発表日:2021-03-12
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TAIPEI #23 (2021 春季号)
豊富な花が勢ぞろい 台北を彩る永進花卉
文/Catherine Shih
編集/下山敬之
写真/Samil Kuo、台北花卉批発市場
フラワーショップを営む景志銘(ジンズーミン)さんと曾郁涵(ツェンユーハン)さん夫妻の1日は午前2時半から始まります。賑やかな台北花卉批発市場の中にある生花店「永進花卉(ヨンジンホァホィ)」は30年以上に渡り営業している老舗。生花の卸売業者であるこのお店の顧客は小売店からフラワーアレンジメント講師、スタジオのオーナーと多岐に渡ります。
▲台北花卉批発市場の中にある永進花卉では台湾全土及び世界中の花20が購入できます。
永進花卉の原点
同店は景さんのご両親が台北の酒泉街(ジョウチュエンジエ)屋台を始めたことがきっかけとなり、1983年にスタートしました。二人は台湾中部の台中后里区の花卉農家でしたが、地元生産者の生活水準が向上するようにと独自の事業展開を模索。生産者たちも苦労して育てた花を譲りたいと思う人が増えていき、卸売業へと発展を遂げました。
90年代に産業規模が拡大したことで永進花卉は路地の質素な屋台から濱江市場の2階に店舗を構えるようになり、最終的に現在の内湖へと移転。その後、設備面の改良によって生花の製造と販売の仕組みが最適化され、生花卸売市場で確固たる地位を築きました。2014年に景さんの両親が経営から退くと事業は景志銘さん夫妻に受け継がれますが、お店の誇りと理念は変わらずに守られています。
早起きは三文の得
二人は早朝からお店の準備や花の陳列、そして毎日午前3時半から始まる輸入花の競りの準備を始めます。インターネットと最新テクノロジーの導入によって競りは全てオンラインで完結するそうです。
▲花市場のスタッフは競りが始まる前に、花をカテゴリごとに分けておきます。(写真/台北花卉批発市場)
「競りは基本的にカテゴリごとに分類された輸入花をベルトコンベア式に選択する流れとなっていて、大きなスクリーンに各花のコンディションが表示されます。一般的な競りは最低価格からスタートして価格が上がっていきますが、生花産業では時間節約のために高値からスタートして値段が下がっていきます。どの時点で入札するかは花のコンディションや品質、生産者によって変わり、中には高品質で評判のいい生産者などもいます」と話す景さん。
永進花卉で取り扱うは花の種類は輸入花も含め60~70種類ほど。「取り扱っている花の中でも桔梗は人気が高く、私たちはこれだけで10品種揃えています。ただ毎日完売するわけではないので、毎朝店頭の陳列を変えなければいけません」
▲永進花卉の二代目・景志銘さんは毎日深夜に起きて仕事を始めます。
旧正月商戦の準備
冬が終わると次は旧正月の到来に向けて在庫を準備しなければいけません。旧正月には自分の家や会社を花で飾る人が多いためです。「フラワーアレンジメントのコースなどを受講していない限り、吸水スポンジなど専門的な道具を使用する人は多くなく、ほとんどの家庭では花瓶を使うのが一般的です。そのため、私たちが扱う花の大半は管理が簡単で、花瓶でも育ちやすいものが中心となっています」と景さんは話します。
▲永進花卉では色とりどりの輸入したバラを含め、平均して6、70種類の花を毎日販売しています。
菊、ユリ、バラ、ランなどは年間を通して人気のある花で、その中でもバラはトゲさえ抜けば管理が非常に簡単であるため、定番商品として扱っているのだとか。
「旧正月の連休が終わるとヤグルマギク、ブルーレースフラワー、シルバーベル、アメリカンブルー、アザミ、カラーリリー、オンシジュームなど、春に咲く地元の花はよく売れますし、一部の花はすでに購入できます。また、春になって気温が高くなると特別輸入品も入荷します。例えば日本から輸入したスイートピーなどです」
取材の際にそれぞれの花の香りを嗅がせていただきましたが、どれも軽やかな春にぴったりの香りでした。
台湾でしか見られない花について尋ねてみると、近年台湾で栽培されているスパイダーリリーの特別な品種という答えてくれました。「通常はヨーロッパやアメリカなどの諸外国に輸出していましたが、新型コロナウィルスの影響もあって地元の市場をターゲットにしています」こちらは早朝の競りで景さんが勝ち取った花だそうで、取材を終える頃には全て完売していました。
かつて「世界のランの中心地」として知られた台湾は、スパイダーリリーを含む多くの特殊なランを開発、栽培してきました。台北花卉批発市場に足を運ぶと、これらの品種を垣間見るチャンスがあるかもしれません。
▲永進花卉では春らしいアメリカンブルー、アザミやスパイダーリリーといったシーズンごとの台湾の花を数多く取り扱っています。
地元のお客様がメイン
「お客様の大半は私たちが品質に妥協しないことを知っているので、長年リピートしてくれています。私たちはそうしたお客様とのお付き合いを大切にしてきましたが、カスタマーサービスはビジネスにおいて非常に重要な要素であり、最も難しいポイントでもあります」と苦笑する景さん。
他に難しい点を尋ねると「間違いなく早起きですね!それと生花業界は、鮮度があるところが他の業界とは異なります。市場や価格の変動に合わせながらも花の鮮度の維持が大きな問題です。また、供給不足も多いので、特定の品種、特に輸入花や珍しい花を仕入れる場合は同業者と争うこともあります。極めつけは、水で満たされた重い箱や花瓶を絶えず動かす肉体労働という点です。ただ、どれも繰り返していくうちに慣れていきますよ」と答えてくれました。
▲花の鮮度と状態の管理も永進花卉の日常業務の一つです。
景さんいわく、ビジネスでの最大の成果はショップのウェブサイトだそうです。「私が事業を引き継いだときに台湾初の生花卸売サイトを始めました。オンラインでの生花販売は非常に難しく、これまで誰もやったことがなかったので、それ自体が偉業と言えます。また、生花の価格は競りや市場によって毎日変わるので、お客様が適正な価格で花を購入できるように、常に価格の更新が必要です。ただ、オンラインビジネスを始めたことで台北花卉批発市場に来られないお客様にもアプローチできるようになりました」。
▲花の鮮度と状態の管理も永進花卉の日常業務の一つです。
生花の仕入れ
長年の生花販売に携わっている景さんは、台北花卉批発市場での取引方法を説明してくれました。「特に高価な花やエキゾチックな花でない限り市場に出回る花の大半は、束または房単位で販売されています。アジサイやランの場合は安くないので、通常は個別に販売されます。また、茎で数えるのが難しいシュッコンカスミソウやカスミソウなどの花は重量で値段が変わります」。
▲内湖の台北花卉批発市場は、鉢植えや切り花など1,000を超える花が売られている宝の山のような場所です。
景さんが過去に仕入れた中で最も興味深かった商品はクリスマスツリーだそうです。「お客様から特別な注文があったので仕入れましたが、輸入する必要があり、大きさは約2メートルもありました!」永進花卉の商品は多様性とオリジナリティがあるので、この特注品の仕入れもそれほど難しい決断はなかったように思います。
生花の卸売業者には十分なビジネスの知識と資金が必要で、簡単にできる仕事ではありません。私たちが台北で花に囲まれた生活ができるのも、そんな景さんと曾さん夫妻が真夜中から競りに参加し、重い花を市場に運んでくれているからこそではないでしょうか。
▲景志銘さんは春を感じられる花を用意してお客さんの来店を待っています。
永進花卉
◼️住所:內湖区新湖三路28号 (ブース番号 1507)
◼️營業時間:3:00~12:00(日曜定休)
豊富な花が勢ぞろい 台北を彩る永進花卉
文/Catherine Shih
編集/下山敬之
写真/Samil Kuo、台北花卉批発市場
フラワーショップを営む景志銘(ジンズーミン)さんと曾郁涵(ツェンユーハン)さん夫妻の1日は午前2時半から始まります。賑やかな台北花卉批発市場の中にある生花店「永進花卉(ヨンジンホァホィ)」は30年以上に渡り営業している老舗。生花の卸売業者であるこのお店の顧客は小売店からフラワーアレンジメント講師、スタジオのオーナーと多岐に渡ります。
永進花卉の原点
同店は景さんのご両親が台北の酒泉街(ジョウチュエンジエ)屋台を始めたことがきっかけとなり、1983年にスタートしました。二人は台湾中部の台中后里区の花卉農家でしたが、地元生産者の生活水準が向上するようにと独自の事業展開を模索。生産者たちも苦労して育てた花を譲りたいと思う人が増えていき、卸売業へと発展を遂げました。
90年代に産業規模が拡大したことで永進花卉は路地の質素な屋台から濱江市場の2階に店舗を構えるようになり、最終的に現在の内湖へと移転。その後、設備面の改良によって生花の製造と販売の仕組みが最適化され、生花卸売市場で確固たる地位を築きました。2014年に景さんの両親が経営から退くと事業は景志銘さん夫妻に受け継がれますが、お店の誇りと理念は変わらずに守られています。
早起きは三文の得
二人は早朝からお店の準備や花の陳列、そして毎日午前3時半から始まる輸入花の競りの準備を始めます。インターネットと最新テクノロジーの導入によって競りは全てオンラインで完結するそうです。
「競りは基本的にカテゴリごとに分類された輸入花をベルトコンベア式に選択する流れとなっていて、大きなスクリーンに各花のコンディションが表示されます。一般的な競りは最低価格からスタートして価格が上がっていきますが、生花産業では時間節約のために高値からスタートして値段が下がっていきます。どの時点で入札するかは花のコンディションや品質、生産者によって変わり、中には高品質で評判のいい生産者などもいます」と話す景さん。
永進花卉で取り扱うは花の種類は輸入花も含め60~70種類ほど。「取り扱っている花の中でも桔梗は人気が高く、私たちはこれだけで10品種揃えています。ただ毎日完売するわけではないので、毎朝店頭の陳列を変えなければいけません」
旧正月商戦の準備
冬が終わると次は旧正月の到来に向けて在庫を準備しなければいけません。旧正月には自分の家や会社を花で飾る人が多いためです。「フラワーアレンジメントのコースなどを受講していない限り、吸水スポンジなど専門的な道具を使用する人は多くなく、ほとんどの家庭では花瓶を使うのが一般的です。そのため、私たちが扱う花の大半は管理が簡単で、花瓶でも育ちやすいものが中心となっています」と景さんは話します。
菊、ユリ、バラ、ランなどは年間を通して人気のある花で、その中でもバラはトゲさえ抜けば管理が非常に簡単であるため、定番商品として扱っているのだとか。
「旧正月の連休が終わるとヤグルマギク、ブルーレースフラワー、シルバーベル、アメリカンブルー、アザミ、カラーリリー、オンシジュームなど、春に咲く地元の花はよく売れますし、一部の花はすでに購入できます。また、春になって気温が高くなると特別輸入品も入荷します。例えば日本から輸入したスイートピーなどです」
取材の際にそれぞれの花の香りを嗅がせていただきましたが、どれも軽やかな春にぴったりの香りでした。
台湾でしか見られない花について尋ねてみると、近年台湾で栽培されているスパイダーリリーの特別な品種という答えてくれました。「通常はヨーロッパやアメリカなどの諸外国に輸出していましたが、新型コロナウィルスの影響もあって地元の市場をターゲットにしています」こちらは早朝の競りで景さんが勝ち取った花だそうで、取材を終える頃には全て完売していました。
かつて「世界のランの中心地」として知られた台湾は、スパイダーリリーを含む多くの特殊なランを開発、栽培してきました。台北花卉批発市場に足を運ぶと、これらの品種を垣間見るチャンスがあるかもしれません。
地元のお客様がメイン
「お客様の大半は私たちが品質に妥協しないことを知っているので、長年リピートしてくれています。私たちはそうしたお客様とのお付き合いを大切にしてきましたが、カスタマーサービスはビジネスにおいて非常に重要な要素であり、最も難しいポイントでもあります」と苦笑する景さん。
他に難しい点を尋ねると「間違いなく早起きですね!それと生花業界は、鮮度があるところが他の業界とは異なります。市場や価格の変動に合わせながらも花の鮮度の維持が大きな問題です。また、供給不足も多いので、特定の品種、特に輸入花や珍しい花を仕入れる場合は同業者と争うこともあります。極めつけは、水で満たされた重い箱や花瓶を絶えず動かす肉体労働という点です。ただ、どれも繰り返していくうちに慣れていきますよ」と答えてくれました。
景さんいわく、ビジネスでの最大の成果はショップのウェブサイトだそうです。「私が事業を引き継いだときに台湾初の生花卸売サイトを始めました。オンラインでの生花販売は非常に難しく、これまで誰もやったことがなかったので、それ自体が偉業と言えます。また、生花の価格は競りや市場によって毎日変わるので、お客様が適正な価格で花を購入できるように、常に価格の更新が必要です。ただ、オンラインビジネスを始めたことで台北花卉批発市場に来られないお客様にもアプローチできるようになりました」。
生花の仕入れ
長年の生花販売に携わっている景さんは、台北花卉批発市場での取引方法を説明してくれました。「特に高価な花やエキゾチックな花でない限り市場に出回る花の大半は、束または房単位で販売されています。アジサイやランの場合は安くないので、通常は個別に販売されます。また、茎で数えるのが難しいシュッコンカスミソウやカスミソウなどの花は重量で値段が変わります」。
景さんが過去に仕入れた中で最も興味深かった商品はクリスマスツリーだそうです。「お客様から特別な注文があったので仕入れましたが、輸入する必要があり、大きさは約2メートルもありました!」永進花卉の商品は多様性とオリジナリティがあるので、この特注品の仕入れもそれほど難しい決断はなかったように思います。
生花の卸売業者には十分なビジネスの知識と資金が必要で、簡単にできる仕事ではありません。私たちが台北で花に囲まれた生活ができるのも、そんな景さんと曾さん夫妻が真夜中から競りに参加し、重い花を市場に運んでくれているからこそではないでしょうか。
永進花卉
◼️住所:內湖区新湖三路28号 (ブース番号 1507)
◼️營業時間:3:00~12:00(日曜定休)
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