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TAIPEI 2016春季号 Vol.03—台北・新北市が 連携プラットフォーム 食の安全・動物保護に成果

アンカーポイント

発表日:2016-06-16

更新日:2016-09-23

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文 _ チョウリツクン
写真 _ 台北市衛生局提供

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台北市と新北市は共同生活圏を形成し、飲食、就業、生活、娯楽の全てにおいて切っても切れない関係にあります。このため両市は「連携・交流プラットフォーム」を設置、過去5 年間で100 項目近い共同プログラムを推進して成果を挙げ、地域連携のモデルケースとして評価されています。特に昨年は、市民が食材の来歴を確認し、安心して口にできるよう、その生産・流通履歴を透明化する「食材登録プラットフォーム」を設けたり、保護対象(2 級)となっている希少動物、タイワンガエルの個体数回復に台北市立動物園と新北市農業局が共同で取り組み、生息地で採取した卵から200 匹以上の繁殖に成功するなど、実り多き1 年となりました。
食材登録プラットフォーム
法的裏付けで万全
台湾では近年、食の安全を脅かす事件が相次ぎ、市民の食品に対する信頼が大きく揺らぎました。そこで台北市衛生局は食品情報の透明化を推し進めるべく、より広範の企業に対し自主的に食材の生産・流通履歴を公開するよう指導。さらに新北市と連携して「双北市(台北市・新北市)食材登録プラットフォーム」を立ち上げました。
衛生局によると、同プラットフォームの設置により市民は「学校給食」「小売店店頭の野菜・果物」「夜市(ナイトマーケット)の食品」「学校内食品(栄養バランスとカロリーに配慮した台北市の学校内食育計画で定める食品) 」「飲料・氷菓」「贈答品」「幼児向け食品」「公的機関の従業員食堂」といったカテゴリー別に食材のブランド、産地、包装材の仕入先、カロリーなどの情報を検索できるようになりました。
また衛生局は、「食材登録プラットフォームは『台北市食品安全自治条例』を法的根拠として運用の制度化、透明性、持続可能性を確保するとともに衛生福利部食品薬物管理署の『台湾地区における食品栄養成分データベース』を参考に75 項目の栄養素をカバーする18 種・1,346 品目の食品を収録し、学校給食については同市教育局との協力の下、現在、使用する食材の85%がデータベースにある」と説明しています。

2_台北市立動物園負責台北赤蛙的物種保存及繁衍,新北市農業局則負責棲地調查與環境營造。(劉佳雯攝) .jpg
▲台北市立動物園がタイワンガエルの種の保存と繁殖、新北市農業局が生息地調査と生息環境の改善を担っています。(写真/劉佳雯)

なお昨年、飲料スタンドの英国藍(Stornaway)が原料としている茶葉からの残留農薬検出が問題となった際、食材登録プラットフォームのウェブサイトを通じ、同社に茶葉を供給しているのが「洲界公司」という業者で、茶葉の産地がスリランカであることがいち早く判明。ただちに台北地方検察署へ通報され、迅速な捜査が可能となりました。また有名ブランド黒酢「工研烏醋」を生産するメーカーが不良品や期限切れ商品を回収し、再包装して販売していた事件でも、このプラットフォームを通じ3 つの学校に問題の製品が納入されていたことが直ちに判明するなど、大きな効力を発揮し成果を上げています。
タイワンガエル繁殖で成果
さらなる生存率向上目指す
「カミナリガエル」(梅雨入り後、初めての雷の音を聞いて冬眠から目を覚ますとされるため)とも呼ばれるタイワンガエルは1970 年代、台湾西部に広く分布していましたが、生息地が人間の生活圏と大きく重なるため、土地開発に伴う環境破壊や農薬、除草剤の乱用により生息する個体数が激減。今や絶滅の危機に瀕しています。そんな中、このタイワンガエルを救おうと、台北市立動物園と新北市農業局が共同で保護に乗り出しました。両市の連携プラットフォームを通じ動物園が種の保存と繁殖を、農業局が生息地調査と生息環境の改善に取り組み、現在では個体数回復に一定の成果を挙げています。
台北市立動物園の張明雄副研究員は、「当園ではこれまでにタイワンガエルを卵から孵化させ、オタマジャクシ、子ガエルまで生育することに成功しており、今後は子ガエルから大人のカエルまでの生存率を60%以上に高めたい」と語っています。生存率を高め、繁殖を繰り返すことができれば、しっかりとした種の保存体制を確立することにつながり、将来的には本来の生息地にカエルを帰す計画です。
市立動物園では、野生のタイワンガエルの個体数増と生息範囲の拡大に向け、世界の事例を参考に生息地外での飼育・繁殖、生息地調査、保護教育などを推進すると同時に、新北市と共同で生態に関する研究を進めて生息環境の改善を図り、個体数の回復を目指す方針です。両市の協力によって近い将来、大台北圏(台北市、新北市、基隆市)で身近にタイワンガエルの姿を目にすることができるようになると期待されています。

3_在雙北聯手復育下,瀕臨絕種的台北赤蛙得以成功復育。(高讚賢攝) .jpg
▲台北、新北両市の協力により絶滅に瀕したタイワンガエルの個体数回復で成果が上がっています。(写真/高讃賢)

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