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​​​​​​​台北のプラスチック革命 (TAIPEI Quarterly 2022 冬季号 Vol.30)

アンカーポイント

発表日:2022-12-29

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TAIPEI #30 (2022 冬季号)


台北のプラスチック革命
文:Jenna Lynn Cody 編集:下山敬之  写真:Taiwan Scene、台北市観光伝播局

台湾ではこれまで20 年にわたり、使い捨てプラスチックの使用量削減の重要性を主張してきました。この主張の中には、国内の小売店におけるビニール袋や使い捨てストローの段階的な禁止、マイカップを持参した利用客に対してNT$5 以上の値引きを行うといった施策が含まれています。

P1070308-Edited (Copy)▲サステナブルの議題は多くの人が意識していますので、環境にやさしいアイテムも台北によく販売されています。

2023 年7 月からは政府の規定によってポリ塩化ビニルを使ったパッケージの使用が禁止となり、パッケージには再生紙が90%以上含まれているもの、またはサステナブル素材が25%以上含まれたものの使用が義務化されます。

これらの活動は、プラスチックの使用量削減という国際的な要望に、迅速に対応することが目的です。現在、マイボトルやサステナブルな食品容器、マイカトラリーの所持、エコバッグの使用は世界的なトレンドとなっています。

変革を支援
国内で初めて使い捨てカップの使用を禁止するなど、サステナブルな社会に向けた動きを率先して行っています。

2022年12月より施行されたこの政策によって、プラスチックカップの年間使用量は7600万個、重さにして900トンの削減ができる見込みです。台北市民もまた、サステナブルなカップの提供や代替品への移行を後押しすることで、この変革を支援しています。さらに一部の市民は、ミニマルなライフスタイルを実践することで、台北の「プラスチック革命」を後押ししています。こうしたライフスタイルの変化の例として、サステナブルな物の使用、ガラスの瓶やボトルなどのリサイクル、パッケージフリーの商品を購入するといった行動が挙げられます。

20221201_164057-2 (Copy)▲プラスチックの使用量削減の施策によってRe Cup のマシンが設置されています。( 写真/ 台北市観光伝播局 )

実際、台湾各地にはすでに「パッケージフリー」の店舗が増え始めているのです。今回は、このトレンドについてさらに理解を深めるべく、MRT中山国小駅近くの錦州街にあるパッケージフリーカフェ「三時生活実験室」の創業者である呉思儒(ウー・スールー)氏とアシスタントの郭子嘉(グオ・ズージャー) 氏にインタビューを行いました。

P1070364-Edited (Copy)▲創業者の呉氏とアシスタントの郭氏はプラスチックフリーの施策に取り組んでいます。

増加するエコフレンドリーな生活
プンした三時生活実験室のコンセプトは、友人8人でプラスチック問題の効果的な解決策を議論しているときに誕生しました。「台湾の人たちはみんなこの問題に関心があります。だから私たちはこのコンセプトの実現を支援し、共に実践できる専門家やデザイナーの人たちに連絡をしました。それを形にしたのが生活実験室です」と呉氏は話します。

生活実験室は当初、錦州街の旧倉庫エリア内のカフェというコンセプトでした。同店では紙製のカップを使用せず、さらに合成肥料や農薬を使用しない、高コストな小規模農家と提携しています。その後、商品をより効率的に配送できるように、地元産の作物を販売している農家と提携して、消費者と農家のつながりを深めています。

「生活実験室はパッケージフリーを導入した初めてのお店です」と呉氏は誇らしげに話します。「これまで5年間営業をしてきましたが、お客様からの評価は年々上昇しています。当店のお客様はお店のコンセプトに賛同してくださっています。台北は従来どおりのパッケージを使用しているコンビニやスーパーが多いですが、人口が多いこともあって他の地域よりもパッケージフリーの施策は成功しています」と話してくれました。

また、三時生活実験室では、環境保護とサスティナビリティに関する情報を発信。エコフレンドリーの重要性をテーマにした議論の場を作り、環境に対する意識の改善に一役買っています。呉氏と郭氏は、台北に住む人々の間でこの問題に対する意識が高まり、代替策を受け入れ、自身の選択肢として落とし込んでくれることを願っています。

P1070345-1-Edited-2 (Copy)P1070293-Edited-2 (Copy)P1070303-Edited-2 (Copy)▲消費者自身は持参した容器に豆、穀物、油や洗剤などを入れることができます。

「サスティナブルな習慣を受け入れることは、新たなライフスタイルを築くことにほかなりません。コンビニに行くのか、パッケージフリーのお店に行くのか、選択肢は2つです。しかし、政府や各業界は便利さを犠牲にするパッケージフリーというコンセプトを実践することができずにいました。また、環境保護を優先するとコストもかかってしまうことから、選択が難しかったのです」。

エコフレンドリーに向けた歩み
この考え方を推進するため、三時生活実験室では環境への意識を高める宣伝イベントを開催しているほか、本や衣服の交換会、トークセッションやワークショップを実施。あるイベントでは、自分たちができることについての簡単なディスカッションを行ったり、参加者にプラスチック包装を減らす方法の紹介をしたりしています。

その一例がワークショップで行っているサステナブルなミツロウラップ作りです。これは布をミツロウでコーティングするだけでよく、繰り返し使用が可能です。また、ミツロウラップの作り方だけでなく、何度か使ってミツロウが剥がれてきたあとの修復方法も学べます。

「ただ買うのではなく、やり方を学んで、自分で作りだすことが大切です。ミツロウラップは、補修方法さえ学べば自分で手入れをすることができます」と郭氏は紹介してくれました。

P1070338-Edited (Copy)▲従来のプラスチックを使用したラップは、ミツロウを使ったラップで代用が可能です。

三時生活実験室の普段の業務は、店舗の運営だけでなく、トークセッションやワークショップ、小規模農家との提携などが含まれますが、そこには特にプラスチックを主とする廃棄物の削減という哲学が反映されています。店内に並んでいる穀物用ディスペンサー、重曹入りの大きなガラス容器、竹製歯ブラシを入れた瓶などは、いずれも廃棄物を使用していません。また、基本的にはパッケージがない状態で販売されていて、法律上梱包が必要となるシャンプーやボディケア用品などの液体商品は、大きめの箱に入れて販売しています。入口では、マイバッグやボトルを持参できないお客向けに、中古のガラス容器の販売も行っています。

P1070290-Edited2 (Copy)▲ガラス瓶に保存された豆や穀物は、プラスチック容器とは違いディスプレイとしても最適です。

二人によれば、数ある商品の中でも花蓮県のシャンプーブランド、「平方家」の商品が一番人気。加えて、ほとんど全ての家庭用品を洗浄できる過炭酸ナトリウムは便利で、プラスチック容器も不使用なので人気の商品だそうです。

商品の購入は錦州街の店舗でもできますし、オンラインでも注文を受け付けています。オンラインの場合は中古の容器を使って台北市内へ配送してくれます。

プラスチック削減革命
新型コロナウイルスによって外出しない人が増え、日々の生活から無駄なものを減らす必要が出てきたことで、お店の売上は増加したと二人は話します。呉氏はさらに、環境化学工学を学んでも、理想とする目標に必ずしも到達できるわけではないと付け加えます。しかし、数多くのチャレンジを乗り越えながら事業を展開してきた二人にとっては、たとえそれが容易でなくとも貫くことが大切なのだそうです。

「まだこれからです」と呉氏は繰り返します。「私たちが環境に優しい生活を望むのであれば、自分の行動と文化を変えなければいけません。その過程で様々なことを試し、時には多くのものを費やすことも必要です。中には理解できない人もいますが、少なくとも私たちのお客様はそういった意識を受け入れてくれています」。

呉氏と郭氏は環境に優しい生活を実践する最高の方法は、ポリシーであると話します。ポリシーは人々への教育を行い、行動を変えることができます。その一例がサステナブルなカップです。以前のドリンクスタンドでは、マイボトルの販売はしていませんでしたが、現在はほとんどの店舗で販売をしています。これは人々の意識が変わり、新しい習慣が受け入れるようになった好例と言えるでしょう。

P1070317-2 (Copy)▲環境問題に関心を持つ人々に愛用されるステンレス製ボトルとストローです。

最近、再利用コップのサステナブルプロジェクトを推進している台北市では、最近になって再利用可能なカップの無料レンタルサービスが始まりました。市内各地にはカップをレンタルするためのキオスクの設置が進んでいるほか、多くの飲料店でもレンタルサービスがスタート。

マイボトルを持参した人、キオスクでカップをレンタルした人はNT$5 以上の割引が受けられます。こうした政策の推進によって、台北市では使い捨てカップの大幅な削減が期待されています。

呉氏によると、一番大きな問題は容器を提供していないお店に、マイボトルなどを持参していないお客さんが来た時の対処だそうです。予定になかった買い物をするお客さんに対して、お店側がどのような対応ができるか。「一つの方法としては、再利用可能な容器を提供することです。使用後は再利用のために回収場所を設置したり、他の店舗でも回収ができるようにします。一部の国では、カップを提供した場合は、いくらか料金を払ってもらい、他の店舗へ送っています。みんなで力を合わせれば、問題は必ず解決できます」と呉氏は言います。

P1070370-Edited (Copy)▲ガラス瓶は再利用可能なので、プラスチックごみの削減するのにいいアイテムです。

パッケージフリーの施策は全ての人が賛同しているわけではありません。コストの高いサステナブルな方法を採用すると、他の必需品にかけるお金が不足するためです。呉氏と郭氏は、一つの解決策で全ての問題が解決するわけではないので、様々な方法を模索する機会を求めています。例えば、前述したミツロウは繰り返し使用ができますし、乾燥したヘチマは天然のたわしとして長期間使用できます。こうしたサステナブルな物同士を交換できる仕組みができるのがベストです。

「外的コストという考え方があります。例えば、安い商品は環境を傷つけてしまうので、環境の保全に別なコストが発生しています。これらを理解してもらうためには、様々なコミュニケーションが必要です」と呉さんは付け加えます。

P1070282-1 (Copy)▲「買い物をすることで、あなたの望む世界に近づきます」この言葉は彼らの信念です。

三時生活実験室では、「環境に優しい」とは、サステナブルな方法と簡単でお金のかからない方法のいずれを選ぶかという選択だと結論づけています。台北では、自然環境を守るという選択肢の方が有益であると理解する人が増えていて、国際社会におけるプラスチックフリーというトレンドを牽引する都市になっています。

 

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