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Blue Note Taipei: 台北ジャズの聖地 (TAIPEI Quarterly 2020 秋季号 Vol.21)

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発表日:2020-09-16

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TAIPEI #21 (2020 秋季号)

Blue Note Taipei: 台北ジャズの聖地

文 / Rick Charette 編集 / 下山敬之 
写真 / Samil Kuo, Yenyi Lin, 台北市文化局


台湾の音楽業界に精通している人であれば、台湾のジャズの発祥がどこかわかると思います。ここではそんなジャズの聖地を紹介していきます。

Blue Note Taipei台北藍調(タイベイランディアオ)というお店は1974年から今に至るまで各国のプレイヤーたちがこの場所でジャズの演奏を行っています。今季の『TAIPEI』では、創業者の蔡輝陽(ツァイホィヤン)氏からお店を引き継いだ黄信哲(ホァンシンジャー)氏にお話を伺いました。二人とも親しみやすく、阿哲は「阿哲(アージャー)」、蔡氏は父のように優しいことから蔡爸(ツァイバー)という愛称で親しまれています。以下インタビュー内でも同様の名称で表記しています。Blue Note▲台湾でジャズを楽しむのであれば多くのファンが立ち寄るBlue Note Taipeiがおすすめです。(写真/Samil Kuo)

パイオニアの偉業
Blue Note Taipeiは、創業者の蔡爸が開業したお店です。「Blue Note Taipeiは、1974年に永康公園近くの小さなスペースでオープンし、ジャズとブルースのレコードや楽器の販売を主としていました。」と阿哲は話します。蔡爸はスペースを広げるために1978年にお店を移転、そこからさらに移転を行って現在の場所に落ち着きました。

お店は、羅斯福路と師大路の交差点にある古くて小さな商業ビルにあります。「かなりの期間、レコードと楽器の販売以外に、飲食業やライブハウスをするなど足のわらじで経営してきました。午後にジャズのレッスン教室を開いていたこともあります。」と阿哲は振り返ります。05YT7399▲入り口を照らすネオンライトは台北ジャズのシンボルとなっています。

「蔡爸は演奏者でもあったので、特に若いころから幾夜もステージで演奏していました。」それから徐々に事業をシンプル化し、蔡爸は奥さんと2人でライブ演奏だけをするようになりました。現在も、夜8時から深夜までと短い営業時間で、食事やドリンクメニューも、シンプルにしているそうです。

店名については多くの人が、ニューヨークの有名な「Blue Note Jazz Club」にち
なんでいると誤解するそうです。「あのお店は年開業なので、実はこちらの方が早いんです。当店の名前は、1981年に創設されたジャズ界最強のレコード‧レーベルBlue Note Recordsからつけています。また、ブルーという文字が含まれているので、ジャズとブルースの両方を行うと思われがちですが、基本はジャズ一筋で、ブルースはたまにやる程度です。」Blue Note  (3)

台北ジャズの象徴になるまで
Blue Note Taipei の開業当初は、台湾でジャズが流行っておらず、その存在はほとんど知られていませんでした。当時、テレビのチャンネル数はつで、地元のラジオ局でかかる西洋音楽が主流でした。また、戒厳令時代になると、海外旅行にもでかけられず、ジャズに触れられる機会は駐留する米軍兵士からしか有りませんでした。阿哲はもともと働いていた会社の上司が演奏していたことがきっかけでジャズに触れました。「心を掴まれました。変則的 なペースとリズムが好きでした。」と阿哲は言います。

「当時のBlue Note Taipeiは、本場のジャズが楽しめる数少ない場所の1つでしたが、私みたいに本格的にハマる人はごくわずかでした。」1978年に戒厳令が終わると、海外留学や旅行へ行く人が増え、新たな関心事を台湾へ持ち返るようになりました。05YT7458▲多くの人たちがジャズのアルバムや演奏を見にBlue Note Taipeiを訪れ、最終的には長年通い詰める常連へと変わっていきます。

Blue Note Taipeiは、当時からほとんどプロモーションをしていないそうです。ウェブサイトはあるものの、基本的には地元のジャズ通の音楽愛好者たちが自然に増えていきました。ジャズ専門のライブハウスなどは新しい場所ができては消えていきましたが、このお店は台湾国内随一のライブハウスという評判を早くから確立していました。

「演奏家、音楽ファンどちらも自らこのお店を見つけてやってくるので、売り込みをする必要がありません。客層は幅広く、地元の人たち以外にも、何十年も通い続けている常連、新規の若いお客さんも次々とやって来ます。また、毎晩ライブを見に来るお客様の3分の1は観光客で、台湾在住の外国人や海外から来る人も多いです。総じて台北のジャズについてネットで調べてから訪れる音楽愛好者ばかりです。」阿哲は姉の黄丹(ホァンダン)氏(愛称はCarter)と一緒にお店を運営していますが、二人は国内外からやってくるお客さんたちとジャズを通して親交を深めています。Blue Note  (15)​​​​​​​▲阿哲(左)はお姉さんのCarter(右)と一緒に創業者の蔡爸から事業を引き継ぎ、力を合わせて Blue Note Taipeiを運営しています。 (写真/Samil Kuo)

阿哲が働き始めたのは2001年からだそうです。「姉は私より先にバーテンダーとして働いていました。他の店で働いていた時の上司と蔡爸が友人関係で、そのツテで蔡爸からバーテンダーとしてお店を手伝ってほしいと誘われたそうです。最終的にはこのお店の音楽の虜になりました。」阿哲本人はというと、自らこのお店で働くようになり、最終的に経営に携わらないかと誘われて現在に至ります。

蔡夫妻が引退する前にお店を売るか潰すという話がありましたが、最終的に私と姉が引き継ぎました。蔡爸と私たち姉弟は、上司と部下というよりも親子のような関係でした。」二人とも音楽に対する強い情熱を持っています。お店は今でも蔡爸が開業した当時の面影を残していて、入口のネオンライト、壁一面を埋め尽くすジャズのレコード、グランドピアノが置かれた小さなステージなど全てがBlue Note Taipei の象徴です。「蔡爸とジャズを何十年も愛し続けているお客様のためにも変わらずに残しておきたいのです。」と阿哲は言います。Blue Note  (1)

最高のプレイヤーたちが集まるステージ
台湾の「ジャズの聖地」であるBlue Note Taipei は、お客だけでなくプレイヤーも自ら進んでお店を訪れ、このステージでの演奏を願い出ます。平日は毎晩違うグループの出演が予定されていて、新しいプレイヤーも参加できます。週末は台湾のグループと台湾在住の外国人グループの中から選りすぐりの常連グループが演奏を繰り広げます。「毎週土曜はKUカルテットという日本人ピアニストの烏野薫と台湾人サックス奏者の李承育(リーチェンユー)が率いるグループが演奏をします。烏野と李は、20年近く台北でジャズを教えていて、彼女たちのような音楽家がさらに多くのプレイヤーたちを店に呼び込みます。これこそがジャズを受け継いでいく方法だと思いますし、そのためにもBlue Note Taipei がいつまでも高いクオリティのパフォーマンスをお届けできることが何よりも肝心です。」05YT7484​​​​​​​▲烏野薫が率いるKUカルテットは毎週土曜になると Blue Note Taipeiで演奏を行い、ファンたちを楽しませています。

若手のプレイヤーの中には烏野氏が指導する若手ジャズオーケストラ、李氏が輔仁大学音楽学科で教えているバンドがあり、どちらもBlue Note Taipeiで演奏をしています。

外国人のプレイヤーはウェブサイト経由で直接連絡してくるか、交流のある台湾のジャズミュージシャンを通じて連絡してくることもあり、主にベテランの演奏家や、何年も海外で勉強してきた人たちが多いそうです。海外の大物ミュージシャンには、ラルフ‧ララマ(Ralph Lalama)、ジェリー‧ウェルドン(Jerry Weldon)、ローマン‧ヴルブレフスキ
(Roman Wróblewski)とヘンク‧クラーィエフェルト(Henk Kraaijeveld)などがいて、最近だと日本出身のサックスマスターの大山日出男と、スペイン出身のバンドモーリン‧チェカルテット(Maureen Choi Quartet)が出演をしています。

また、「台北ジャズフェスティバル」や「台中ジャズフェスティバル」に出演する海外グループが、お店に立ち寄ってセッションすることもあるそうです。その際は事前交渉が必要で、2018年には「台中ジャズフェスティバル」に出演した、アメリカ‧カリフォルニア州サンノゼ出身の「サンホゼ‧ジャズ‧コレクティヴ(SJZ Collective)が交渉の末、参加していて、2019年のアジアツアー中にも再演を果たしています。ソロプレイヤーも同様で、連絡なしでいきなり来ることはなく、事前に出演の段取りを行っているとCarterは話します。「フェスに複数回出演しているアーティストも、当店で何度も演奏していて、私たちもかなりの人数のアーティストたちと交友関係を持っています。」大安森林公園2019​​​​​​​▲毎年屋外で開かれるジャズフェスティバルは、世界中の有名なジャズバンドの演奏を聞こうと会場から溢れるほどの観客が集まります。 (写真/台北市文化局)

最高のプレイヤーたちが集まるステージ
阿哲に台北の音楽に興味があり、特にジャズに興味がある人が訪れるべき場所はどこかを訪ねると、「まずは何度か当店に足を運んでください。その上で外せないのが、Sappho Live Jazz、台北ジャズフェスティバル、台中ジャズフェスティバルです。」と答えてくれました。
Sappho Live Jazz は、ライブジャズ専門の音楽クラブで、カジュアルな雰囲気とプロのジャズ演奏が楽しめることで知られています。安和路で約15年営業したのち、MRT中山国小駅付近に移転しました。台北ジャズフェスティバルは、2007年以来年に1度開催されています。大安公園で、国内外の最高のジャズバンドによる大規模な屋外コンサートが繰り広げられます。台中ジャズフェスティバルは、台北から車で約90分の西海岸沿いにある台中市で年に1度開催されています。

Blue Note Taipei は、台湾の近代歴史と芸術性が直に体験できるスポットです。ぜひ
音楽が好きな方は足を運んでみてください。


Blue Note Taipei (台北藍調)
大安区羅斯福路三段171号4階
bluenotetaipei.com

「台北ジャズフェスティバル」
10/1 | 15:00 ~ 17:50 @ 大湖公園
10/2 | 15:00 ~ 17:50 @ 林森公園
10/16 ~ 10/18 | 18:40 ~ 20:30 @ 忠誠公園 10/23 ~ 10/25 | @ 大安森林公園 (各日4回公演)

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