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次世代のお茶屋「Wangtea Lab」  (TAIPEI Quarterly 2021 春季号 Vol.23)

アンカーポイント

発表日:2021-03-15

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TAIPEI #23 (2021 春季号)

次世代のお茶屋「Wangtea Lab」 

文/Adam Hopkins
編集/下山敬之
写真/鄧毅駿、潘俊霖


世界中で愛されているお茶は例に漏れず台北でも人気の飲み物。しかし、どちらかといえば年配の人が飲む印象が強く、若い世代にはコーヒーやタピオカミルクティー、地ビールの方が人気です。伝統を貫くお茶屋さんも時代や顧客ニーズの変化に合わせて変化を求められています。

また、昨今はインフルエンサーがブームの発祥となっていることから、飲み物も味だけでなく見栄えが重視されるようになりました。そんな中、大稲埕には130年以上に渡る伝統を守りながら、若者からの人気を得ることに成功したお茶屋さんがあります。

それが、1890年に創業した有記名茶(ヨウジーミンチャー)。このお店は観光地として有名な迪化街(ディーホァジエ)と寧夏夜市(ニンシャーイェシー)の中間に位置する重慶北路(チョンチンベイルー)にあり、そのスタイリッシュさで現代のお茶業界に新たなページを刻みました。IMG_0110▲Wangtea Labは伝統的なお茶文化にモダンな環境を組み合わせた革新的な空間となっています。

お茶の楽しみ方を一新
有記名茶のオーナーである王聖鈞(ワンションジュン)さんが立ち上げた新ブランドWangtea Labは、お茶屋さんというよりもオシャレなバーを思わせるお店です。場所は有記名茶の製茶工場とお茶博物館に隣接していて、モダンなスペースでスパークリングティーや茶ビールといった斬新なメニューが楽しめます。

従来のお茶屋さんとは一線を画すWangtea Labのスタイルとアプローチは、急速に変わりつつある台北のお茶文化に対応したものと言えるでしょう。「若い世代もお茶は飲みますが、伝統的な飲み方はしませんね」と王さんは話します。

「若い人たちはタピオカの方が好きで、わざわざお茶屋で自らお茶を淹れる人はあまり見かけません。それこそが私たちにとってのニッチ市場でした」そうした背景からお茶屋としての伝統と流行りのタピオカの中間にあるものを追求したそうです。DSC_8247
そういった想いから生まれたWangtea Labは台湾にはなかった製法でスパークリングティーを提供しています。

また、このように市場のニーズをうまく衝いた経営をしつつ、父親との夢でもあった家族で運営するお茶屋のオープンも実現させました。

革新的な一家の歴史
「父はもともと伝統的なお茶屋を開きたがっていましたが、実現することができず、私に好きなようにやるようにと経営を委ねました」そう語る王さんの壮大なプロジェクトはここから始まりました。「私が考えていることを家族がすべて理解しているわけではありませんが、それでもずっとサポートしてくれています。父は新しい考え方にとてもオープンな人なので、新しいお茶を作ったらまず父に意見を求めます」

メニューは王さんがおすすめするお茶ばかりで、さらに茶葉の種類や焙煎の度合いなどの情報を記載するといった革新的な試みもされています。DSC_8032-2▲有記名茶の五代目となる王聖鈞さんは、自らが作り上げた新しいお茶を楽しむ空間で達成したいことや願いを共有してくれました。

特に試してほしいお茶については「他では味わえないドラフトティーですね。それに様々なお茶のブレンドもおすすめです。他のお店では提供していませんが、私たちは、2、3種類のお茶をブレンドして新たなフレーバーを創り上げています」と話します。

また、チェーン店との差別化として糖分やタピオカが入ったお茶は提供していませんが、唯一ミルクティーだけはメニューに加えられています。「本当はミルクティーも避けたかったのですが、台北では人気が高いので外せませんでした」と理由を述べています。

Wangtea Labの打ち出す新たなコンセプト
革新的なアイディアとクリエイティブに富んだフレーバーが魅力のWangtea Labですが、商品開発については次のように語っています。「大学時代から家業に携わっていたので、ブレンドの作り方や基本については理解をしていました。あとはとにかく試行錯誤を続けてここまでたどり着きました」

スパークリングティーも実験を繰り返したメニューの一つだそうで「とにかく色々試しました。炭酸は香りを消してしまうので、フローラルやフルーティな香りの強いお茶を使う必要がありました。また、炭酸より窒素ガスを使う方が、味が滑らかになることもわかりました」と王さんは言います。DSC_8798▲Wangtea Labでは様々な茶葉を提供しているので、発酵や乾燥の度合いが異なるお茶を味わえます。

Wangtea Labのドラフトティーはまさにオリジナルで、このお茶が楽しめるのは台北の中でもここだけ。また、淹れ方のもこだわり、多くのお店が従来のティーポットや蓋杯または蓋碗と呼ばれる蓋つきの茶器を使用する中でハンドドリップを採用しました。「中には茶葉を砕かないホールリーフで淹れるシリーズもあります。その方が香り高く、私としては味も良くなると感じています」

加えて王さんは、「もっとたくさんの人々に台湾茶の文化を知っていただきたいので、メニューを通じて発酵や焙煎などお茶の知識を得られるようにしたり、製茶工場の一般開放もしています」と話しています。

また、お店の魅力をお客さんに伝えるために他のビジネスモデルを参考しているそうです。「様々なビジネスをリサーチして、勉強や友達とのおしゃべりのためにカフェに行くのはなぜか、なぜお茶屋には行かないのか、私がカフェから学べるものは何かなどを学んでいます。台北にはとても人気のあるDraft Landというカクテルブランドがありますが、種類が豊富なのにも関わらずこれらを簡単に提供しています。労力を減らして作業を簡略化しているのです」。

またWangtea Labでは他の飲料メーカーとも提携し、さらに革新的なお茶を作り出しています。昨年は台湾のブリュワリー・金色三麥がWangtea Labのお茶を使用した「包種茶」ビールをコンビニで発売しました。その際に、王さんはブリュワリーに対してWangtea Lab用にカスタマイズしたフレーバーの開発を依頼し、コンビニで販売しているものよりも香りの強い商品を生みだしました。DSC_8309▲生ビールのように泡立つお茶はWangtea Labの中でも特徴的な商品の一つです。

お茶の可能性を追求
今のところ、Wangtea Labはお茶に詳しい方、そうでない方双方から良好な評判を得ています。「あまりにも他とは異なるやり方をしているので、お茶業界からも注目を集めていますね。それに、普段はカフェに行くというお客様にも興味を持っていただいています」王さんいわく、この新しい店は最新のインテリアデザインも注目を集めている要因なのだとか。

店内に一歩足を踏み入れると、まず目に留まるのが中央にあるモダンなデザインのバーカウンターと天井から吊られた竹製のランタン。この時点でお客さんは一般的なお茶屋ではないと気づくそうです。DSC_8602 copy​​​​​​​▲Wangtea Labの内装はレトロなレンガ建築の壁が残っているだけだなく、自然光が入る明るい空間設計となっています。

その一方で、有記名茶は歴史あるブランドでもあるので、以前から知っていた人たちも新しいWangtea Labのビジネスに興味を示しているそうです。これはお茶業界にとっても新たな動きと言えるでしょう。

王さんは今後の展望についてこう述べています。「今は新しいことをしているので、まず事業全体を安定化させる必要があります。その上で、ドラフトやハンドドリップに新たなフレーバーを加えたり、異なる場所でのブランド展開を考えたいと思っています。たとえばドラフトシリーズやハンドドリップシリーズだけを扱うお店とかですね」。

Wangtea Labは馴染みがあるようで、どこか新しさがあり、伝統的でありながら他とは違った味わいが楽しめるお店です。これまでとは違う台湾茶を体験したいという方はぜひ足を運んでみてください。

◼️住所:大同区重慶北路二段64巷24号
◼️營業時間:
12:00~21:00(月曜-土曜) 10:00~19:00 (日曜)  | 火曜定休

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