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コンクリートジャングルで よみがえる ほのかな光 ホタルの足跡 (TAIPEI Quarterly 2017 夏季号 Vol.08)

アンカーポイント

発表日:2017-06-15

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コンクリートジャングルで
よみがえる
ほのかな光 ホタルの足跡

文 _ 凃心怡 写真 _ 黄建彬、王億傑

「私の知る限りでは、台北は全世界の人口密度が非常に高い都市の中で、ホタルの再生に成功した数少ない都市のひとつです」――財団法人大安森林公園の友基金会の郭城孟事務局長がこう語る時、その目には誇りと喜びが溢れています。
郭城孟事務局長はホタルが きらめく台北を取り戻し、 台北が人々を癒す自然豊か な街となることを期待して います。(写真/黄建彬)
▲郭城孟事務局長はホタルが きらめく台北を取り戻し、 台北が人々を癒す自然豊か な街となることを期待して います。(写真/黄建彬)

2014年、台湾の専門家と研究者がホタル再生の成果をひっさげ、米国フロリダ州で行われた国際ホタルシンポジウム年次総会に参加しました。台湾の発表した内容は、どれも各国を驚かせるものでした。ホタルの保全は海外でも成果が出ているかもしれませんが、すでにいなくなったホタルの再生は非常に難しいことです。ましてや都市の中でとなれば夢物語と同じ。しかし台北はそれを実現しました。
瑠公圳からのきれいな水が栄星花園公園に再びホタルの光を取り戻しました。(写真/黄建彬)
▲ 瑠公圳からのきれいな水が栄星花園公園に再びホタルの光を取り戻しました。(写真/黄建彬)

失敗乗り越え 
25年前の輝き取り戻す
「台北のどこに立っても、大通りの先を見れば緑に覆われた山があります」——郭事務局長は、これまで米国‧ニューヨーク、中国‧上海、ドイツ‧ベルリン、スイス、フランス‧パリ、英国‧ロンドンなど海外の数多くの都市に滞在したことがあるそうですが、中でも台北は人々を癒す自然豊かな街づくりの可能性を最も多く秘めていると考えています。
ホタル再生に取り組む栄星花園公園の池。(写真/黄建彬)
▲ ホタル再生に取り組む栄星花園公園の池。(写真/黄建彬)

台北はかつてひとつの湖でした。漢民族が開墾して水田が広がるようになったころ、ホタルは自由自在にこの町を飛び交っていました。中正区の「蛍橋」という地名はまさにかつてホタルが存在したことの証明です。しかし都市開発によってコンクリートジャングルがホタルの生息地を破壊し、ホタルは徐々に深い山の中へと消えていきました。栄星花園公園はまさにその一例です。この公園の片隅ではかつて、春と秋になるとかすかな緑の光がぴかぴかと光っていましたが、その住みかは人間によって壊されてしまいました。そして蚊の数がホタルよりも増え、段々と人々はここはただの臭いどぶだと思うようになり、かつてどんな珍しい生き物がいたのか見ることはできなくなってしまいました。
長いホタル再生の道のりを経て、台北ではついに再びホタルの 姿を見ることができるようになりました。(写真/王億傑)
▲ 長いホタル再生の道のりを経て、台北ではついに再びホタルの 姿を見ることができるようになりました。(写真/王億傑)

20数年前にホタル再生に成功した台湾大学昆虫学科の楊平世名誉教授は、このホタルを取り戻す道のりを語る時、感慨を禁じ得ません。「当時、政府はこの池を埋め立てようとしていましたが、私が来るとすぐにホタルが見えたのです。ここを埋めてしまったらこのホタルたちはもう見られなくなるだろうと思いました」——そこで楊教授はホタル再生の仕事に取りかかり、瑠公圳(清朝時代に作られた用水路)から流れるきれいな水源を残したところ、ホタルが再び栄星花園公園に戻ってきました。しかしこの数年、人間の環境破壊のせいでホタルは再び減っています。栄星花園公園のホタルの運命は、台北のホタルの運命の縮図です。10数匹が生き残れるならまだ幸運、大安森林公園のホタルに至っては25年前に完全にいなくなったことが確認されています。
ホタルの習性について説明する楊平世教授。(写真/黄建彬)
▲ ホタルの習性について説明する楊平世教授。(写真/黄建彬)

何年もの間、人々はいつかまたホタルがこの街へ戻ってきてくれることを待ち望んできました。それだけでなく、現在では本当に多くの人々が実際に行動しています。そうして、この賑やかな現代都市の中でついに草むらにきらめくホタルの姿が見られるようになってきたのです。いつの日かこの台北で、ホタルの季節に小さな星たちをさらに多く見ることができるように、台北の空にいつまでもホタルが舞うようになることを願っています。
ホタル観賞に訪れる市民の理解を助ける栄星花園公園の解説ボード。(写真/黄建彬)
▲ ホタル観賞に訪れる市民の理解を助ける栄星花園公園の解説ボード。(写真/黄建彬)

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