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グラフィティアートが彩る 街角と映画の風景 (TAIPEI Quarterly 2017 春季号 Vol.07)

アンカーポイント

発表日:2017-03-27

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グラフィティアートが彩る
街角と映画の風景

文 _ 葉亜薇 写真 _ 晴天影視、台北当代芸術館

壁に描かれた大げさで荒っぽい絵柄。街角のグラフィティ(落書き)が人々に与える従来の印象はこうでした。しかし21世紀のグラフィティは、芸術品をおしゃれな若者のものにする動力であり、オークションで売買されるアートになっています。グラフィティの美は平凡な壁と町を若さとロックで彩るものです。
西門町は台北で最も若者文化があふれるエリアです。若者向けのおしゃれな洋服店が立ち並ぶ路地―昆明街96巷は別名「アメリカ通り」と呼ばれています。路地の壁や店先のシャッター、道端の変電ボックスまで、アメリカ通りの周辺は台湾生まれのアイデアあふれたグラフィティで埋め尽くされています。通りの奥には2,000坪の敷地を持つ「台北市電影主題公園(台北シネマパーク)」があります。ここでは芸術文化、若者文化の発展のため、グラフィティアーティストが合法かつ安全に才能を発揮できるスペースを提供しています。若者は静かな叫びをスプレーで思う存分に描き上げ、自己の「存在」を大きな声でアピールすることができます。
TAIPEI 春季号 2017 Vol.07 グラフィティアートが彩る 街角と映画の風景
▲ 「街大歓喜―台北当代芸術館×赤峰街区芸術展」の作品「城市迷彩」。都市の変化の中にあるさまざまな場面が持つ独特の魅力を象徴しています。(写真/台北当代芸術館)

創作スペースを提供する
「シネマパーク」

この素晴らしい取り組みを行っているのは「台北多元芸術空間青少年発展促進会(芸青会)」です。当初、芸青会はグラフィティアーティストの下書きを持って西門町の家主を訪ね、無料で描くことを条件として壁を提供してくれるよう説得したのだそうです。アメリカ通りの多くの作品はこのようにして生まれました。その後、台北市文化局と芸青会が合同で国際グラフィティコンクール、ラップやストリートダンスコンテストといったイベントを行い、多くの人々が西門町を訪れるようになりました。現在、ここでは映画とタイアップしたグラフィティなど新しい作品が続々と登場し、人々が記念撮影やSNSでチェックインする人気の観光スポットとなっています。
このほか、サブカルチャーがあふれる電影街(映画通り)でも、魅力たっぷりなグラフィティを見つけることができます。「Citymarx」はストリートカルチャーを愛する仲間たちによって結成されたアーティストチームで、グラフィティのイベントやコンテストを開催するだけでなく、近年は大型作品の創作も積極的に行っています。その中のひとつ、西門町にある映画館「豪華数位影城」の8階建ての壁を使ったグラフィティは台湾最大で、Candy Bird、DEBEら7人のアーティストが共同で描いた作品です。友達と映画を観に来た学生の陳くんは「こういった独創的で面白いデザインのグラフィティは、おしゃれで若い世代の文化に近いと僕らは思う」と話してくれました。

河浜公園の堤防にも
グラフィティ

風に吹かれて自転車をこぎながら、グラフィティを観賞するのはどれだけ心地よいことでしょう!昨年9月から、迎風河浜公園、中山区美堤河浜公園、士林区百齢右岸、文山区福和河浜公園、文山区景美河浜公園の5つの河浜公園にある堤防が、台北市水利処によって「グラフィティ専用スペース」として開放されました。このスペースは4カ月に一度新しい作品が描かれます。5つの河浜公園のうち迎風河浜公園のスペースが約400坪と最大で、そのほかは60~236坪の面積があります。散歩やサイクリングをしながら、線が大げさで非常に個性的な丸みのある文字や謎めいたクールなキャラクター、あるいは鮮やかな色合いで面白いデザインのグラフィティを観賞すれば、アートが生活に入り込んだ台北の川岸を楽しむことができます。
TAIPEI 春季号 2017 Vol.07 グラフィティアートが彩る 街角と映画の風景
▲ 建成中学校のバス乗り場にはグラフィティで中学生の学校生活、未来への憧れと期待が描かれています。(写真/台北当代芸術館)

鍛冶屋の町から
芸術の町となった赤峰街

かつては「打鉄街(鍛冶屋町)」として知られ、現在は若者文化の香りに満ちた赤峰街。アートイベント「ストリート・ファン、ファン・ストリート 街大歓喜―台北当代芸術館×赤峰街区芸術展」が2年連続で行われ、街の魅力がさらに輝きました。台湾のイラストレーターたちと現代アートのクリエイターたちが赤峰街をつぶさに観察し、その思いを壁面イラスト、インタラクティブアート、リレー形式の撮影作品、パブリックアート、シチュエーションドラマといった多様な方法で表現しました。住民や観光客たちは、赤峰街を散策して芸術の洗礼と潤いを味わいました。
今年公開された映画『西城童話』も、西門町のあちこちにあるグラフィティによって都市文化を表現しています。葉天倫監督は「グラフィティはアートのひとつであるだけでなく思想の宣言でもあり、多元的な文化を持つ都市の魅力を表現しています」と語ります。グラフィティはさながら青春の小さな叫びであり、歴史ある台北のロックなスピリットを目覚めさせます。芸術に声を与えるだけでなく、この町にさらなる物語を与えるものでもあります。

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