発表日:2022-09-21
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TAIPEI #29 (2022 秋季号)
エメラルド色の島
陽明山の滝を巡る旅
文:Nathan Ray 編集:下山敬之 写真:Taiwan Scene
数百年前、ポルトガル人が初めて台湾を訪れた際、この島のことを「イラ・フォルモサ」、ポルトガル語で美しい島と呼びました。エメラルド色をした台湾の自然は長きに渡り高く評価され、多くの人たちに感動を与えてきました。現代でもこの美しい自然は、フォルモサの魂とともに残り続けています。
台湾は膨大な雨水と変化しやすい地形が相まって、各地に多くの滝が生まれました。特に盆地に位置する首都の台北は大部分が険しい山々に囲まれていることから、壮観な山の風景とともに美しい滝を観賞することができます。そこで今回は半日のプチ旅行をテーマに、滝巡りができる短いハイキングコースをいくつかピックアップしました。
この旅行では陽明山を中心に、特色の異なる3 種類の滝を巡りつつ、付近にある観光スポットにも立ち寄れます。中でも特にオススメなのは海抜1,120m からの眺めを堪能できる七星山です。他にも複数のハイキングコースが設置されている陽明山国立公園は、美しい花や地球の躍動を感じる火山活動が見られます。
陽明山へのアクセスは自動車が最も便利ですが、市内から陽明山方面へ向かうバスも数多く運行しています。特にMRT 剣潭駅を経由する便は様々なハイキングコースへアクセスが可能です。また、途中で小型のバスへ乗り換えることで、より多くの人気スポットへも足を伸ばせますので、ぜひ利用してみてください。
❗️❗️水場で遊ぶ際には天候や河川の状況をよく確認しましょう。小さいお子さまがいる場合は目を離さないように注意してください。
✅絹絲滝
▲森の中にひっそりと隠れている絹絲滝は、天から降り注ぐ糸のような水が地面にある岩を赤く酸化させています。
最初にご紹介するのは絹絲滝です。ハイキングコースの入り口は、菁山路101巷の脇にある「絹絲滝駅」という小さなバス停の近くにあります。このバス停まではMRT 剣潭駅から小15線の路線バスでアクセスが可能です。駐車場もありますが、駐車できる台数には限りがあるので自動車を利用する際は注意しましょう。
このコースは坪頂古圳步道と繋がっており、清朝時代に近隣の住宅や農地に水を供給するために建設された用水路が散見されます。また、絹絲滝へと続く遊歩道の脇には、日本時代に建設された山猪湖水圳と呼ばれる水路があり、澄んだ水のせせらぎと森の生物の声が聞こえてくる心地よい空間となっています。
滝に到着するまでの距離は約1kmで、途中には木陰があるほか、深い谷の雄大な景色が楽しめます。この滝の水源は高地にある冷水坑で、水の流れによって岩石が酸化することから、低地の渓流は赤褐色に染まっています。
▲森の中にひっそりと隠れている絹絲滝は、天から降り注ぐ糸のような水が地面にある岩を赤く酸化させています。
絹絲という名前は中国語で「シルク」を意味していて、滝の流れが白い絹糸に見えることから名付けられました。滝からおよそ1時間ほど歩くと、野生の水牛が見られる擎天崗草原にたどり着きます。そこから小道に沿って下っていくと、頂山や坪頂古圳といったスポットが見えてきます。
このあとに紹介する2つの滝も続けてみたいという場合は、一度このコースの入口に戻るのがオススメです。
✅小隠潭滝
▲小隱潭滝の横には遊歩道があり、ハイカーたちをさらに涼しい秘境へと誘います。
2番目にご紹介する小隠潭滝は、おとぎ話の世界から飛び出てきたような幻想的な光景が広がっています。この滝の名前は「隠れた小さな池」という意味で、付近には高い木々が並び、狭い峡谷の中に隠れていることから名付けられました。道路沿いに入り口がありますが、運転中であれば見逃してしまうほどなので、隠れた雰囲気にピッタリな名前となっています。
この秘密の滝にアクセスする際は、最初に陽明公園に向かいます。陽明公園へはMRT北投駅から小9線、またはMRT 石牌駅から小8線の路線バスに乗車しましょう。公園で下車したあとは南方向へ5分ほど歩くと小隠潭の入り口が見えてきます。
小隠潭は母なる自然が創造した憩いの場であり、景観の美しさだけでなく、静かなで落ち着いた雰囲気を持つ癒しスポットです。滝壺の近くは足を入れて楽しむこともできますが、岩肌がツルツルと滑りやすいので注意しましょう。水の色は乳白色をしていますが、これは陽明山の温泉地の源流から硫黄の成分が流れてきているためです。水温は冷たく、近くには平たく大きい石がゴロゴロと転がっているのでピクニックにも適しています。また、滝の周囲全体が大きな木々に囲まれているので、秋の厳しい残暑を避けてのんびりと過ごすのもオススメです。
✅大屯滝
▲大屯滝は木陰が日差しを遮るのでハイキングの休憩に最適です。
陽明公園に戻り北方向へ15分ほど歩くと、今回の旅行の最終地点である大屯滝へたどり着きます。滝壺までは遊歩道を通って数分ほど歩きます。この区間は舗装されているので歩きやすいですし、途中には台北市街を一望できるスポットもあります。そこから曲がりくねった山肌を超えると大屯滝が見えてきます。
大屯山鞍部のふもとに位置するこの滝は、今回紹介する中で最も大きな滝です。大屯山には3つの大きな峰があり、いずれのハイキングコースも非常に人気があります。主要なコースを進んでいくと滝の上流にたどり着き、そこには歴史を感じさせる石造りの橋が架かっています。付近には激しい水流によって転がってきた巨石が散見されるなど、自然の大いなる力を感じられるでしょう。
付近にある階段を下りて少し歩くと、岩肌に埋め込まれた小さな祠が見えてきます。ここには腰をかけるスペースがあるので小休止に最適です。この先にある小川を渡ると他の橋が架かっているスポットまで周遊することもできます。もしくは、水に足をつけて、このオアシスに生息する魚の群れを眺めながらくつろぐというのも楽しみ方のひとつです。
エメラルド色の島
陽明山の滝を巡る旅
文:Nathan Ray 編集:下山敬之 写真:Taiwan Scene
数百年前、ポルトガル人が初めて台湾を訪れた際、この島のことを「イラ・フォルモサ」、ポルトガル語で美しい島と呼びました。エメラルド色をした台湾の自然は長きに渡り高く評価され、多くの人たちに感動を与えてきました。現代でもこの美しい自然は、フォルモサの魂とともに残り続けています。
台湾は膨大な雨水と変化しやすい地形が相まって、各地に多くの滝が生まれました。特に盆地に位置する首都の台北は大部分が険しい山々に囲まれていることから、壮観な山の風景とともに美しい滝を観賞することができます。そこで今回は半日のプチ旅行をテーマに、滝巡りができる短いハイキングコースをいくつかピックアップしました。
この旅行では陽明山を中心に、特色の異なる3 種類の滝を巡りつつ、付近にある観光スポットにも立ち寄れます。中でも特にオススメなのは海抜1,120m からの眺めを堪能できる七星山です。他にも複数のハイキングコースが設置されている陽明山国立公園は、美しい花や地球の躍動を感じる火山活動が見られます。
陽明山へのアクセスは自動車が最も便利ですが、市内から陽明山方面へ向かうバスも数多く運行しています。特にMRT 剣潭駅を経由する便は様々なハイキングコースへアクセスが可能です。また、途中で小型のバスへ乗り換えることで、より多くの人気スポットへも足を伸ばせますので、ぜひ利用してみてください。
❗️❗️水場で遊ぶ際には天候や河川の状況をよく確認しましょう。小さいお子さまがいる場合は目を離さないように注意してください。
✅絹絲滝
▲森の中にひっそりと隠れている絹絲滝は、天から降り注ぐ糸のような水が地面にある岩を赤く酸化させています。
最初にご紹介するのは絹絲滝です。ハイキングコースの入り口は、菁山路101巷の脇にある「絹絲滝駅」という小さなバス停の近くにあります。このバス停まではMRT 剣潭駅から小15線の路線バスでアクセスが可能です。駐車場もありますが、駐車できる台数には限りがあるので自動車を利用する際は注意しましょう。
このコースは坪頂古圳步道と繋がっており、清朝時代に近隣の住宅や農地に水を供給するために建設された用水路が散見されます。また、絹絲滝へと続く遊歩道の脇には、日本時代に建設された山猪湖水圳と呼ばれる水路があり、澄んだ水のせせらぎと森の生物の声が聞こえてくる心地よい空間となっています。
滝に到着するまでの距離は約1kmで、途中には木陰があるほか、深い谷の雄大な景色が楽しめます。この滝の水源は高地にある冷水坑で、水の流れによって岩石が酸化することから、低地の渓流は赤褐色に染まっています。
▲森の中にひっそりと隠れている絹絲滝は、天から降り注ぐ糸のような水が地面にある岩を赤く酸化させています。
絹絲という名前は中国語で「シルク」を意味していて、滝の流れが白い絹糸に見えることから名付けられました。滝からおよそ1時間ほど歩くと、野生の水牛が見られる擎天崗草原にたどり着きます。そこから小道に沿って下っていくと、頂山や坪頂古圳といったスポットが見えてきます。
このあとに紹介する2つの滝も続けてみたいという場合は、一度このコースの入口に戻るのがオススメです。
✅小隠潭滝
▲小隱潭滝の横には遊歩道があり、ハイカーたちをさらに涼しい秘境へと誘います。
2番目にご紹介する小隠潭滝は、おとぎ話の世界から飛び出てきたような幻想的な光景が広がっています。この滝の名前は「隠れた小さな池」という意味で、付近には高い木々が並び、狭い峡谷の中に隠れていることから名付けられました。道路沿いに入り口がありますが、運転中であれば見逃してしまうほどなので、隠れた雰囲気にピッタリな名前となっています。
この秘密の滝にアクセスする際は、最初に陽明公園に向かいます。陽明公園へはMRT北投駅から小9線、またはMRT 石牌駅から小8線の路線バスに乗車しましょう。公園で下車したあとは南方向へ5分ほど歩くと小隠潭の入り口が見えてきます。
小隠潭は母なる自然が創造した憩いの場であり、景観の美しさだけでなく、静かなで落ち着いた雰囲気を持つ癒しスポットです。滝壺の近くは足を入れて楽しむこともできますが、岩肌がツルツルと滑りやすいので注意しましょう。水の色は乳白色をしていますが、これは陽明山の温泉地の源流から硫黄の成分が流れてきているためです。水温は冷たく、近くには平たく大きい石がゴロゴロと転がっているのでピクニックにも適しています。また、滝の周囲全体が大きな木々に囲まれているので、秋の厳しい残暑を避けてのんびりと過ごすのもオススメです。
✅大屯滝
▲大屯滝は木陰が日差しを遮るのでハイキングの休憩に最適です。
陽明公園に戻り北方向へ15分ほど歩くと、今回の旅行の最終地点である大屯滝へたどり着きます。滝壺までは遊歩道を通って数分ほど歩きます。この区間は舗装されているので歩きやすいですし、途中には台北市街を一望できるスポットもあります。そこから曲がりくねった山肌を超えると大屯滝が見えてきます。
大屯山鞍部のふもとに位置するこの滝は、今回紹介する中で最も大きな滝です。大屯山には3つの大きな峰があり、いずれのハイキングコースも非常に人気があります。主要なコースを進んでいくと滝の上流にたどり着き、そこには歴史を感じさせる石造りの橋が架かっています。付近には激しい水流によって転がってきた巨石が散見されるなど、自然の大いなる力を感じられるでしょう。
付近にある階段を下りて少し歩くと、岩肌に埋め込まれた小さな祠が見えてきます。ここには腰をかけるスペースがあるので小休止に最適です。この先にある小川を渡ると他の橋が架かっているスポットまで周遊することもできます。もしくは、水に足をつけて、このオアシスに生息する魚の群れを眺めながらくつろぐというのも楽しみ方のひとつです。
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