
楽しき冬の台北 美食を訪ね 風土に触れる
台北には、時を忘れ遊び惚けてしまうような、いろいろな魅力があります。今号ではさまざまな文化と歴史の歩みを一緒に探索してみましょう。
大稲埕は台湾の近代思想の出発点であり、新文化運動のゆりかごでした。美術から音楽、文学、演劇、歌謡、映画まで、ここで近代が芽吹きさまざまな娯楽が花開きました。新旧が融合する活力と創造力が、史跡のリノベーションやURS都市再生前進基地、大同再生計画、コミュニティ・プランナー・スタジオといった市の計画を通じ、人々の居住空間と暮らしにとけ込み、地域全体をつないでいます。民間の活力も勢いがあり、クリエイティビティあふれるショップや実験的スペースなど目移りするほど多様になっています。
冬の風が大地に冷たい空気を運び、食欲が高まる季節となりました。しょっぱいものから甘いものまで、美味しい手作り料理と定番の小皿料理までひととおりそろう、建成円環(ロータリー)や延三夜市(ナイトマーケット)では、客家の美食、炒粄條(きしめん様の米の麺を炒めたもの)、豚足、油鶏(鶏肉の冷製)、客家小炒(客家風の炒め物)も味わえます。先住民のふるさとの食材、山菜、イノシシ肉、野生のスパイス・馬告(クベバ=ヒッチョウカの実)など海と山の幸も、一度試してみないわけにはいきません。
お腹がいっぱいになったら、台北では各地の文化の果実も収穫できます。捨てられる運命だったビンロウの落葉は先住民文化で生まれ変わり、独特の味わいの日用品となり、ビンロウに全く新しい文化的な意義がもたらされました。台湾ならではの花布は、伝統的な鮮やかな色合いからシンプルですっきりしたバリエーションが生まれ、さらに台湾の自然や暮らしのイメージも組み合わさって、永楽市場を相変わらず魅力的なものにしています。
東洋と西洋の芸術哲学が出会うとき、どのような作品が生まれるのでしょうか。ムスリムの画家、張曼麗さんは熟練の技と独自の美感で、静謐ながら華麗な抽象画を生み出しています。大稲埕に生まれた郭雪湖さんは、台湾の美術の発展と人材育成に大きく貢献した人物で、台北市の庁舎で現在、作品のレプリカが数多く展示されています。さらに昔の写真や郭さんが使った画材も展示され、マルチメディアデバイスを通じて、作品に描かれている、夢のような繁栄をみた在りし日の大稲埕に連れて行ってくれます。この冬、台北の豊かな美食と文化が、みなさんの味覚だけでなく心も満たし、胸を熱くしてくれることでしょう。
台北には、時を忘れ遊び惚けてしまうような、いろいろな魅力があります。今号ではさまざまな文化と歴史の歩みを一緒に探索してみましょう。
大稲埕は台湾の近代思想の出発点であり、新文化運動のゆりかごでした。美術から音楽、文学、演劇、歌謡、映画まで、ここで近代が芽吹きさまざまな娯楽が花開きました。新旧が融合する活力と創造力が、史跡のリノベーションやURS都市再生前進基地、大同再生計画、コミュニティ・プランナー・スタジオといった市の計画を通じ、人々の居住空間と暮らしにとけ込み、地域全体をつないでいます。民間の活力も勢いがあり、クリエイティビティあふれるショップや実験的スペースなど目移りするほど多様になっています。
冬の風が大地に冷たい空気を運び、食欲が高まる季節となりました。しょっぱいものから甘いものまで、美味しい手作り料理と定番の小皿料理までひととおりそろう、建成円環(ロータリー)や延三夜市(ナイトマーケット)では、客家の美食、炒粄條(きしめん様の米の麺を炒めたもの)、豚足、油鶏(鶏肉の冷製)、客家小炒(客家風の炒め物)も味わえます。先住民のふるさとの食材、山菜、イノシシ肉、野生のスパイス・馬告(クベバ=ヒッチョウカの実)など海と山の幸も、一度試してみないわけにはいきません。
お腹がいっぱいになったら、台北では各地の文化の果実も収穫できます。捨てられる運命だったビンロウの落葉は先住民文化で生まれ変わり、独特の味わいの日用品となり、ビンロウに全く新しい文化的な意義がもたらされました。台湾ならではの花布は、伝統的な鮮やかな色合いからシンプルですっきりしたバリエーションが生まれ、さらに台湾の自然や暮らしのイメージも組み合わさって、永楽市場を相変わらず魅力的なものにしています。
東洋と西洋の芸術哲学が出会うとき、どのような作品が生まれるのでしょうか。ムスリムの画家、張曼麗さんは熟練の技と独自の美感で、静謐ながら華麗な抽象画を生み出しています。大稲埕に生まれた郭雪湖さんは、台湾の美術の発展と人材育成に大きく貢献した人物で、台北市の庁舎で現在、作品のレプリカが数多く展示されています。さらに昔の写真や郭さんが使った画材も展示され、マルチメディアデバイスを通じて、作品に描かれている、夢のような繁栄をみた在りし日の大稲埕に連れて行ってくれます。この冬、台北の豊かな美食と文化が、みなさんの味覚だけでなく心も満たし、胸を熱くしてくれることでしょう。
- 台湾とフィリピンをより近く マニラ経済文化弁事処 アンヘリト‧バナヨ代表 (TAIPEI Quarterly 2017 冬季号 Vol.10)台湾とフィリピンをより近く マニラ経済文化弁事処 アンヘリト‧バナヨ代表 文 _ Rick Charette 写真 _ 陳伯瑋 フィリピンは、この40年間の政治における発展がしばしば世界の注目を集めています。アンヘリト‧タン‧バナヨさんは傍観者としてではなく、その渦中に身を置いてきました。舞台裏、とくに国政の裏方として多くの政府要人を支え、国民のため、人々の声をより反映させる進...16502017-12-18
- Beyond Taipei 台北から台湾を見渡す 日台交流協会台北事務所 沼田幹夫代表 (TAIPEI Quarterly 2017 冬季号 Vol.10)Beyond Taipei 台北から台湾を見渡す 日台交流協会台北事務所 沼田幹夫代表 文 _ 江欣盈 写真 _ 施純泰 台湾と日本の歴史的つながりは深く、その始まりは16世紀まで遡ることができます。以後400年に及ぶ台日関係は、政治的な覆いを取り除けば、民族、文化、言語、貿易、工芸、人の思いが織りなす、果てしなく広がるな帆布のような姿として立ち現れます。1972年の...20182017-12-18
- 「拿鞘Nature」の山が育てた夢 若い世代と先住民文化つなぐ (TAIPEI Quarterly 2017 冬季号 Vol.10)「拿鞘Nature」の山が育てた夢 若い世代と先住民文化つなぐ 文 _ 鍾文萍 写真 _ 楊智仁 ▲「拿鞘」はビンロウの鞘葉でデザイン性の高い生活用品を製作しています。(写真╱楊智仁) ビンロウは、台湾先住民の文化と深いつながりがあります。先住民社会においてビンロウは部族、身分、階級、性別、年齢を超えて人々の間に広まっているものです。サキザヤ族は儀式の際にビンロウを供...18922017-12-18
- 生活の味わいと姿を伝える 台湾らしさ満開の「花布」 (TAIPEI Quarterly 2017 冬季号 Vol.10)生活の味わいと姿を伝える 台湾らしさ満開の「花布」 文 _ 鍾文萍 写真 _ 楊智仁 布を買うなら永楽布業商場(布市場)、事情通なら誰でも知っているでしょう。許万福さんが営む「新経美」は永楽布市で「花布」を売る老舗です。許さんは彩り鮮やかな赤い花布に話が及ぶとまず、この布の正式な名前は「花布」なのだと言いました。「多くの人がこの赤い花布を『客家花布』と呼びますが、実は違うんで...50722017-12-18
- 受け継いだ音楽のDNA 魂込めるバイオリン作りの道 (TAIPEI Quarterly 2017 冬季号 Vol.10)受け継いだ音楽のDNA 魂込めるバイオリン作りの道 文 _ 鍾文萍 写真 _ 楊智仁 バイオリンの修理には多くの道具と精巧な技術が要求されます。(写真╱楊智仁) 台湾の先住民は音楽界に素晴らしい人材を次々に輩出しています。それは私たちがよく知っている歌手や台北ユニバーシアードの開幕式で会場をひとつにした「泰武古謠伝唱隊」だけではありません。台北‧天母にはひっそりと音楽を生...18602017-12-18
- 客家のおもてなし文化 伝統料理の懐かしい味発見 (TAIPEI Quarterly 2017 冬季号 Vol.10)客家のおもてなし文化 伝統料理の懐かしい味発見 文 _ 鍾文萍 写真 _ 楊智仁 ▲客家のおもてなし茶「擂茶」(晋江茶堂) 台湾のエスニック‧グループの一つで、独自の文化を持つ客家の人々。台北では客家の人々はその昔、かつて存在した台北城の南側に位置する中華路二段の住宅エリア「南機場公寓」周辺に集住していました。幹線道路が走るため商業が盛え、客家人たちは近くの南昌路をは...19272017-12-18
- 先住民の郷土料理 大自然と大らかさを味わう (TAIPEI Quarterly 2017 冬季号 Vol.10)先住民の郷土料理 大自然と大らかさを味わう 文 _ 鍾文萍 写真 _ 楊智仁 ▲哈喜拉Hasila Food原住民餐庁の店内にはシンプルで居心地の良い空間が広がっています。週末の夜にはよく先住民の歌手がライブを行っています。(写真╱楊智仁) 台湾に移り住んだ外国人「新移民」の郷土料理と異なり、都市の先住民グルメのほとんどは故郷の集落から持ち込んだ食材、調味料を使って...26752017-12-18
- 味‧色‧香り全て良しのご当地グルメ 延三夜市の魅力に迫る (TAIPEI Quarterly 2017 冬季号 Vol.10)味‧色‧香り全て良しのご当地グルメ 延三夜市の魅力に迫る 文 _ 焦桐 写真 _ 楊智仁 ▲「津津豆漿」の揚げたて蛋餅 台北市大同区の延平北路にある延三夜市は小さいながら、とてもお気に入りの夜市(ナイトマーケット)です。大龍峒地区は延三夜市があるからこそ輝き、特別な魅力を放っています。延平北路三段には朝市もあり、揚げたての蛋餅(薄焼き玉子をクレープのような薄い皮で包ん...26242017-12-18
- ムスリムの画家 張曼麗さんの芸術と人生観 (TAIPEI Quarterly 2017 冬季号 Vol.10)ムスリムの画家 張曼麗さんの芸術と人生観 文 _ 高穂坪 写真 _ 黄建彬 近くから見ると色彩豊かで変化に富み、遠くから見るとまるで循環と往復が繰り返され、絶え間なく生まれては消える円のよう—米国から戻った芸術家‧張曼麗さんの作品は、熟練した技法と独特の美学で宇宙空間にそれぞれ独立し、また時間の流れに伴って共に入れ替わる森羅万象を表現しています。そこから輪廻の秩序という生命...16472017-12-18
- 「絵の中の台北 大稲埕の少年‧郭雪湖」特別展 (TAIPEI Quarterly 2017 冬季号 Vol.10)「絵の中の台北 大稲埕の少年‧郭雪湖」特別展 文 _ 台北市観光伝播局 写真 _ 劉佳雯、羅若礼 ▲会場にあるマルチメディア画面にタッチすれば「南街殷賑」に隠された秘密を素早く知ることができます。(写真/劉佳雯) 台北市政府ビルの西側エントランスへ足を踏み入れると、5メートル近い高さのある1枚の絵が目の前に現れます。これは画家‧郭雪湖の名作「南街殷賑」です。現在開催中...18572017-12-18
- 古き街角の青春行進曲 にぎわいの時代の大稲埕へ (TAIPEI Quarterly 2017 冬季号 Vol.10)古き街角の青春行進曲 にぎわいの時代の大稲埕へ 文 _ 許麗芩 写真 _ 許斌、大稲埕国際芸術祭 「台北の古い下町は熟年の美女、新しい街並みは30歳の大人の女性のよう。新しいところだけ見ても台北の全貌を見たとは言えません」。台北市観光伝播局の簡余晏局長は、台北にはさまざまな姿があり、特にユニークな歴史を刻み、この街の精神や台北の価値観を伝えるスポットには探訪する価値があると...11512017-12-14
- 都市再開発クリエイティビティ 台北‧下町の魅力を遊ぶ (TAIPEI Quarterly 2017 冬季号 Vol.10)都市再開発クリエイティビティ 台北‧下町の魅力を遊ぶ 文 _ 許麗芩 写真 _ 許斌、楊智仁、劉徳媛、台北市都市更新処 人と文化、身の回りの暮らし全体が展示物となる都市博物館。このようなコンセプトについて、世界各地の大都市が盛り上がっています。博物館はもはや塀に囲まれたものではなく、一本の道、ひとつの地区にまで広がっています。台北市でも、北投、大稲埕、艋舺、城南、中山地下街...28762017-12-14
- 艋舺へ行こう 伝統とのつながり 未来へ続く道 (TAIPEI Quarterly 2017 冬季号 Vol.10)艋舺へ行こう 伝統とのつながり 未来へ続く道 文 _ 林盈足 写真 _ 許斌、黄建彬 万華は台北でも有名な衣料問屋街の一つで、さまざまな衣料品店が立ち並び、最先端のファッションから、台湾製の綿100%の下着、さらには上海の熟練の職人から伝わったチャイナスーツの型紙起こしの技術に手の込んだ装飾品‧工芸品まで取りそろいます。万華にひっそり集まる老舗と達人たちは、時代の移り変わり...12472017-12-14
- 身寄りのない動物に生きる権利を 動物たちの心優しい味方—黄慶栄さん (TAIPEI Quarterly 2017 冬季号 Vol.10)身寄りのない動物に生きる権利を 動物たちの心優しい味方—黄慶栄さん 文 _ 盧逸峰 写真 _ 黄建彬、四點設計 現代人にとってペットは家族同然の存在として大切に守られています。しかし、それでも飼い主に捨てられ、街をさまようペットは多く、一種の社会問題となっています。一方、身寄りのない動物たちの問題に、非営利団体という形で取り組む人たちがいます。中華民国保護動物...12682017-12-14
- TAIPEI Quarterly 2017 冬季号 Vol.10編集者の言葉 楽しき冬の台北 美食を訪ね 風土に触れる 台北には、時を忘れ遊び惚けてしまうような、いろいろな魅力があります。今号ではさまざまな文化と歴史の歩みを一緒に探索してみましょう。 大稲埕は台湾の近代思想の出発点であり、新文化運動のゆりかごでした。美術から音楽、文学、演劇、歌謡、映画まで、ここで近代が芽吹きさまざまな娯楽が花開きました。新旧が融合する活力と創造力が、史跡のリ...8702017-12-11