発表日:2021-07-02
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TAIPEI #24 (2021 夏季号)
台北に住むムスリムたちの架け橋
文:林佳蕙
編集:下山敬之
写真:陳志誠、杜拝皇宮、Yenyi Lin
近年、台湾では東南アジアからの移住労働者が増えています。それに伴って、台湾ではムスリムのコミュニティによる新たな文化的風景が形成されています。最初は馴染みのない状態でも、徐々に異国の文化に対する好奇心が芽生え、次第にイスラム文化の生活様式も理解されていきます。台北に住む譚雲福さんは、「台湾は多様化していて寛容です。この地に滞在するムスリムの仲間にとっても、快適であるだけでなく、自身の文化的な教養も豊かにしてくれる場所です」と述べています。
譚雲福(タンユンフー)さんは、幼い頃からインドネシアで育った華僑で、インドネシアの移住労働者の境遇について熟知しています。しかし、台北に来た当初はムスリムのグループに対して共感をしていませんでした。インドネシア人と華人という2種類の血統を持つ彼ら一家は、インドネシアの排華運動で被害に遭いました。こうした事件は歴史や政治的要因によるものですが、そうしたわだかまりがあったためです。その後、譚さんは台北市労働局の外国人労働者の相談員として雇われ、悩みを抱えた人たちに協力する過程で、次第にわだかまりが解けていきました。
▲台北清真寺は台湾初のイスラム教の礼拝堂で、ムスリムの人たちが信仰のために訪れる場所です。(写真/YenyiLin)
「当時の業務はインドネシアの人たちを守ることで、、彼らにとって私は異国での拠り所でした。そのため、先入観を捨てて、思いやりを持って接することを決意しました」。在職期間中は労働紛争の調停に協力したり、移住労働者が雇用主から不当、あるいは暴力的な扱い受けないよう守っていました。中でも頻繁に対応していたのが、宗教文化の違いによって生じる問題です。例えば、移住労働者が自宅で白いターバンを巻いて礼拝の儀式を行うことを受け入れられない雇用主がいたり、ムスリムに豚肉を食べることを強要する人もいます。譚さんは、現地の人々がイスラム教の規範に理解を示してくれることを期待し、こう述べています。「儀式の時間は、神様とのコミュニケーションの時間です。それぞれの宗教信仰によってやり方が違うだけです。媽祖の巡行やクリスマスの美しさを認められるなら、イスラム教の儀式の歴史や背景を理解することもできるはずです」。
▲台北に住むイスラム教徒の多くは移民や移民労働者です。彼らにとって、信仰や習慣を維持することが非常に重要です。
今日では、ムスリムの生活様式について多少の認識を持っている人も増えました。公共の場所でも礼拝室が設置されていたり、ハラル認証の飲食・旅行エリアも増えています。譚さん曰く、台北市政府が行った大々的な周知啓発は無視できない功績とのことです。「異なる民族、宗教のコミュニティが他のコミュニティの考え方を変えることは決して簡単ではありません。20年という時間で変化した台湾は、とても早いと言えます」。譚さんはみんなが友好的に触れ合い、異国の文化をもっと認識する。そして、双方の違いを理解し、受け入れることを推奨しています。
私たちもムスリム
多くのムスリムが移住したことで、台湾の文化にも異なる一面が見られるようになりました。ここでは譚さんが案内してくれたムスリムに関連する場所とその文化を紹介していきます。私たちがその文化を積極的に理解しようとすれば、わだかまりはすぐになくなります。ムスリムも現地の人と同じように、台北という土地で懸命に生活する仲間であると気づけるのではないでしょうか。
ムスリムの心の拠り所:台北清真寺
1960年に落成した「台北清真寺」は、台北に住むムスリムにとって重要な場であるだけでなく、モスク建築の特色も学べるスポットです。イスラム建築でよく見られるドーム設計だけでなく、台湾の様式と融合したタイル、ローマ式を模した廊下などを組み合わせた特徴的設計となっています。建物をじっくり鑑賞するだけでも十分な価値があるでしょう。
▲台北清真寺は高さ15メートルのドーム型をしていて、院内は厳粛な雰囲気に包まれています。(写真/Yenyi Lin)
ハラル認証のグルメ天国:CLC東南亜食品百貨
台北地下街Y4出口にある「CLC東南亜食品百貨」では、化粧品、ボディソープ、調味料、お菓子や加工食品などあらゆる商品を販売しています。ムスリムの人にとって、故郷で使い慣れたブランドの商品があるだけでなく、最も重要なハラル認証の食品が購入できることが人気の理由です。
「ムスリムの人たちが自国のソースを使う理由は、味が違うだけでなく、食品を作る鍋、お碗、お玉、皿、キッチンから製作過程まで、すべてがハラル認証をクリアしたものでなければいけないからです。一度でも非ハラルの肉に触れた器具は、食品の調理に使用できません。また、動物を屠殺する前にコーランを読む必要もあります。」非ムスリムの方も、CLCで販売されている東南アジアの食材や惣菜を通じて、異なる民族の文化を知り、異国の風情を感じることができます。
▲CLC東南亜食品百貨では、さまざまなハラル食品を購入できます。
ムスリムのファッション:Butik Ria Taipei
ムスリムのファッションも信仰の規範がある文化的な特色の一つと言えます。譚さんは、「色欲の象徴とされる毛髪を覆うため、ムスリムの女性の大半はヒジャーブ(スカーフ)を巻かなければいけません。ヒジャーブは時期や地域によっても違いがあります。また、ムスリムの女性は、礼拝の儀式の時に純白の服を着なければいけませんが、別のシーンでは柄や色がついたファッションをするなど、非常にオシャレです。生地も無地やカラフルなものなど風情がありますし、時期によって流行のデザインも異なります」とムスリムの服装について教えてくれました。「Salon Ria」というヘアサロンが兼業するムスリムのファッションブティック「Butik Ria Taipei」では、様々な種類のデザインが展示されているので、ムスリムのファッションの美しさを知ることができます。
▲ムスリムの女性のファッションにもトレンドがあり、豊富な選択肢があります。
草花や幾何学で生活を彩る:杜拝皇宮Dubai Palace
イスラム教は偶像崇拝を禁じているため、生活の中の調度品の多くは花や植物、抽象的な幾何学模様で装飾します。「杜拝皇宮Dubai Palace」ではトルコ、ドバイ、アラブ首長国連邦からの輸入品を多く取り扱っていて、美しい模様が装飾されたテーブルマット、ティーセット、香炉、絨毯などがあります。波紋、半円など様々な模様やカラフルな色を取り入れたデザインが特徴です。気になった商品があれば実際に購入して、ムスリム文化の持つ美しい工芸品で住まいを彩ってみましょう。
▲特徴的なムスリム文化の模様は、生活空間に異国の雰囲気を添えてくれます。(写真/杜拝皇宮)
台北に住むムスリムたちの架け橋
文:林佳蕙
編集:下山敬之
写真:陳志誠、杜拝皇宮、Yenyi Lin
近年、台湾では東南アジアからの移住労働者が増えています。それに伴って、台湾ではムスリムのコミュニティによる新たな文化的風景が形成されています。最初は馴染みのない状態でも、徐々に異国の文化に対する好奇心が芽生え、次第にイスラム文化の生活様式も理解されていきます。台北に住む譚雲福さんは、「台湾は多様化していて寛容です。この地に滞在するムスリムの仲間にとっても、快適であるだけでなく、自身の文化的な教養も豊かにしてくれる場所です」と述べています。
譚雲福(タンユンフー)さんは、幼い頃からインドネシアで育った華僑で、インドネシアの移住労働者の境遇について熟知しています。しかし、台北に来た当初はムスリムのグループに対して共感をしていませんでした。インドネシア人と華人という2種類の血統を持つ彼ら一家は、インドネシアの排華運動で被害に遭いました。こうした事件は歴史や政治的要因によるものですが、そうしたわだかまりがあったためです。その後、譚さんは台北市労働局の外国人労働者の相談員として雇われ、悩みを抱えた人たちに協力する過程で、次第にわだかまりが解けていきました。
「当時の業務はインドネシアの人たちを守ることで、、彼らにとって私は異国での拠り所でした。そのため、先入観を捨てて、思いやりを持って接することを決意しました」。在職期間中は労働紛争の調停に協力したり、移住労働者が雇用主から不当、あるいは暴力的な扱い受けないよう守っていました。中でも頻繁に対応していたのが、宗教文化の違いによって生じる問題です。例えば、移住労働者が自宅で白いターバンを巻いて礼拝の儀式を行うことを受け入れられない雇用主がいたり、ムスリムに豚肉を食べることを強要する人もいます。譚さんは、現地の人々がイスラム教の規範に理解を示してくれることを期待し、こう述べています。「儀式の時間は、神様とのコミュニケーションの時間です。それぞれの宗教信仰によってやり方が違うだけです。媽祖の巡行やクリスマスの美しさを認められるなら、イスラム教の儀式の歴史や背景を理解することもできるはずです」。
今日では、ムスリムの生活様式について多少の認識を持っている人も増えました。公共の場所でも礼拝室が設置されていたり、ハラル認証の飲食・旅行エリアも増えています。譚さん曰く、台北市政府が行った大々的な周知啓発は無視できない功績とのことです。「異なる民族、宗教のコミュニティが他のコミュニティの考え方を変えることは決して簡単ではありません。20年という時間で変化した台湾は、とても早いと言えます」。譚さんはみんなが友好的に触れ合い、異国の文化をもっと認識する。そして、双方の違いを理解し、受け入れることを推奨しています。
| 譚雲福 インドネシア語ニュースキャスター。台湾国際放送のインドネシア語番組の司会者。1994年に勉強のために渡台。かつては台北市労働局の外国人労働者の相談員を務め、移住労働者コミュニティの中で活躍。台北とムスリムの移住労働者間の重要な架け橋となっている。 |
私たちもムスリム
多くのムスリムが移住したことで、台湾の文化にも異なる一面が見られるようになりました。ここでは譚さんが案内してくれたムスリムに関連する場所とその文化を紹介していきます。私たちがその文化を積極的に理解しようとすれば、わだかまりはすぐになくなります。ムスリムも現地の人と同じように、台北という土地で懸命に生活する仲間であると気づけるのではないでしょうか。
ムスリムの心の拠り所:台北清真寺
1960年に落成した「台北清真寺」は、台北に住むムスリムにとって重要な場であるだけでなく、モスク建築の特色も学べるスポットです。イスラム建築でよく見られるドーム設計だけでなく、台湾の様式と融合したタイル、ローマ式を模した廊下などを組み合わせた特徴的設計となっています。建物をじっくり鑑賞するだけでも十分な価値があるでしょう。
ハラル認証のグルメ天国:CLC東南亜食品百貨
台北地下街Y4出口にある「CLC東南亜食品百貨」では、化粧品、ボディソープ、調味料、お菓子や加工食品などあらゆる商品を販売しています。ムスリムの人にとって、故郷で使い慣れたブランドの商品があるだけでなく、最も重要なハラル認証の食品が購入できることが人気の理由です。
「ムスリムの人たちが自国のソースを使う理由は、味が違うだけでなく、食品を作る鍋、お碗、お玉、皿、キッチンから製作過程まで、すべてがハラル認証をクリアしたものでなければいけないからです。一度でも非ハラルの肉に触れた器具は、食品の調理に使用できません。また、動物を屠殺する前にコーランを読む必要もあります。」非ムスリムの方も、CLCで販売されている東南アジアの食材や惣菜を通じて、異なる民族の文化を知り、異国の風情を感じることができます。
ムスリムのファッション:Butik Ria Taipei
ムスリムのファッションも信仰の規範がある文化的な特色の一つと言えます。譚さんは、「色欲の象徴とされる毛髪を覆うため、ムスリムの女性の大半はヒジャーブ(スカーフ)を巻かなければいけません。ヒジャーブは時期や地域によっても違いがあります。また、ムスリムの女性は、礼拝の儀式の時に純白の服を着なければいけませんが、別のシーンでは柄や色がついたファッションをするなど、非常にオシャレです。生地も無地やカラフルなものなど風情がありますし、時期によって流行のデザインも異なります」とムスリムの服装について教えてくれました。「Salon Ria」というヘアサロンが兼業するムスリムのファッションブティック「Butik Ria Taipei」では、様々な種類のデザインが展示されているので、ムスリムのファッションの美しさを知ることができます。
草花や幾何学で生活を彩る:杜拝皇宮Dubai Palace
イスラム教は偶像崇拝を禁じているため、生活の中の調度品の多くは花や植物、抽象的な幾何学模様で装飾します。「杜拝皇宮Dubai Palace」ではトルコ、ドバイ、アラブ首長国連邦からの輸入品を多く取り扱っていて、美しい模様が装飾されたテーブルマット、ティーセット、香炉、絨毯などがあります。波紋、半円など様々な模様やカラフルな色を取り入れたデザインが特徴です。気になった商品があれば実際に購入して、ムスリム文化の持つ美しい工芸品で住まいを彩ってみましょう。
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