発表日:2021-09-11
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TAIPEI #25 (2021 秋季号)
台北を彩る潑墨芸術
文:CatherineShih
編集:下山敬之
写真:柯淑玲、Taiwan Scene、Yenping Yang
芸術は精神的な癒やし
ストレスや不安、意気消沈など精神的に辛いとき、芸術や絵画は心を落ち着かせる手助けをしてくれます。これは、都会で忙しい毎日を送る人たちにとって非常にクリエイティブなストレスの発散方法です。自然や文化、美しい景観といった芸術の素材が豊富な台北は、才能ある芸術家を育てる最高の土壌と言えるでしょう。
▲芸術の鑑賞と創作活動は、人々を忙しい生活から抜け出させ、自らの内側を探求する機会となります。
そんな台北の街角からインスピレーションを受けているのが潑墨画家である柯淑玲(コー・シューリン)氏。彼女の家庭は決して裕福ではありませんでしたが、それでも芸術の追求をやめませんでした。「私は小学校の頃から書道にハマっていました。先生は私にやる気をださせようと、林三益(リンサンイー)という毛筆専門店の毛筆セットをプレゼントしてくれたのです。それが人生における初恋であり、運命的な出会いでした。これをきっかけに私は芸術を探求する旅をはじめました」と柯氏は語ります。
10代の頃には、生活のために様々な仕事を経験し、陶芸ギャラリーで働いた際には、よく陶芸作品を鑑賞したそうです。その後、柯氏は上司の弟と結婚し、芸術業界へ進出することができました。ところが、家族でアメリカへ移住した後、29歳の若さでがんと診断されたのです。
▲人生の大きな転機を経験した柯氏は、現在台北で自由かつ平穏な日々を送っています。
このことについて、柯氏は「闘病をきっかけに私は仏教に関心を持つようになり、信仰によって生と死の力を体験しました。そして、この苦闘を芸術へと昇華しました」と述べています。がんを見事に乗り越えた柯氏は、自由な人生を最大限に謳歌しています。「これだけのことを経験したので、これからは何者にも自由を奪われたくありません。私は自然を感じ、クリエイティブなイノベーションを起こす自由を満喫しています」。
▲大胆かつ自由な潑墨芸術は、画家の人生そのものが表現されています。
台北でインスピレーション & リラックス
台湾に帰国した柯氏は、台北市の石牌(シーピー)に居住。新たな人生の第一歩を踏み出せたことに感謝をしています。「毎朝、鏡の中の自分を見ながら自分が恵まれていると感じています」と柯氏は言います。「私は普段、写経や瞑想をして心を落ち着かせています。家からアトリエまでのわずか10分間ですが、毎日のウォーキングも欠かしません。作品のクオリティについても、経本の字を筆で描くことで向上を図っています。そのモチベーション維持のために、毎日自分自身に語りかけて書道の練習時間を確保しています」。柯氏は練習を何年も続けて腕を磨くことで、達人やプロの域に至ると信じています。「私は生涯を通じて芸術と宗教を追求しています。そうすることで、私はこの道のプロになれるのです」と柯氏は語ります。柯氏は自身の台北の楽しみ方を教えてくれました。「インスピレーションを得るために、台北市立美術館や国立故宮博物院、国立歴史博物館、国立国父紀念館など台北市内の様々な美術館やアートギャラリーをよく訪れます」。柯氏は各芸術家の表現方法や作品の鑑賞によってインスピレーションを得ています。
▲柯氏にとって博物館や美術館巡りは台北におけるリラックス方法の1つであり、創作のインスピレーションを得る機会でもあります。(写真/Yenping Yang)
また、自然芸術の壮大さに触れることも多いそうです。「毎週、陽明山を探索しています。陽明山はとても落ち着く場所で、台北にいながら心から自然と一体化できる大好きな場所です。他にも登山やサイクリングをしていると、自然の息吹やエネルギーが感じられます。木々を鑑賞したり、芝生でのんびりと過ごしたり、虫の鳴き声を聞きながら風の変化を感じたりしています」。柯氏は語りながら目をキラキラさせ、自然を構成するこれらの要素が想像力を刺激し、芸術作品の完成に大きく貢献していると説明します。
▲柯氏は毎週のように陽明山に登り、自然に触れています。(写真/Taiwan Scene)
芸術は人生の一部
柯氏は作品制作に不可欠な筆と墨汁の購入について、「私はちょっとセンスが独特です。なので、先生からプレゼントされた林三益の筆セットが、私にとってのベストチョイスでした。この筆セットは現在も林三益のお店で購入できます」と述べています。
柯氏は他の芸術からデザインを思いつくそうです。そのため、黄淑琦(ホァン・シューチー)氏や傅子菁(フー・ズージン)氏など台北のデザイナーから布を購入しています。「傅子菁さんとは、2011年の台北国際花卉博覧会でコラボしました。潑墨芸術とファッション・衣料デザインが融合したのです。このように芸術はあらゆる物とつながることができるはずです。それが創造と革新を続けていくモチベーションにもなっています。特に街のあちこちに並木道がならぶ台北では、至る所でインスピレーションを感じます」。
▲柯氏はファッションデザイナーとコラボし、自らの作品をドレスの上で表現しました。
芸術から愛を発見
柯氏はこれまで専門的な指導を受けたことがありません。ただ、楊善深(ヤン・シャンシェン)氏や趙無極(ジャオ・ウージー)氏、朱徳群(ジュー・ダーチュン)氏など芸術界の巨匠たちから影響を受けています。これらの巨匠はアジアの潑墨と西洋芸術を見事に融合させました。「他の芸術家の方々がいつも私の励みになりますし、重要なことは周りからの批判を気にせず、自分のオリジナル作品を制作することだと教えてくれます」と誇らしげに述べています。
柯氏は芸術家の教えを支えにしながら、自分の芸術作品のアイディアを探しています。彼女いわく、芸術は内なる自分、そして人間性と愛の発見です。そう述べる彼女は、地元の病院でのボランティア活動に多くの時間を割き、自分の経験をもとに他のがん患者を励ましています。それによって他の人たちが最高の人生を送り、より多くの出来事を経験できるようサポートしているのです。「私にとって芸術とは、愛を分け与え、人生の真の価値を探求することです」。
柯氏の人生の探求は終わりがありません。「新しいことに挑戦するためのやりたい事リストがあるのですが、台北はその新しい活動を見つけるのに最適な場所です」。都会のエネルギーを体で感じている彼女にとって、台北は尽きることのない革新や創造、自己表現の源泉となっています。
台北を彩る潑墨芸術
文:CatherineShih
編集:下山敬之
写真:柯淑玲、Taiwan Scene、Yenping Yang
芸術は精神的な癒やし
ストレスや不安、意気消沈など精神的に辛いとき、芸術や絵画は心を落ち着かせる手助けをしてくれます。これは、都会で忙しい毎日を送る人たちにとって非常にクリエイティブなストレスの発散方法です。自然や文化、美しい景観といった芸術の素材が豊富な台北は、才能ある芸術家を育てる最高の土壌と言えるでしょう。
そんな台北の街角からインスピレーションを受けているのが潑墨画家である柯淑玲(コー・シューリン)氏。彼女の家庭は決して裕福ではありませんでしたが、それでも芸術の追求をやめませんでした。「私は小学校の頃から書道にハマっていました。先生は私にやる気をださせようと、林三益(リンサンイー)という毛筆専門店の毛筆セットをプレゼントしてくれたのです。それが人生における初恋であり、運命的な出会いでした。これをきっかけに私は芸術を探求する旅をはじめました」と柯氏は語ります。
10代の頃には、生活のために様々な仕事を経験し、陶芸ギャラリーで働いた際には、よく陶芸作品を鑑賞したそうです。その後、柯氏は上司の弟と結婚し、芸術業界へ進出することができました。ところが、家族でアメリカへ移住した後、29歳の若さでがんと診断されたのです。
このことについて、柯氏は「闘病をきっかけに私は仏教に関心を持つようになり、信仰によって生と死の力を体験しました。そして、この苦闘を芸術へと昇華しました」と述べています。がんを見事に乗り越えた柯氏は、自由な人生を最大限に謳歌しています。「これだけのことを経験したので、これからは何者にも自由を奪われたくありません。私は自然を感じ、クリエイティブなイノベーションを起こす自由を満喫しています」。
台北でインスピレーション & リラックス
台湾に帰国した柯氏は、台北市の石牌(シーピー)に居住。新たな人生の第一歩を踏み出せたことに感謝をしています。「毎朝、鏡の中の自分を見ながら自分が恵まれていると感じています」と柯氏は言います。「私は普段、写経や瞑想をして心を落ち着かせています。家からアトリエまでのわずか10分間ですが、毎日のウォーキングも欠かしません。作品のクオリティについても、経本の字を筆で描くことで向上を図っています。そのモチベーション維持のために、毎日自分自身に語りかけて書道の練習時間を確保しています」。柯氏は練習を何年も続けて腕を磨くことで、達人やプロの域に至ると信じています。「私は生涯を通じて芸術と宗教を追求しています。そうすることで、私はこの道のプロになれるのです」と柯氏は語ります。柯氏は自身の台北の楽しみ方を教えてくれました。「インスピレーションを得るために、台北市立美術館や国立故宮博物院、国立歴史博物館、国立国父紀念館など台北市内の様々な美術館やアートギャラリーをよく訪れます」。柯氏は各芸術家の表現方法や作品の鑑賞によってインスピレーションを得ています。
また、自然芸術の壮大さに触れることも多いそうです。「毎週、陽明山を探索しています。陽明山はとても落ち着く場所で、台北にいながら心から自然と一体化できる大好きな場所です。他にも登山やサイクリングをしていると、自然の息吹やエネルギーが感じられます。木々を鑑賞したり、芝生でのんびりと過ごしたり、虫の鳴き声を聞きながら風の変化を感じたりしています」。柯氏は語りながら目をキラキラさせ、自然を構成するこれらの要素が想像力を刺激し、芸術作品の完成に大きく貢献していると説明します。
芸術は人生の一部
柯氏は作品制作に不可欠な筆と墨汁の購入について、「私はちょっとセンスが独特です。なので、先生からプレゼントされた林三益の筆セットが、私にとってのベストチョイスでした。この筆セットは現在も林三益のお店で購入できます」と述べています。
柯氏は他の芸術からデザインを思いつくそうです。そのため、黄淑琦(ホァン・シューチー)氏や傅子菁(フー・ズージン)氏など台北のデザイナーから布を購入しています。「傅子菁さんとは、2011年の台北国際花卉博覧会でコラボしました。潑墨芸術とファッション・衣料デザインが融合したのです。このように芸術はあらゆる物とつながることができるはずです。それが創造と革新を続けていくモチベーションにもなっています。特に街のあちこちに並木道がならぶ台北では、至る所でインスピレーションを感じます」。
芸術から愛を発見
柯氏はこれまで専門的な指導を受けたことがありません。ただ、楊善深(ヤン・シャンシェン)氏や趙無極(ジャオ・ウージー)氏、朱徳群(ジュー・ダーチュン)氏など芸術界の巨匠たちから影響を受けています。これらの巨匠はアジアの潑墨と西洋芸術を見事に融合させました。「他の芸術家の方々がいつも私の励みになりますし、重要なことは周りからの批判を気にせず、自分のオリジナル作品を制作することだと教えてくれます」と誇らしげに述べています。
柯氏は芸術家の教えを支えにしながら、自分の芸術作品のアイディアを探しています。彼女いわく、芸術は内なる自分、そして人間性と愛の発見です。そう述べる彼女は、地元の病院でのボランティア活動に多くの時間を割き、自分の経験をもとに他のがん患者を励ましています。それによって他の人たちが最高の人生を送り、より多くの出来事を経験できるようサポートしているのです。「私にとって芸術とは、愛を分け与え、人生の真の価値を探求することです」。
柯氏の人生の探求は終わりがありません。「新しいことに挑戦するためのやりたい事リストがあるのですが、台北はその新しい活動を見つけるのに最適な場所です」。都会のエネルギーを体で感じている彼女にとって、台北は尽きることのない革新や創造、自己表現の源泉となっています。
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