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台北のスラッシュキャリア生活:新時代の働き方 (TAIPEI Quarterly 2023 夏季号 Vol.32)

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発表日:2023-06-23

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TAIPEI #32 (2023 夏季号)
    

台北のスラッシュキャリア生活:新時代の働き方

文:Genie Zheng、Hsuan Yin Zhang
編集:下山敬之 
写真:Samil Kuo、Curry For Peace、Taiwan Scene


昨今、スラッシュキャリアやスラッシャーと呼ばれる働き方が注目を集めています。これは同時に2つ以上の仕事をする人やそのライフスタイルを表す言葉で、「/(スラッシュ)」の前後に複数の仕事を表記することから、このように呼ばれています。スラッシュキャリアとしての生活は不確定要素やチャレンジが多いものの、台北ではリスクを恐れず新しい事に挑戦し、問題解決能力や自己管理能力を高めている人たちがいます。

福岡出身で台北に20年以上住んでいる樋口真一さんは、カレー店のオーナー / ストリートブランドのコンサルタントをしている人物です。今回は樋口さんに台北での生活と、日本と台湾のスラッシュキャリアの違いについてお話を伺いました。

Curry For Peace _28 (Copy)▲樋口さんは毎朝、自らスパイスカレーを煮込みます。

Q1    台北に移住したきっかけは?
私は2003年か2004年ごろに、中国語を学ぶために台北に来ました。中華圏が今後のトレンドになると親戚が言っていたことから、国立台湾師範大学で中国語を学ぶ事にしたのです。たくさんの友人ができましたし、現地の人との会話をすることで、中国語はすぐに上達しました。半年もかからずに中国語を話せるようになり、ホテル業の仕事も見つけたので、そのまま台北に残り続けました。

Q2    台北の印象はどうですか?
私は福岡出身ですが、台北と福岡は地理的な大きさや環境が似ています。ですので、私にとって台北は懐かしい感じがありましたし、現地の人たちも温かい人ばかりでした。当時、私は台北に詳しくなかったので、どこへ行くにも人に道を尋ねなければいけませんでしたが、現地の人たちは私を直接目的地まで案内してくれました。これは日本ではあまり考えられないことです。行き方は答えてくれても、実際に連れて行ってくれる事はまずありません。これは私にとって非常に衝撃的な出来事でした。

Q3    最初はホテル業界で働き、今はカレー店のオーナーをしていますが、職業が変わった経緯を教えて下さい。
コロナ禍以前はホテル業界で働きつつ、同時に趣味でカレー店を経営していました。ですが、コロナ禍で観光業が低迷したので、ホテルでの仕事は辞めて、カレー店に専念しました。

ストリートブランドのコンサルは、10年以上前にアメリカから帰国した友人が、ストリートウェアを扱うビジネスを始めたのですが、彼は日本語が話せなかったので、私が日本側との交渉に入りました。私は日本のアパレル業界で働いていたので、業界にも精通していました。それもあって、友人にコンサルタントとして誘われ、空いた時間で業務を手伝っています。

Curry For Peace _27 (Copy)▲彼はストリートブランドのコンサルタントを兼任しており、店内にはブランドとのコラボアイテムも一部見ることができます。

Q4    スラッシュキャリアについて、日本と台湾の現状をどのように考えていらっしゃいますか? 
台湾は働き方に対する考え方がオープンなので、スラッシュキャリアも自由度が高いといえます。とはいえ、日本も10数年前から働き方に関する考え方は変わってきていて、定年まで1つの会社で働く人は少なく、特に若い世代はスラッシャーとして働く人も多いです。私の日本の友人も昼間はレストランで働き、夜はバーでバーテンダーをしています。彼はお金を稼ぐためではなく、趣味としてやっています。

スラッシュキャリアは世界的なトレンドで、自分の趣味や時間、体力に合わせた余裕のあるライフスタイルを採用する人が増えています。

Q5    なぜ台北でカレー店を開こうと思ったのですか?
カレーは私の趣味だからです。日本ではカレーが嫌いという人はほぼいません。私の高校の同級生が教えてくれたのですが、福岡には個人経営のスパイスカレーのお店がたくさんあり、いずれもレシピや味が異なるそうです。私も一人のカレー好きとして勉強を始め、福岡で最も有名なスパイスカレーの先生の元で学びました。そこからカレー店を開き、台北の人たちにスパイスカレーを広めています。

Currryforpeace1 (Copy)▲夏にぴったりのグリーンカレーは、店内で人気のある料理です。(写真‧Curry For Peace)

Q6    カレー店を経営する上で困難な問題に直面した経験はありますか?
以前は、台北にスパイスカレーのお店が少なかったので、このジャンルのカレー店を開きました。ですが、最初はスパイスが効きすぎているとか、塩辛いという意見が寄せられました。そこから味を調整し、今では多くのお客さんに美味しいと受け入れられています。オープンから6年あまり経ちますが、4年目の時にコロナが蔓延し、その時期は冷凍にしたパックを販売していました。コロナが収まってからはお客さんも戻ってきています。

Q7    台北と日本の食の好みやスタイルについては、どのように見られていますか? 
日本で美味しいと言われる味は甘味、塩味、辛味が中心で、苦い食べ物は多くありません。しかし、台湾では辛味にもいくつもの層がありますし、「麻(しびれる辛さ)」「辣(ひりひりする辛さ)」という違いもあります。台湾の人たちは味覚の範囲が日本人よりも広いのだと思います。

例えば、日本でカレーといえば辛い印象があります。しかし、台北の人たちは、どちらかといえば甘いという印象を持っています。私のお店に来られるお客さんも、甘口のカレーを選ぶ方が多く、好んで揚げ物も注文します。ですが、日本ではスパイスカレーのお店で、揚げ物を提供しているお店は多くありません。

他にも台北では毎日夜市が開いていますし、屋台料理の選択肢も豊富で、持ち運びに便利な食べ物が多いです。日本の飲食業は大企業が経営しているケースが大半で、屋台はお祭りの際に見かけるくらいです。売られている食べ物も、たこ焼きなどパターン化されたものが多いです。

Q8    お気に入りの台北のスポットを教えて下さい。
私は内湖に住んで3年近くになりますが、周辺は交通量が少なく静かです。また、歩いて数分の距離に公園があるので、生活はとても快適です。また、週末には北投の温泉に行ったり、陽明山で夜景を見ることでリラックスしています。日本から友人が訪れたには、美しい景色が広がる猫空のロープウェイを案内します。猫空は日本で手に入らない台湾のお茶を味わうこともできるオススメの場所です。

IMG-8424 (Copy)▲広大で緑豊かな陽明山は樋口さんのお気に入りの台北スポットの一つです。(写真‧Taiwan Scene)

Q9    ストリートブランドのコンサルという事で、ファッションについて独自の見解や意見があると思いますが、台北のストリートファッションには何か変化があると思いますか?
10年以上前は、柄の入ったTシャツを来ている男性が多く、当時の流行は日本よりも6、7年遅れている感じがしました。しかし、この10年ほどでファッションに関心を持つ人が増え、流行にも敏感で、消費力も高くなっています。例えば、有名な日本のスタイリスト、長谷川昭雄さんが自身のSNSで自ら監修したり、他のブランドとコラボした新商品を投稿する度に、台北のストリートウェアファンは日本のファンよりも早く購入します。そのため、多くのブランドが徐々に中華圏に注目し、シフトを始めています。

Q10    台北に20年以上住んでいて、この街のどういった所が好きですか? 
私は普段、バイクで通勤していますが、台北の移動は非常に便利です。郊外は車で約1時間程度で到着できます。都市部は交通の流れも多いですが、休日はそこまで混雑しません。個人的には休日の台北は移動がしやすく、特に長期連休の際はバイクでの移動が非常に快適だと感じています。

🍴カレー店のオーナーがオススメする台北の美味しいお店🍴
極品光復素食包子
💬「このお店の中華まんは1食分になるくらい量が多いです。餡にはキャベツやサヤインゲンなど多くの野菜が入っています。」
住所          信義区光復南路419巷95号
営業時間    6:30~13:30(月曜日定休)


本多日本料理
💬「このお店の店主も福岡出身で、寿司が食べたくなったらこのお店に行きます。」
住所           松山区敦化北路60巷15号
営業時間    11:30~14:00;17:30~21:30(日曜日定休)


美濃屋
💬「メインはラーメンですが、私がオススメしたいのは炒麺と焼き餃子のセット。これは絶品です。」
住所           中山区新生北路一段108‐1号
営業時間    17:00~22:00(火曜日~金曜日)
                  12:00~14:30;17:00~22:00(土曜日)
                  12:00~14:30;17:00~21:30(日曜日)(月曜日定休)


来特冰淇淋
💬「このお店のアイスクリームとデザートは日本では味わえません。私のお気に入りです。」
住所           松山区八XH四段36巷54号
営業時間    13:30~22:00 (火曜日定休)

 

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