TOP メインコンテンツセクションに行く

台北観光サイト

始まりと終わりを告げる季節 台北のコントラストと冬のイベント (TAIPEI Quarterly 2021 冬季号 Vol.26)

アンカーポイント

発表日:2021-12-10

1054

TAIPEI #26 (2021 冬季号)


始まりと終わりを告げる季節
台北のコントラストと冬のイベント


文: Rick Charette
編集: 下山敬之
写真: 台北市政府観光伝播局、Samil Kuo、Yengping、Taiwan Scene、福来許


その土地の特徴を知るポイントのひとつに対称性という考え方があります。例えば台北には何百年もの歴史を有する寺院や、何代にも渡る老舗のお店が立ち並ぶ地域、保存状態の良好な歴史的建築物がありますが、そのすぐ隣には大胆で革新的な近代芸術作品が並ぶギャラリーや美術館があるといった対称性が存在します。台北に住む人たちも世界の最新技術を享受しながら、同時にこれらの奥深い文化的な遺産を楽しんでいるのです。観光客も台北という都市の発展度合いと、歴史や伝統文化が残るその対比に感銘を受ける人が多くいます。

冬と言えば年の瀬であり、一年の終わりを感じさせますが、それと同時に新たな一年の始まりに向けた期待感もあります。日を追うごとに新たな季節、新たな一年に向けて、鮮やかな色合いが増していくのです。台北の冬は街全体の活力が感じられるだけでなく、新旧や伝統と現代をブレンドした対称性のある物事が街中に溢れます。

今季の《TAIPEI》では、冬から春への変化が実感できるこの時期ならではの台北の過ごし方を紹介していきます。2022年は2月1日が旧正月に当たるので、その期間中に現地の人たちが楽しむ風習と旅行者でも参加できるアクティビティを知っておきましょう。台北の対称性を理解することで、よりこの街が魅力的に見えるはずです。

20211129_165049 (Copy)▲新しい1日、新しい季節、新しい1年、いずれも台北の中に様々な対比をもたらし、街中を彩ります。(写真/台北市政府観光伝播局)

台北の一日

台北は山々や高い丘に囲まれた盆地に位置し、大きな一本の川が海へと続いています。こうした地理的条件もあって、台北の朝と夜では異なる景色を作り出すのです。

盆地という点から、朝陽と夕陽を楽しむには高台に上る必要があります。台北市内で最も高台にあるのは広大な面積を有する美しい陽明山国家公園、あるいは陽明山を含む火山群の頂上です。ここから見下ろす街並み、そして朝陽と夕陽はまさに壮観の一言。朝は連なる山々が眼下に広がり、自然のバイタリティが感じられますし、火山群の中でも最高峰となる七星山とそれに次ぐ大屯山の頂上から北方を望めば、海沿いの街並とどこまでも広がる東シナ海を拝むことができます。

平地で朝陽と夕陽を楽しむなら、台北南東部にある象山がオススメです。象山親山步道からは台北101や付近にあるビル群が見られるほか、それらの窓に朝陽が反射してキラキラとした素晴らしい景色を作り出します。夕暮れ時には山々の向こうへゆっくりと沈んでいく夕日が眺められますし、自然の静けさの中に身を委ねればリラックスした時間が過ごせるでしょう。

台北までお越しになれない方は、台北市内のライブ映像を見るという方法もオススメです。これはスマートフォンなどを使って台北各地のリアルタイムの動画を見られるサービスで、台北101周辺の様子も4K動画で公開されています。カメラは定期的に角度を変え、ズームインやアウトを繰り返しているので、様々な視点から景色を楽しめますし、24時間いつでも見られるので昼と夜の違いも分かるでしょう。台北まで来られる方は、台北101の89階にある展望台に登ると、ここでしか見られない360度パノラマの景色を堪能できます。

碧山巖-5 (Copy)ネオンで煌めく台北の夜は、碧山巌を訪れた人たちに最高の夜景を提供してくれます。(写真/Samil Kuo)

この他にも広大な景観が楽しめるスポットとして、碧山巌と猫空があります。碧山巌は内湖の白石湖休間農業区に位置し、盆地の内側に広がる台北の平野を一望できる場所です。

猫空がある文山区は台北平野のはずれに位置していて、趣のある老舗の茶屋が多数あるのが特徴です。現地で採れたお茶や郷土料理を楽しめますし、夕方以降は夕日に染まる台北の街並みや台北101付近の夜景が眺められます。また、茶畑から吹くさわやかな風を感じられる猫空ロープウェイでの移動もオススメです。

4K台北観光即時影像
サイト        https://www.youtube.com/watch?v=z_fY1pj1VBw

台北101展望台
住所           信義区信義路五段7号89階
営業時間    11:00~19:00(火曜 – 金曜)
                   10:00~19:00(土曜と日曜)
                  (月曜定休)


季節の始まりと終わり
暦の上では冬至は冬の始まり、春分は冬の終わりを意味します。2021年は12月21日が冬至、2022年3月20日が春分です。

冬至は「冬が至る」と書きますが、名前のとおりこの日を境にだんだんと日が長くなり、天文学的には陽気が入ってくると言われています。正月を挟むこの時期は家族が再会する季節でもあり、「湯圓」という食べ物を食べる習慣があります。湯圓は団子状をしていますが、その整った形状から一家団らんを表しているのです。そのため、湯圓は家族がそれぞれ個以上食べるという習わしがあります。また、湯圓は紅白に分かれていて、白は「銀」を赤は「金」を表していると言われているので、これを食べることで家庭内が豊かになるそうです。

IMG_1502_-Edited (Copy)冬至に食べられる湯圓は、一年の終わりと家族が集まって団らんをする季節の到来を表しています。(写真/Taiwan Scene)

台湾では、冬の寒い時期を栄養価の高い料理で乗り切ります。古くから冬は「冬眠」の時期と言われ、代謝が鈍るために滋養のある食べ物が好まれてきました。特に肉類や脂肪分の多い料理ほど好まれ、マトン鍋や薑母鴨などの鍋料理は非常に人気です。

観光客にもこういった家庭的な料理を食べる機会はあります。夜市へ足を運べばこれらの料理を提供しているお店があるので、ぜひ食べてみてください。

1月から2月にかけては少しずつ日が長くなりはじめ、春の兆しが見えてきます。この頃には開花を始める花々を愛でるべく、多くの人たちが外へ繰り出します。

L1190653 (Copy)冬から春へと移り変わる季節になると陽明山には桜が咲き乱れ、多くの観光客たちで賑わいます。(写真/Yengping)

特にこの時期になると、広大な敷地を有する士林官邸はお花見スポットとして賑わいます。2月初頭から3月にかけては陽明山国家公園で桜が満開となり、春節の直前には台北の市花であるツツジが開花します。ツツジを楽しむなら、国立台湾大学のキャンパスと大安森林公園がおすすめスポットです。どちらも街の中心部にあり、地下鉄の駅からもすぐなのでアクセスも簡単です。

春節は春の始まりということで、春巻を食べる習慣があります。伝統的な春巻の具材はニンジン、大根、もやし、きゅうり、ピーナッツといった新鮮な野菜で、最後に砂糖を使って味付けをします。ただ、現在では揚げたものが一般的となっていて、具材も豚肉やエビなどが使われます。春巻きは黄金色をした棒状の形が金塊を表すとされていて、これを食べることで裕福になると信じられているのです。

IMG_1130_-Edited (Copy)にんじんや大根、ピーナッツなどの食材を混ぜた春巻きは、春の訪れを感じられる旧正月ならではの料理です。(写真/Taiwan Scene)

台北で迎える新年

新年を海外で迎えたい方や伝統行事、祭事などが好きな方にとって、冬の台北は魅力的なイベントが盛りだくさん。冬の間、できるだけ長期間台北に滞在するか、2度に分けて訪問をすることで主要なイベントは全て網羅できるでしょう。

まずは12月から1月にかけてクリスマスと年越しがあります。そして、年越しからおよそ一カ月後の1月中旬から2月中旬の間に旧正月がやってきます。特に旧正月は休みの期間も長く、祭事や伝統行事を行って新年を祝うので、現地の正月を味わうのであればこの時期は外せません。

もちろんクリスマスシーズンには街中がイルミネーションや装飾で彩られますし、大晦日には新年のカウントダウンパーティーも行われるので、こちらもオススメです。特に大晦日は台北市政府に屋外ステージが設置され、何時間にもわたってパレードや有名アーティストたちによるコンサートが行われます。ただ、一番の目玉は言わずとしれた台北101の壮麗な花火です。

跨年煙火-11-Edited (Copy)

冬台北の人たちは毎年、大晦日になると台北101の前に集まり、打ち上がる花火を鑑賞して新しい1年を迎えます。(写真/Samil Kuo)


旧正月の休み期間は家族や友人とのんびり過ごす人も多いですが、観光で訪れるのであれば、この時期にしか味わえない独特の雰囲気を楽しみましょう。現地の人たちは正月休みに入る前に家の中を徹底的に掃除します。古くなったものや不運を外に追い出して、新たな幸運を招き入れるという考え方です。そのため旧正月前には街中で縁起が良いとされる赤い衣類や年越しに欠かせないグッズ、新年用の商品などが販売されます。この期間は他の時期にはない台北独自の陽気な雰囲気が味わえます。

こういった正月関連の商品は、歴史ある古い商店街で開かれる台北年貨大街で購入できます。この時期には通りがランタンや伝統的な装飾で彩られ、至るところで大安売りの看板を見かけることでしょう。他にも伝統芸術や工芸品の展示、あちこちから聞こえるツアーガイドたちの外国語などはこの時期の風物詩と言えます。数ある商店街の中でも特に規模が大きく、有名なのが台北最古の商店街である迪化街です。ここは地域ならではの伝統的な商品や漢方薬、布類などが有名で、台北北部最大の問屋街でもあります。

L1260086-Edited (Copy)旧正月には乾燥させた肉やソーセージなど年を超すための正月用品を買い込むという伝統的な風習があります。(写真/Yengping)

新年は新しい服を着ると幸運を呼び込めると言われているので、機会があれば衣類を買ってみましょう。特に高貴さと忠誠心の象徴である龍、中華式の金塊に似ていることから富の象徴とされる金魚などをあしらったものは縁起が良いとされています。これらは、服以外にもちょっとした装飾品などのモチーフとしても使われます。

おすすめのお店は1936年に上海で開園し、1949年に台北に移設された小花園です。ここでは豪華な刺繍の施された伝統的な靴、財布、スカーフ、チャイナドレス、子供服などを取り扱っています。また、もう一軒おすすめしたいのが、新年の華々しい雰囲気を味わいつつ、この時期に合ったグッズが買える福來許というお店です。もともと漢方薬の工場だった4階建ての建物を改築したお店で、カフェ、茶屋、バー、レストランを兼ねているほか、商品の販売もしています。特徴は店内のレトロな雰囲気と、スタッフが着用しているチャイナ服です。迪化街の最盛期であった1920年代を想起させるお店となっています。販売されている商品は、台湾伝統の切り紙や刺繍で作られた壁に掛ける装飾品、干支の置物、パスポートケース、スマートフォン用のポーチなど様々で、中には旧正月シーズン限定の商品もあります。

福來許2 (Copy)迪化街で取り扱っているは伝統的な切り紙アートは、家族や友人への贈り物として最適です。(写真/福来許)

この他にも伝統的な建築物や老舗を巡るガイド付きツアー、オリジナルの正月飾りが作れるDIY体験などのアクティビティも楽しめます。2021年の締めくくりと新たな一年のスタートを台北で過ごしてみてはいかがでしょうか。

✔️季節ごとに異なる魅力が楽しめる台湾旅行の詳細はこちら

 

関連写真

最近の人気記事

Top