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台北のクールでモダンな建物を探索 (TAIPEI Quarterly 2023 春季号 Vol.31)

アンカーポイント

発表日:2023-03-14

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TAIPEI #31 (2023 春季号)


台北のクールでモダンな建物を探索

文:Jenna Lynn Cody  編集:下山敬之  
写真:Yuskay Huang、法鼓山文教基金会、台北表演芸術中心、台北流行音楽中心、Chris Stowers、Shao Bo Zhao


台北の歴史的建造物が紹介される際、煌びやかな寺院や日本統治時代の建物ばかりが注目されがちです。しかし、市内にはモダンな建造物が多くあり、それらもまた台北の美しい景観を作り出すピースの1 つとなっています。

夜景©Chris Stowers (Copy)▲近年、台北にはユニークでモダンな建築様式が数多く見られますが、士林にある台北表演芸術中心は、その中でも特に異彩を放つ建築物です。( 写真/Chris Stowers )

例えば、20 世紀中頃に建てられた農禅寺はミニマルで美しい外観をしていますし、国立台湾師範大学の美術館は、台北市街地にある建物の新旧対比構造を表しています。台北表演芸術中心はアーティストとパブリックそれぞれにとって劇場とは何かを問う構造に、台北流行音楽中心は台北の地形と宇宙船のような近未来的な構造で、創造的な都会の生活リズムを描いています。

これらの建造物は古いもので20世紀中期、最近のものだとこの2年以内と建設時期はバラバラです。にも関わらず、いずれもバランスとアシンメトリーを考慮した作りとなっています。機能性に配慮したデザインでありながらも、人々の感情に訴えかけ、アートを創造し、さらに人々を包み込んで都市の景観にもしっかりと溶け込んでいるのです。こうした建造物は、伝統的なデザインを超越し、台北の現代を見据えるきっかけを与えてくれます。

農禅寺
🚊MRT奇岩駅
MRT奇岩駅から徒歩10分ほどのところにある閑静な通りに、陽明山が一望できる農禅寺があります。人通りの少ない路地が目印であり、最後まで進むと姚仁喜氏によって設計されたミニマルでモダンな農禅寺が姿を表します。姚氏は国立故宮博物院南部院区や国立台湾史前文化博物館の南科考古館などを設計した著名な建築家です。

農禅寺は1975年に仏僧であり、学生でもあった東初老師によって簡素な農舎として建てられました。その後、東初老師を継いだ聖厳老師によって現在の姿へと拡張されました。境内は美しい池(水月道場)と山々に囲まれたレイアウトが、心地よい静寂感を生み出しています。また、白とグレーを基調とした建物は、訪問者に安心感を与え、スッキリとしたラインと考え抜かれたアシンメトリーのバランスが、この寺院のユニークさを補完しています。

P87920150101010016▲農禅寺の水月道場は風情があり、禅の心が感じられます。( 写真 / 法鼓山文教基金会 )

大殿(本殿)の片側には小さな水晶の仏像が点在しているほか、吹き抜けになっている2階の壁には般若心経が刻まれており、差し込む日光が神聖な文字を照らしています。

P87920150101010025 (Copy)▲壁に刻まれた般若心経が日差しで床に反射する光景は、美しくも神々しい印象を与えます。( 写真 / 法鼓山文教基金会 )

仏像が点在する庭園は散歩に最適です。回廊は一定の間隔で壁が無くなっており、有と無、明と暗のコントラストが強調されています。水月道場、庭園、回廊いずれも静かに熟考できる空間となっており、高速道路の近くというロケーションにも関わらず、別世界のような印象を与えます。

国立台湾師範大学美術館
🚊MRT古亭駅
国立台湾師範大学のキャンパスは、その建築様式によって広く知られています。もともとのキャンパスは和平東路の南側にあり、日本統治時代に建設されました。そのため、20世紀初期の日本式バロック建築の要素が含まれているのが特徴です。道路を挟んで向かいにある新キャンパスは対象的に現代建築の要素が見られます。

師範大学の美術館は賑やかな和平東路から離れた場所にあり、キャンパスの入り口から入るか、大学の敷地に隣接する緑豊かな路地からアクセスできます。最もアクセスしやすいのは、麗水街33巷を経由するルートです。並木やベンチ、カフェが点在する通りは、キャンパス独特の静けさがあり、やすらぎが感じられます。

DSCF4777-1▲師範大学の美術館は、192.8 枚のチタン製の板を使用しており、台湾初となる360 度全方位から三角形が見える建物です。( 写真 / Yuskay Huang )

美術館はピラミッドのように尖った金属が集まったような形をしており、近未来的な宇宙船や折り紙で折った蜂の巣のようにも見えます。その特徴的な外観は周囲にある日本統治時代の建物とは対照的です。見方によってはモダンアートが伝統的な美しさを破壊するように、美術館の近未来的な構造は破壊の象徴と誤解されるかもしれません。しかし、その新しい建物によって、周囲にある歴史的な建物にも注目が集まっているのです。

この建物の特徴として、全体を見渡せる角度が存在しないことが挙げられます。むしろ、周辺を歩くことで違った角度や視点が見えてくるのです。美術館の設計を担当した陳聖中(チェン・ションジョン)氏は、「建築は詩のように、都市は本のように。本が詩でいっぱいなら、街は文化を持つだろう」と言っています。この美術館は、詩のように見る角度や時間帯によって変化し、予期しなかった驚くべき観点を無数に与えてくれるのです。

国立台湾師範大学の美術館では1947年から、学生や教職員の作品を中心とした台湾のモダンアートを収蔵しており、その作品は油絵や水墨画、書道、版画、応用美術など3000点以上に上ります。

台湾のアートシーンにおけるニッチな分野をカバーするだけでなく、一般市民にも台湾の現代美術の歴史と変遷を学び、自ら参加できる場所を与えています。同美術館の公式Facebook では、定期的に講座やシンポジウム開催の告知を行っているので、気になった方はぜひ参加してみてください。

台北表演芸術中心
🚊MRT剣潭駅
MRTのレッドラインは一部地上を走っていて、台北の景観が楽しめます。伝統的な中華建築の圓山大飯店を通り過ぎると、現代的な台北表演芸術中心が見えてきます。同センターを設計したのは、シアトル中央図書館やデ・ロッテルダムなどの設計で知られる世界的に有名なオランダ人建築家レム・コールハース氏とデヴィッド・ジャノッテン氏。

20221024 北藝外觀 (c) TPAC Photo by 趙紹伯-23 copy (Copy)▲台北表演芸術中心の球体は、士林の新しいランドマークとなりました。( 写真 / Shao Bo Zhao )

2021年に完成した台北表演芸術中心は、台北のモダン建築の中で最も新しい作品です。同センターは、包括性と芸術施設の「保守的な内部構造」の打破をコンセプトに設計され、CNNの「2021 年に世界を形作る変幻自在の建物」でも取り上げられました。

この建物は古い建物が立ち並ぶ士林夜市付近のエリアにおいて一際目立っていて、特に南側から近づくと強い視覚的インパクトが感じられます。それは、地元では「貢丸(つみれ)」の愛称で呼ばれる大きな球体があるから。本館から球体が飛び出るような構造となっていて、広い屋外公共広場の上にぶら下がっているように見えます。2階には、MRTや近隣を見渡せる波型の窓や小さな読書スペース、7階には士林エリアの広大な景色を眺めながら高級な洋食やスタンダードなコーヒー、ドリンクが楽しめる人気のカフェバー&レストラン「ACME」があります。

參觀回路入口 (Copy)▲エスカレーターのある空間は、最先端のテクノロジーを連想させます。( 写真 / 台北表演芸術中心 )

台北表演芸術中心は、3 つの独立した劇場が全て共通のバックステージに繋がっているというユニークな施設です。地球儀のような形をしているのが「球劇場」で、最も知名度が高いです。長方形の「大劇院」も球劇場と同様に外に突き出した構造となっていて、中央にはブルーボックスと呼ばれる小さい劇場があります。バックステージが見える「パブリックループ」からは、普段は見えない舞台芸術の一面が垣間見えます。

台北流行音楽中心
🚊MRT南港駅
台北のモダン建築と聞いて、南港を最初に思い浮かべる人はまずいません。南港と言えば、展示会で有名な台北南港展覽館やオフィスビルが林立する場所として知られていて、台北表演芸術中心はおろか、新たな開発プロジェクトが行われる可能性も低い場所でした。しかし、台北市政府が士林の台北表演芸術中心と南港の台北流行音楽中心を含む新プロジェクトのデザインコンテストを開催したことで状況は一変。

南港の複合施設は、高雄港旅客運中心や南投県の阿里山の観光遊歩道などで知られるニューヨーク在住の建築家ジェシー・ライザー氏と梅本奈々子氏が設計を担当しました。完成した施設は、一見すると大通りをまたぐ宇宙ステーションのように、広大な敷地の中にある複数のビルや広場を歩道橋が繋いでいます。建築家自身が、「流れるような結晶構造の幾何学」からインスピレーションを得たと表現しているように、陽光に輝く昼もライトアップされる夜も、ひと目で分かる外見となっています。

01北流三館外觀1▲目を引くコンサートホールは、多面体でデザインされ、5,000 人の聴衆が収容できます。

02北流表演廳大廳 (Copy)▲コンサートホールのロビーは白を基調とした洗練されたデザインとなっています。

建物の外観は自然造形の模倣ではなく、人工物を取り入れることを意図しているそうですが、表演庁(コンサートホール)はホタテの貝殻のような形状、産業区は長方形の水晶、文化館は四角い黄鉄鉱を連想させます。

01北流三館外觀▲台湾音楽業界の優れる人材を支援するため、造形が水晶のようなクリエイティブハブは台北流行音楽中心が提供する多機能なスペースの一つです。

台北流行音楽中心の外観は、全体的に自然でありながら人工的であり、独特でありながら普遍的なのです。それは国際的に認知されながらも地元に根ざしている音楽に通ずるものがあります。台北流行音楽中心は、5000人を収容するコンサートホールや台湾の音楽の歴史を紹介する文化館、若手音楽家を育成する産業区などを擁する多目的施設です。

01北流三館外觀3▲四角形のカルチャーキューブは、台湾で初めて音楽をテーマとした展覧の空間で、台湾音楽業界の歴史的なシーンを展覧しています。

同施設は、台北の生活に溶け込むようなデザインとなっており、DJ専門店やレコード店、楽器店など音楽に関するショップだけではなく、カフェやアート系のショップも充実しています。台北流行音楽中心は、地元の音楽シーンを盛り上げるだけでなく、台湾音楽の特色を世界に発信する場所でもあるのです。


 

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