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台北の手作り豆腐 (TAIPEI Quarterly 2022 春季号 Vol.27)

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発表日:2022-03-22

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TAIPEI #27 (2022 季号)


台北の手作り豆腐

文:  Catherine Shih
編集: 下山敬之
写真:  Samil Kuo、Thomas into


豆腐は台湾の郷土料理に欠かせない食材です。家庭料理やスープだけでなく、デザートにもよく使われます。豆腐は近年、アジアの伝統的な料理や文化における「プラチナ」食材であり、ヘルシーフードの代名詞として、世界的に注目されています。

1_LIN9224 (Copy)▲素朴な手作りの豆腐は、台湾料理に欠かせない食材です。

万味豆府(ワンウェイドウフー)は、活気あふれる台北の中山区でひっそりと営業する手作り豆腐のお店です。一般的なサラリーマンとは異なり、店主の單淵(シャン·ユアン)氏と余淑茹(ユー·シュールー)氏の生活は、、日が昇る頃にはすでに一日の半分が過ぎています。品質と円滑な生産工程を保つため、夫妻は日々精力的に働き、おいしく健康的な手作り豆腐を作り続けています。

手作り豆腐の原点
ご夫妻がこのお仕事を始めたきっかけを訊ねてみたところ、余氏から驚くような答えが返ってきました。「きっかけは偶然でした。微風広場というデパートで有機野菜や豆腐の販売係をやっていた友人に、働いてみないかと誘われました。元々働いていた豆腐職人が辞めてしまったので、手伝いを探していたそうです。ですが、私は玩具業界でしか働いたことがなく、主人は軍の専門職に就いていたので、豆腐のことはまったく知りませんでした」。お二人も思わぬ事態だったそうですが、この状況はすぐに変わりました。

「私たちはもともと積極的なタイプです。何かをやるとなれば、うまくやろうと努力します」と余氏は語ります。夫妻は、この分野についての知識を深めるため、万台湾ドルを投じ、日本の有名な職人のもとで豆腐作りを学んだそうです。「基本的なことは職人の方に教えてもらい、あとは自分たちで少しずつ身に付け、磨き上げてきました」と余氏は誇らしげに話します。

その後、デパートは改装されることとなり、新しいスペースでの出店が難しかったことから、二人は自分たちのお店を開きました。

「正直、デパートで働いていた頃とあまり変わりません。当時とまったく同じで、朝時から仕事を始めなければなりません。一つだけ違うのは、自分たちのお店ということで、ときどき寝坊をしてしまうことですね」と余氏は笑います。ですが、簡単なことばかりではありません。「エアコンを点けると、豆腐の質が落ちてしまいます。ですが、お客様をお迎えするためにはエアコンが必要になるので、暑いところと寒いところを行き来するうちによく風邪を引いてしまいます。冬場は特に冷えるので、氷の入ったバケツに手を入れて、豆腐を冷やす作業はとても大変です」

大豆で作る独特の風味
「あまり知られていませんが、豆腐の味を左右する最大の決め手は、実は豆そのものです。私たちは入念に豆を選び、アメリカから輸入した非遺伝子組み換え(GMO)大豆のみを使っています。その豆特有のコクと風味を損ねないよう、工程では水をほとんど加えません」と余氏は教えてくれました。

2thomas-kinto-y-hLxayf194-unsplash (Copy)▲大豆は豆腐や豆製品の品質に大きく影響するため、万味豆府では非遺伝子組み換え大豆を使用しています。(写真/Thomas Kinto)

「当店の豆腐の香りが極めて薄いのもそのためです。製造過程で余計なものは何も加えていません。初めて来店されるお客様には、豆腐本来の味を知っていただくため、まずは豆腐だけで食べるようお勧めしています」

きめ細かな生産工程
長年、自営業を営んできた余氏は、豆腐作りの真髄を伝えることに喜びと誇りを感じるそうです。「実はどんな大豆製品でも、まずは豆乳作りから始めなければなりません。豆乳を作るためには、まず最高の大豆を厳選します。選んだ豆を水に浸し、潰して加熱、翌日に煮込むと豆乳ができます。この時、豆乳の濃度に影響を与えるので、加熱するときに加える水の量が重要になります。。水が多いと薄くなってしまいますし、水が少なすぎると濃くなりすぎてしまいます。豆乳ができたら、凝固剤としてにがりを加え、豆腐を作ります」。

3._LIN9282 (Copy)▲豆製品を作る前の一番重要な工程は、豆乳を絶妙な濃度に仕上げることです。

「豆を挽いてから、濾さずにそのまま煮詰める人もいますが、私は粗い食感が好きではないので、調理前には濾す作業を行っています」。余氏はさらに付け加えます。「この手順は完全に好みによります。粗めの舌触りがお好きでしたら、濾す必要は全くありません」。

さらに、他の大豆製品の製造方法も教えていただきました。「ゆばは、熱い豆乳を冷ましたときにできる上澄みの部分で、豆乳が濃ければ濃いほどできやすいです」。デザートの豆花を作る場合は、豆腐と同じように塩を入れる必要がありますが、量が異なります。また、豆花は表面のきめが独特なので、滑らかさと濃厚な味わいを与えるために、油分か柔軟にする作用のあるエモリエントという成分を加えなければなりません。

課題に取り組み、乗り越える
豆腐は台湾ではおなじみの食材ですが、価格はそれほど安くはありません。余氏によると、「大豆はとても繊細で、特に温度や湿度の変化に敏感に反応して、全体の味が変わってしまいます。しかも厄介なことに、台湾の天気は変わりやすく、夏は暑い上に雨も多いです。ですから生産工程のコントロールがとても難しいです。気候や状況に応じて調整しなければならないこともよくあります」。

さらに彼女は、「正直、豆腐の味のちょっとした変化を感じられる人はそれほどいません。でも、私たちは味と品質を常に一定に保つよう努力しています」と話します。

過去の失敗体験も語ってくれました。「微風広場から自分たちのお店に移ったとき、豆乳がダメになってしまい、売り物にならなくなったことがありました。後でわかったのですが、当店には百貨店と同じような設備がなかったので、生産工程を調整する必要があったのです。こうしたことは、実際に体験してみなければ正しい知識を得ることができません。楽な仕事ではありませんが、決して手は抜きません」。

様々な大豆製品
余氏は、「看板商品は絹ごし豆腐ですが、ゴマ豆腐や抹茶豆腐など、色々な風味の豆腐も作っています。また、とてもおいしい黒豆ミルクやアーモンド味の豆花もあります。当店では何より、季節ごとの味を展開することが多いです」と彼女は自慢げに話します。

ほとんどの製品が同じ原料で出来ているとはいえ、特濃豆乳を使う万味豆府の味わいは特徴的です。豆乳だけを買い、自宅で加熱して豆腐を作るお客さんもいるそうです。

ヴィーガニズムが世界的に流行する前から、大豆製品は必需品であり、台湾料理でも何世紀にもわたり、様々な形で調理されてきました。ご夫妻の努力の結晶である、万味豆府の様々な商品は、伝統の味に新たな解釈を与え、台北の豊かな食文化をさらに多様なものにしています。

手作り豆腐のおすすめ調理法

絹ごし豆腐
万味豆府の看板メニューです。余氏によると、豆腐本来のおいしさを味わうにはこれが一番。好みに応じて、塩や醤油をかけるのもよいでしょう。そのほかにもお鍋や回鍋肉などに加えたり、煮込んだり、炒めたりしてお召し上がりいただけます。
4_LIN9257 (Copy)5_LIN9278 (Copy)▲万味の看板メニューである絹ごし豆腐は、醤油と鰹節の組み合わせでお召し上がりください。

豆腐干
万味豆府の手作り豆腐は保存料無添加のため、消費期限はわずか3日間です。ただ、豆腐干は冷凍保存が可能です。解凍したら豆腐を刻んで少し炒め、醤油とコリアンダーを加えてお召し上がりください。コリアンダーがない場合には、セロリやキュウリでも代用可能です。ヴィーガンの場合、台湾の定番家庭料理である「トマトと卵の炒め物」のスクランブルエッグをスクランブル豆腐として代用しても美味しいです。
6_LIN9322 (Copy)▲ゆばを使った料理はシンプルでありながら大豆の香りが楽しめます。

豆花
天然のアーモンド粉を使った、万味豆府の杏仁豆花は、シンプルでさわやかな味わいが特徴。砂糖と一緒にお湯で煮て、シロップを加えるとおいしくお召し上がりいただけます。豆乳のコクが好みの方は、シロップの代わりに豆乳に浸してお召し上がりください。
7_LIN9342 (Copy)▲豆花は香ばしい豆乳に浸して食べるのが本格的な台湾の食べ方です。

 

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