらお客様と交 流するワークショップでは 、物作りだけでなくセッテ ィングやラッピング、空間 アレンジも学べます。「特 に気を配ったのは、写真撮影を楽しめるスポットを用 意したことです。それを戦 略として他店との差別化を 図りました」窓口を広くし ようとワークショップは英 語でスタートしたこともあ り、現在は参加者の大多数 が台湾人の方々。「日本の 方にも是非ワークショップ や花を見に来てもらいたい です」と、微笑みながら話 してくれました。
►嶺さんのお気に入りの美しく枝葉を伸ばすクリ スマスローズ。
台湾の花事情
台湾の花は蘭などトロピ カルなイメージがあります が、山に行くとシダ系の植 物や野草なども多くありま す。台湾は日本よりも湿度 が高く日照時間が長いので 花が大きく育ちます。そん な数ある花の中で嶺さんが 特に気に入っているのは、 葉っぱのような花が特徴の クリスマスローズだそうで す。
「台北の街を歩くと植物 を育てている家をよく見か けます。台北の人は、花を 育てること花を咲かせるこ とを楽しんでいます。切り 花と言うより植木が多く感 じますが、やさしい人たち が丁寧に育てている感じが するので、台北の庭を見る のが大好きです」。
►アートの知識を自然な形でフラワーアレンジ メントに取り入れています。
花好きな方にお薦めした い場所は、建國休日花市で す。日本の花市場の場合は 一般の人の入場は禁止され ますが、台湾の場合は問題 ありません。普段見られな いような種類の花が見られ他、枝物、シダ系なども種 類が多く、お手頃な価格で 買えます。植木市場、花市 場どちらもあるので多肉植 物が好きな人でも楽しめま す。もう一つのお薦めは、 台北植物園です。しっとり した雰囲気があり、ゆっく り鑑賞することができま す。湿度が高い台湾で育っ ている植物なので特に雨が 似合ういます。是非雨の日 に訪れてほしいです。台北 の春は花の種類が豊富でカ ラフルで夏は緑物が多く、 秋冬は街の木が花をつける など季節により異なる特徴 があります。
►嶺さんのお店はフラワーショップだけでなく カフェとしての側面も持っています。
凛としてカッコイイ女性 の嶺さん。娘を持つ母親で ありながらも、花を愛して やまない姿は少女のようで もあります。台湾に来る前 はアメリカやヨーロッパで 仕事を経験していました が、今は台北に深く根付い ています。彼女が作り出す 花に関する芸術は、これか らも多くの人たちを魅了し 続けていくでしょう。
►花好きの人が花束を活用して自由に室内を装飾してほしい という思いでお店をオープンしました。
Salon by Takako Mine 流 フラワーアレンジメント
家に飾る花から贈る花束へ
今回、嶺先生にお家で簡単に作れる花束の作り方を教えて頂きました。室内の装飾やプレゼ ント用の花束にピッタリです!
道具
花瓶、花ばさみ、花束用の紐 ( 花束 の太さにもよりますが約 1m)、紐 を切るはさみ。
準備
枝物、細く柔らかい花、メインに なる花を仕分ける。今回は、大飛 燕草(デルフィニウム)や山百合 (ヤマユリ)など台湾の季節の花 や枝物を使用。あえて一部分のみ 外来種をプラスする事でお洒落に なります。
STEP 1
最初は枝物を、いちばん素敵に見 える方を自分に向けて生ける。高 さは少しずつ詰めるため、長さに 差が出ないよう花瓶に満遍なく入 れる。グリーン系をベースで入れ ると生けやすい。
STEP 2
下部の葉を取りながら、背の高い 花から後ろに入れる。台湾の花は 自由な感じが可愛いため、低め、 高めの物を向きも自由に。花を自 由に散らして、春の景色を作って いく感覚で蕾、小花、雑草も入れ る。
STEP 3
最後はメインの花。3 本の赤い花 は三角形に、向きを見ながら、押 し込まずに詰めすぎず、やさしく 揺らすように入れていく。
STEP 4
紐をカットして置いておく。生け たものを両手で持ち上げ、葉を取 ってから 2 周ほど紐で束ね、余っ た紐を切ります。
STEP 5
枝を均等に切り、完成。
関連写真
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