発表日:2019-06-12
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TAIPEI #16 (2019 夏季号)
鬼月の台北旅行 台湾のお盆期間も楽しく観光!
文= JennaLynnCody
編集=下山敬之
イラスト= MyTaiwanTour
写真=謝禮仲
旧暦の7月は「鬼月」と呼ばれていますが、この時期は台湾のお盆期間にあたります。特徴としては歩道の途中に食べ物や紙銭という黄色い紙の束、飲み物、お菓子、線香の置かれたテーブルが設置され、他にもお祈りをする人や紙銭を燃やす金属製の火鉢が置かれるといった光景がよく見られます。こうした儀式は神様に祈りを捧げるものではなく、霊のために捧げられています。
霊や鬼月という単語から不吉なことを連想するかもしれませんが、台湾ではこの時期に中元普渡(ジョンユェンプードゥー)という霊を供養するための行事が行われます。なので、旅行の際にこうした光景を目にしてもそのまま眺めていても大丈夫ですし、邪魔にならないようにその場を避けるのも一つです。ただ、鬼月の風習やこの期間にしない方が良い行動があるので、それらを紹介していきます。
鬼月の風習は仏教徒である目連(もくれん)の物語が元となっています。目連という僧は神通力が使えたことから、この世を去った自身の父母と再会をしようとします。しかし、父は無事天国に行けたものの母は地獄に落ちており、目連の神通力をもってしても母を救うことはできませんでした。一説には目連の母は困っている人たちに物を分け与えず私欲のために匿ったために地獄へ落ちたと言われています。
すると地獄を管理する閻魔が目連に善行を行い、お供え物をするよう勧めました。善行によって積んだ目連の徳は地獄にいる母と共有することができ、徳が高ければ霊たちが現世に出ることを許される旧暦の7月、中でも特に中元節で知られる7月15日に母を地獄から脱出させられる可能性があるからです。その後、目連の努力の甲斐あって母は天国で転生することができました。
この話から徳を積むことは良いことであり、自身の祖先を救うことにもつながると信じられています。そのため、鬼月になると台湾の人たちはテーブルの上にお供え物をして霊に祈りを捧げるのです。
また、もともと鬼月は1日限りの儀式でしたが、台湾は移民社会であり過去4世紀に渡って多くの戦争を経験しました。その結果、戦争で多くの人が命を落としましたが、その遺族の大半は死者を追悼することができませんでした。それから清代末期になって、その霊たちを慰めるために1ヶ月に渡る儀式を行うようになりました。
鬼月の風習は仏教が起源と言われていますが、台湾では道教や民間信仰、儒教の教えが強く反映されています。中でも儒教の教えが強く、先祖の霊や無縁仏を供養するために家族や地域社会が一体となってお供え物を作ります。無縁仏も一緒に供養することで祖先が現世に転生した際に、他の霊たちからの悪さやいたずらを防げると言われています。
また、鬼月の儀式は台湾各地で形式が異なります。台湾最大の儀式は台北に近い港町、基隆(ジーロン)で開催されます。数日に渡りパレードが行われるほか、幸運を祈願する儀式や灯篭流しなどが行われます。宜蘭(イーラン)や恒春(ヘンチュン)では、油の塗られた柱を参加者が一斉に登り、一番早く上に置かれているお供え物に到達する人を競うという競技形式となっています。

観光客もこうした儀式への参加は可能なので、機会があったら参加をしてみましょう。また、これらとは別にこの時期の台湾ではいくつか注意すべき点があります。
「鬼」という単語を使わない
中国語では霊のことを「鬼(グェイ)」と言いますが、この単語を発すると霊たちが自分たちが呼ばれたと勘違いし、いたずらや悪さをすると言われているので、この単語は口にしないのが安全です。霊という単語の代わりに、「好兄弟(ハオションディ)」という呼び方があるので、こちらを使いましょう。
お箸を食べ物に突き立てない
日本とは少し理由が違いますが、食べ物にお箸を突き立てると霊たちはお箸を線香と勘違いし、その食べ物が自分たちへのお供え物と勘違いしてしまいます。そのため、台湾では鬼月でもそれ以外の時でも、死者を弔う時以外は箸を突き立てはいけません。
水を避ける
台湾では昔から霊たちが水辺、特に海水浴場などに住んでいると信じられていました。また、鬼月の間に川や海で泳ぐと足を引っ張られ、人間を水底へと引きずりこむことで溺れさせた相手を死者の世界に閉じ込め、代わりに霊が人間の世界で暮らせると言われています。近年では迷信と言われるようになり、鬼月の間もビーチで遊ぶ若者がいます。観光で訪れる場合は、滝などの水辺に行く機会もあると思いますが、水辺に近づく際は十分注意を払いましょう。
夜の注意事項
霊たちは特に夜になると活発に活動をします。そのため、暗くなってから誰かのフルネームを呼ぶ事はタブーとされています。フルネームで呼ぶと霊がその人のもとを訪れて不幸をもたらす可能性があるので、基本的にはあだ名で呼ぶのがいいとされています。また、昼夜問わず口笛を吹くことも霊を呼ぶので良くないと言われています。他にも一晩中外で衣服を干していると濡れた衣服に霊が寄り付くのでNGです。
台湾オペラの最前列を避ける
伝統的な台湾オペラ公演の最前列の席は霊たちのために確保されているものです。そのため、最前列の席に座ると霊たちの機嫌を損ねてしまう可能性があるので、座らないようにしましょう。
鬼月の台北旅行 台湾のお盆期間も楽しく観光!
文= JennaLynnCody
編集=下山敬之
イラスト= MyTaiwanTour
写真=謝禮仲
旧暦の7月は「鬼月」と呼ばれていますが、この時期は台湾のお盆期間にあたります。特徴としては歩道の途中に食べ物や紙銭という黄色い紙の束、飲み物、お菓子、線香の置かれたテーブルが設置され、他にもお祈りをする人や紙銭を燃やす金属製の火鉢が置かれるといった光景がよく見られます。こうした儀式は神様に祈りを捧げるものではなく、霊のために捧げられています。
霊や鬼月という単語から不吉なことを連想するかもしれませんが、台湾ではこの時期に中元普渡(ジョンユェンプードゥー)という霊を供養するための行事が行われます。なので、旅行の際にこうした光景を目にしてもそのまま眺めていても大丈夫ですし、邪魔にならないようにその場を避けるのも一つです。ただ、鬼月の風習やこの期間にしない方が良い行動があるので、それらを紹介していきます。
鬼月の風習は仏教徒である目連(もくれん)の物語が元となっています。目連という僧は神通力が使えたことから、この世を去った自身の父母と再会をしようとします。しかし、父は無事天国に行けたものの母は地獄に落ちており、目連の神通力をもってしても母を救うことはできませんでした。一説には目連の母は困っている人たちに物を分け与えず私欲のために匿ったために地獄へ落ちたと言われています。
すると地獄を管理する閻魔が目連に善行を行い、お供え物をするよう勧めました。善行によって積んだ目連の徳は地獄にいる母と共有することができ、徳が高ければ霊たちが現世に出ることを許される旧暦の7月、中でも特に中元節で知られる7月15日に母を地獄から脱出させられる可能性があるからです。その後、目連の努力の甲斐あって母は天国で転生することができました。
この話から徳を積むことは良いことであり、自身の祖先を救うことにもつながると信じられています。そのため、鬼月になると台湾の人たちはテーブルの上にお供え物をして霊に祈りを捧げるのです。
また、もともと鬼月は1日限りの儀式でしたが、台湾は移民社会であり過去4世紀に渡って多くの戦争を経験しました。その結果、戦争で多くの人が命を落としましたが、その遺族の大半は死者を追悼することができませんでした。それから清代末期になって、その霊たちを慰めるために1ヶ月に渡る儀式を行うようになりました。
鬼月の風習は仏教が起源と言われていますが、台湾では道教や民間信仰、儒教の教えが強く反映されています。中でも儒教の教えが強く、先祖の霊や無縁仏を供養するために家族や地域社会が一体となってお供え物を作ります。無縁仏も一緒に供養することで祖先が現世に転生した際に、他の霊たちからの悪さやいたずらを防げると言われています。
また、鬼月の儀式は台湾各地で形式が異なります。台湾最大の儀式は台北に近い港町、基隆(ジーロン)で開催されます。数日に渡りパレードが行われるほか、幸運を祈願する儀式や灯篭流しなどが行われます。宜蘭(イーラン)や恒春(ヘンチュン)では、油の塗られた柱を参加者が一斉に登り、一番早く上に置かれているお供え物に到達する人を競うという競技形式となっています。
観光客もこうした儀式への参加は可能なので、機会があったら参加をしてみましょう。また、これらとは別にこの時期の台湾ではいくつか注意すべき点があります。
「鬼」という単語を使わない
中国語では霊のことを「鬼(グェイ)」と言いますが、この単語を発すると霊たちが自分たちが呼ばれたと勘違いし、いたずらや悪さをすると言われているので、この単語は口にしないのが安全です。霊という単語の代わりに、「好兄弟(ハオションディ)」という呼び方があるので、こちらを使いましょう。
お箸を食べ物に突き立てない
日本とは少し理由が違いますが、食べ物にお箸を突き立てると霊たちはお箸を線香と勘違いし、その食べ物が自分たちへのお供え物と勘違いしてしまいます。そのため、台湾では鬼月でもそれ以外の時でも、死者を弔う時以外は箸を突き立てはいけません。
水を避ける
台湾では昔から霊たちが水辺、特に海水浴場などに住んでいると信じられていました。また、鬼月の間に川や海で泳ぐと足を引っ張られ、人間を水底へと引きずりこむことで溺れさせた相手を死者の世界に閉じ込め、代わりに霊が人間の世界で暮らせると言われています。近年では迷信と言われるようになり、鬼月の間もビーチで遊ぶ若者がいます。観光で訪れる場合は、滝などの水辺に行く機会もあると思いますが、水辺に近づく際は十分注意を払いましょう。
夜の注意事項
霊たちは特に夜になると活発に活動をします。そのため、暗くなってから誰かのフルネームを呼ぶ事はタブーとされています。フルネームで呼ぶと霊がその人のもとを訪れて不幸をもたらす可能性があるので、基本的にはあだ名で呼ぶのがいいとされています。また、昼夜問わず口笛を吹くことも霊を呼ぶので良くないと言われています。他にも一晩中外で衣服を干していると濡れた衣服に霊が寄り付くのでNGです。
台湾オペラの最前列を避ける
伝統的な台湾オペラ公演の最前列の席は霊たちのために確保されているものです。そのため、最前列の席に座ると霊たちの機嫌を損ねてしまう可能性があるので、座らないようにしましょう。
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