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春の民間信仰フェスティバル 台北の熱気を体験 (TAIPEI Quarterly 2020 春季号 Vol.19)

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発表日:2020-03-12

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TAIPEI #19 (2020 春季号)

春の民間信仰フェスティバル 台北の熱気を体験

文= 廖彦銘、朱婉慈
編集=下山敬之
写真= 林冠良、松山慈祐宮、日常散歩、保安宮、松山慈惠堂


台湾人の多くは大きな心配事があれば神様に答えを求め、些細な問題は占いによって安心を得ています。廟はそうした悩みを打ち明け、答えを探す場所であり台湾の民間信仰にとって非常に重要な場所です。また、信仰の中心として定期的な祭事と年に1 度の盛大な祭典を行っています。中には祭典の期間を延長し、芸術や文化関連のイベントを交えたフェスティバルを行う廟もあるほどです。

こうした取り組みを通じて地域の信者以外の人たちにも民間信仰の趣きを広めています。特に春になると台北の各廟では様々な祭典が催されます。今年はコロナウィルスの影響もあり、イベントの日程も不確定な部分がありますが、今季のTAIPEI では選りすぐりの祭典や関連する風習などを紹介していきます。実際にイベントが開催される際にはここで紹介する情報を参考にしてみてください。▲台湾の民間信仰には廟があり、そこに人々が集まることで文化が伝承されていきます。(写真/ 林冠良)

媽祖のご加護を 活力溢れる松山の文化背景
祖先が海を超えて台湾へたどり着き、海とともに生きてきた台湾人にとって海を守る女神「媽祖」の存在は非常に重要です。台北地区における媽祖信仰の中心、松山慈祐宮(ソンシャンツーヨウゴン)では旧暦3月の媽祖の誕生月になると盛大な祝賀イベントが行われます。▲松山の慈祐宮で行われる媽祖の巡行イベントには、毎年多くの信者が祝寿の線香を上げるために参拝します。(写真/ 松山慈祐宮)

中でも特に注目されるのが、媽祖の誕生日である旧暦3月23日に毎年執り行われている「三献大典」です。この他にも媽祖を乗せた神輿が松山区内を回る巡行儀式などがあり、イベント当日は媽祖を出迎えるための花や果物が通りを埋め尽くします。熱心な信者は神輿が通る道の上に伏し、自らの身体の上を渡らせる「鑽轎腳」を行い、廟内の広場では銅鑼や太鼓の音色が響く「歌仔戯(かざいぎ)」が披露されるなど神様と人々が共に楽しむイベントになっています。非常におめでたい日なので、家族と参加するのに適したイベントです。慈祐宮は現在の松山区を表す錫口地域一帯の信仰の中心で、強い求心力を持っています。毎年開催されている「錫口文化節」では、巡行儀式と「芸陣」と呼ばれる民俗芸能の披露とパレードで媽祖の生誕を祝うので非常に賑わいます。他にも慈祐宮の近くにある観光スポット彩虹橋(錫口橋)、饒河街夜市もおすすめです。
民俗祭典の伝承 保生文化祭
医療が発達する以前の台湾は疫病が発生した際、神様に救いを求めていました。そのため医神である「保生大帝」( バオションダーディ)、薬王とされる「神農大帝」( シェンノンダーディ) などへの信仰が大変盛んです。

毎年、旧暦3月15日の保生大帝の誕生日には、大龍峒地区で盛大な祭典が行われます。1994年からは伝統的な祭典に芸術発表や文化的な内容を加え、「保生文化祭」という約2か月に渡る大規模なイベントが開催されるようになりました。▲精神の伝承を重視している保生文化祭では人々の心を熱くさせます。(写真/保安宮)

保生文化祭では「放火獅」や火渡り儀式、「家姓戲」という劇など中国の同安から持ち込まれた風習が多く残されています。また、保安宮が2003年にユネスコのアジア太平洋文化資産保存賞を受賞したことで保生文化祭は宗教的な意義だけでなく、文化や芸術の中心地としても注目されるようになりました。今年の保生文化祭は4月7日に行われますが、「放火獅」、「家姓戲」と火渡り儀式は行われませんのでご注意ください。▲大龍峒にある保安宮は中国の泉州から台湾に渡ってきた人たちの信仰の中心です。(写真/ 日常散歩)

慈悲の心を抱く 母娘文化季
台北市信義区(シンイーチュー)にある松山慈恵堂は家庭繁栄、結婚、出産を司り、「西王母」の別名を持つ「瑤池金母」( ヤオツージンムー) を祀っています。台湾北部最大規模の慈恵堂は文化の中枢で、慈愛と感謝を意味する「母娘精神」の教えを核に、教育やチャリティー活動、道徳の提唱、社会教育などを通して慈悲の心を説いています。▲松山慈恵堂の関係者全員が来ている「青衫」は、西王母の慈悲の力を身にまとうことで信者を安心させるという意味があります。(写真/松山慈恵堂)

祀られている主神が「王母娘娘」であることから信者の大半は女性で、廟の中も秩序と規則性があります。信者は落ち着きと優雅さ、上品な雰囲気を醸し出す「青衫」という簡素な中国式の服を身に着けていますが、それが荘厳な廟内の様子と相まって2013年に内政部が選ぶ「台湾宗教百景」の一つに選ばれました。▲松山慈恵堂の関係者全員が来ている「青衫」は、西王母の慈悲の力を身にまとうことで信者を安心させるという意味があります。(写真/松山慈恵堂)

松山慈恵堂では2008年より毎年開催している「台北母娘文化季」、上半期に行う法会や巡行、社会的貢献のための文化教育チャリティーイベントを企画しています。また、巡行の
神輿には王母娘娘の像の他にたくさんの旗を持った仙女や宮女、神輿の前後には「芸閣陣頭」や「花車」という山車が並ぶなどの特色があります。残念ながら今年の巡行儀式は中止となりましたが、慈恵堂を参拝して王母娘娘に家庭内の健康を祈ってみてはいかがでし
ょうか。▲松山慈恵堂で巡行儀式が行われる際は、信者たちが巨大な母娘の神像を担いで町中を練り歩きます。 (写真/松山慈恵堂)

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