発表日:2023-09-11
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TAIPEI #33 (2023 秋季号)
台北の秋のご馳走 3軒のバーベキュー店と、ご自宅での調理方法
文 朱寬元
編集 下山敬之
写真 新村站着吃烤肉、朱寬元
▲お肉をハサミで切って焼き加減を確認しましょう。(写真・新村站着吃烤肉)
台北では秋が深まると、中秋節に満月を眺めながら愛する人とバーベキューをするのが定番になっています。
そのきっかけには、1970年代に放映されたバーベキューソースの広告の影響であるとか、メーカーが海外輸出に失敗して国内にバーベキューグリルが普及したためであるとか、諸説があります。
このユニークな現象の由来が何であれ、愛する人とのバーベキューは、台湾のあらゆる階層の人々が楽しむ時間です。
国際色豊かな国際都市である台北では、様々な文化のバーベキューを目にすることができます。本記事では特筆すべき3つのスタイルをご紹介します。さらに、DIYバーベキューのヒントやレシピも掲載されていますので、お祭りのご馳走作りにご活用ください。
モンゴル式 — 大戈壁蒙古烤肉
CNNが2017年に「世界最高のバーベキューの1つ」と評したモンゴル式バーベキューは、実は台湾で発明されたものなのです。その調理法は、他の多くのグリルバーベキューとは異なっています。
最初のモンゴル式バーベキュースタンドは、伝統的な中国喜劇で知られるクロストーク・アーティストの吳兆南氏が1951年に開いたとされています。興味深いことに、この料理はモンゴルとはほとんど関係がありません。実のところ、彼は故郷である北京のバーベキュースタイルにインスピレーションを受けて「北京式バーベキュー」と名付けたかったのです。しかし、中国の首都を取り巻く政治的な事情に配慮して、呉は代わりに「モンゴル式バーベキュー」という名称を選びました。
▲台北を訪れる際は大戈壁蒙古烤肉へ足を運びましょう。
モンゴル式バーベキューは、中国の炒め物や日本の鉄板焼きに似ており、これら2つのスタイルに影響を受けたと考えられています。調理は円形の平らな金属面の上で行われ、シェフはスライスした肉、野菜、ソースを木箸で手早く炒めます。
台北の中心部に位置するダゲビは、シェフの見事な腕前を堪能できるモンゴル式バーベキュー店です。トレードマークの金属面の上でシェフが優雅に箸を動かす様子は、食欲をそそる香りが漂う前から満足感をもたらしてくれます。
▲モンゴル式焼肉は他とは異なり、大きな金属製の鉄板の上で調理をします。
食材の豊富さに迷ってしまいそうな方のため、このレストランでは誰でも簡単にできるレシピを提案しています。すべてのソースをスプーン1杯ずつ使うこともできますし、シェフ特製レシピの特製ソースでシンプルに味わうこともできます。モンゴル式バーベキューでは、牛肉、鶏肉、豚肉、豚バラ肉、羊肉など様々な肉を楽しむことができます。そして、麺、ネギ、タマネギ、緑色野菜、豆腐、モヤシ、エノキ、ニンジン、トマトのピクルスなど、カスタマイズ用の具材も豊富です。
日本式 —大阪燒肉燒魂
日本式バーベキューなら、台北で日本人に最も人気のある場所の1つ、中山北路一段付近の條通エリアにたくさんのお店があります。
▲大阪焼肉焼塊は、台北の條通エリアにある本格的な日本式の焼肉店です。
日本人創業者の宮澤寬竹氏が設立した焼肉店「燒魂」は、本格的な和食空間を提供しています。店内の装飾や雰囲気は心地よく、大きな声で元気よく迎えてくれる店員のもてなしは、熱々のグリルを囲む人々を心温まる体験へと誘います。
牛肉がメインであるこのお店では、看板メニューの1つであるネギハラミがお勧めです。ハラミは、外はカリカリ、中はミディアムの焼き加減で調理されます。さらに、たっぷりのネギがまぶされます。ネギが柔らかな肉によく合い、食感の脂っこさを抑えてくれます。
壺漬けカルビは特に食べ応えがあって美味しいです。味噌で味付けされたカルビがミディアムウェルで焼かれた後、素晴らしい甘味が加えられます。
大阪スタイルの日本式バーベキュー店として、牛ホルモンの種類が豊富なことも、焼肉店「燒魂」を際立たせる魅力の1つです。このお店では、牛の動脈と上胃(第一胃)が大変ユニークで美味しいです。いずれも牛の味わいが強く、動脈はコリコリと歯切れよく、胃には心地よい歯応えがあります。
韓国式 — 新村站着吃烤肉
ソウルのランドマーク的存在であるバーベキューレストラン、延南站着吃の初の支店として、韓国式バーベキュー — 新村站着吃烤肉では、韓国の伝統を象徴する、油樽グリルで焼いた立ち食いバーベキューを味わうことができます。
▲新村站着吃烤肉のサガリは品質が高く、味付けも完璧です。(写真・新村站着吃烤肉)
活気あふれる店内では、韓国のコンビニ風の冷蔵庫に様々なおかずが並び、韓国の日常風景が食事体験を盛り上げます。お勧めはキムチと海藻です。ご飯、レタス、海苔も、脂っこいメニューとのバランスを取るのに適しています。
▲新村站着吃烤肉は、ドラム缶の焼き台を使った立ち食い式が特徴です。(写真・新村站着吃烤肉)
このお店のお勧めは、韓国の本店と同じくオーストラリアの牧場から取り寄せた、牛肉のサガリです。サガリは本場韓国のバーベキューソースで下味を付けた後、油樽グリルで調理します。下味のプロセスで、韓国風の甘辛い味も加わります。文句なしの美味しさです。
イベリコ豚も欠かせません。牛肉とは異なり、豚肉はマリネされておらず、代わりに塩が添えられます。
楽しい雰囲気、韓国料理、様々な味が味わえる人気焼酎、そして活気あるドリンクイベントによって、70年の歴史を持つこの韓国のランドマークは台北でも人気を獲得しました。
台湾式 — DIYスタイル
台北では、自分でグリルを設置して楽しむ台湾式バーベキューも人気です。グリルバー夢婆炭火小酒館のオーナーでプロのバーベキューシェフ、ザック・リンさんが、DIYバーベキューのコツを教えてくれました。
▲台湾式焼肉をより楽しむ方法。
準備作業
DIYバーベキューをする際に、グリルの下でうまく火をおこすには、特別な技術が必要です。
簡単なDIYグリルと炭は、チェーン店のスーパーマーケットで買うことができます。従来のライターと火口の他に、ザックさんは火をおこすとき、特に便利なブロートーチもお勧めしています。
3×8~10センチほどの炭をグリルの下に敷きます。ジェンガゲームをするときのように、塔の形に積み重ねましょう。こうすることで、酸素がタワーを通り抜けて熱が均等に広がります。
炭が赤くなるまで加熱しましょう。タワー土台の部分が赤くなったら、燃えている炭から他の部分にも熱が行き渡るように、タワーを均等に崩します。
バーベキュー本番
ここでザックさんは、グリルの火加減を判断する面白い方法を1つ教えてくれました。手のひらをグリルから10センチ離してかざし、どれだけ耐えられるか試してみましょう。3秒しか耐えられないのなら、グリルは強火にないっています。5~7秒耐えられるのであれば中火、10秒なら弱火です。火力を調節するには、グリルから真っ赤に焼けた炭を取り出すか、少しずつゆっくりと水をかけましょう。その後、必要に応じて燃える炭を足して火力を強めます。
肉を焼くには強火がお勧めです。バーベキューで牛肉のスライスを完璧に焼くコツは、裏返さずに片面を焼くことです。上面が肉汁でいっぱいになったら、肉を裏返してほんの少し火を通せば出来上がりです!
中火や小火は、天麩羅や豬血糕のような台湾バーベキュー独特の食材に最適です。ここで棒を使うと、食べ頃かどうかを確認することができます。棒で刺して感触を確かめましょう。外がカリッとして、中が柔やらかくなったら食べ頃です。焼くときには台湾式バーベキューソースを使うことをお忘れなく!
🍢リバーサイドパークスペ シャルイベント会場
🍷過度の飲酒は健康に害を及ぼします
台北の秋のご馳走 3軒のバーベキュー店と、ご自宅での調理方法
文 朱寬元
編集 下山敬之
写真 新村站着吃烤肉、朱寬元
▲お肉をハサミで切って焼き加減を確認しましょう。(写真・新村站着吃烤肉)
台北では秋が深まると、中秋節に満月を眺めながら愛する人とバーベキューをするのが定番になっています。
そのきっかけには、1970年代に放映されたバーベキューソースの広告の影響であるとか、メーカーが海外輸出に失敗して国内にバーベキューグリルが普及したためであるとか、諸説があります。
このユニークな現象の由来が何であれ、愛する人とのバーベキューは、台湾のあらゆる階層の人々が楽しむ時間です。
国際色豊かな国際都市である台北では、様々な文化のバーベキューを目にすることができます。本記事では特筆すべき3つのスタイルをご紹介します。さらに、DIYバーベキューのヒントやレシピも掲載されていますので、お祭りのご馳走作りにご活用ください。
モンゴル式 — 大戈壁蒙古烤肉
CNNが2017年に「世界最高のバーベキューの1つ」と評したモンゴル式バーベキューは、実は台湾で発明されたものなのです。その調理法は、他の多くのグリルバーベキューとは異なっています。
最初のモンゴル式バーベキュースタンドは、伝統的な中国喜劇で知られるクロストーク・アーティストの吳兆南氏が1951年に開いたとされています。興味深いことに、この料理はモンゴルとはほとんど関係がありません。実のところ、彼は故郷である北京のバーベキュースタイルにインスピレーションを受けて「北京式バーベキュー」と名付けたかったのです。しかし、中国の首都を取り巻く政治的な事情に配慮して、呉は代わりに「モンゴル式バーベキュー」という名称を選びました。
▲台北を訪れる際は大戈壁蒙古烤肉へ足を運びましょう。
モンゴル式バーベキューは、中国の炒め物や日本の鉄板焼きに似ており、これら2つのスタイルに影響を受けたと考えられています。調理は円形の平らな金属面の上で行われ、シェフはスライスした肉、野菜、ソースを木箸で手早く炒めます。
台北の中心部に位置するダゲビは、シェフの見事な腕前を堪能できるモンゴル式バーベキュー店です。トレードマークの金属面の上でシェフが優雅に箸を動かす様子は、食欲をそそる香りが漂う前から満足感をもたらしてくれます。
▲モンゴル式焼肉は他とは異なり、大きな金属製の鉄板の上で調理をします。
食材の豊富さに迷ってしまいそうな方のため、このレストランでは誰でも簡単にできるレシピを提案しています。すべてのソースをスプーン1杯ずつ使うこともできますし、シェフ特製レシピの特製ソースでシンプルに味わうこともできます。モンゴル式バーベキューでは、牛肉、鶏肉、豚肉、豚バラ肉、羊肉など様々な肉を楽しむことができます。そして、麺、ネギ、タマネギ、緑色野菜、豆腐、モヤシ、エノキ、ニンジン、トマトのピクルスなど、カスタマイズ用の具材も豊富です。
日本式 —大阪燒肉燒魂
日本式バーベキューなら、台北で日本人に最も人気のある場所の1つ、中山北路一段付近の條通エリアにたくさんのお店があります。
▲大阪焼肉焼塊は、台北の條通エリアにある本格的な日本式の焼肉店です。
日本人創業者の宮澤寬竹氏が設立した焼肉店「燒魂」は、本格的な和食空間を提供しています。店内の装飾や雰囲気は心地よく、大きな声で元気よく迎えてくれる店員のもてなしは、熱々のグリルを囲む人々を心温まる体験へと誘います。
牛肉がメインであるこのお店では、看板メニューの1つであるネギハラミがお勧めです。ハラミは、外はカリカリ、中はミディアムの焼き加減で調理されます。さらに、たっぷりのネギがまぶされます。ネギが柔らかな肉によく合い、食感の脂っこさを抑えてくれます。
壺漬けカルビは特に食べ応えがあって美味しいです。味噌で味付けされたカルビがミディアムウェルで焼かれた後、素晴らしい甘味が加えられます。
大阪スタイルの日本式バーベキュー店として、牛ホルモンの種類が豊富なことも、焼肉店「燒魂」を際立たせる魅力の1つです。このお店では、牛の動脈と上胃(第一胃)が大変ユニークで美味しいです。いずれも牛の味わいが強く、動脈はコリコリと歯切れよく、胃には心地よい歯応えがあります。
韓国式 — 新村站着吃烤肉
ソウルのランドマーク的存在であるバーベキューレストラン、延南站着吃の初の支店として、韓国式バーベキュー — 新村站着吃烤肉では、韓国の伝統を象徴する、油樽グリルで焼いた立ち食いバーベキューを味わうことができます。
▲新村站着吃烤肉のサガリは品質が高く、味付けも完璧です。(写真・新村站着吃烤肉)
活気あふれる店内では、韓国のコンビニ風の冷蔵庫に様々なおかずが並び、韓国の日常風景が食事体験を盛り上げます。お勧めはキムチと海藻です。ご飯、レタス、海苔も、脂っこいメニューとのバランスを取るのに適しています。
▲新村站着吃烤肉は、ドラム缶の焼き台を使った立ち食い式が特徴です。(写真・新村站着吃烤肉)
このお店のお勧めは、韓国の本店と同じくオーストラリアの牧場から取り寄せた、牛肉のサガリです。サガリは本場韓国のバーベキューソースで下味を付けた後、油樽グリルで調理します。下味のプロセスで、韓国風の甘辛い味も加わります。文句なしの美味しさです。
イベリコ豚も欠かせません。牛肉とは異なり、豚肉はマリネされておらず、代わりに塩が添えられます。
楽しい雰囲気、韓国料理、様々な味が味わえる人気焼酎、そして活気あるドリンクイベントによって、70年の歴史を持つこの韓国のランドマークは台北でも人気を獲得しました。
台湾式 — DIYスタイル
台北では、自分でグリルを設置して楽しむ台湾式バーベキューも人気です。グリルバー夢婆炭火小酒館のオーナーでプロのバーベキューシェフ、ザック・リンさんが、DIYバーベキューのコツを教えてくれました。
▲台湾式焼肉をより楽しむ方法。
準備作業
DIYバーベキューをする際に、グリルの下でうまく火をおこすには、特別な技術が必要です。
簡単なDIYグリルと炭は、チェーン店のスーパーマーケットで買うことができます。従来のライターと火口の他に、ザックさんは火をおこすとき、特に便利なブロートーチもお勧めしています。
3×8~10センチほどの炭をグリルの下に敷きます。ジェンガゲームをするときのように、塔の形に積み重ねましょう。こうすることで、酸素がタワーを通り抜けて熱が均等に広がります。
炭が赤くなるまで加熱しましょう。タワー土台の部分が赤くなったら、燃えている炭から他の部分にも熱が行き渡るように、タワーを均等に崩します。
バーベキュー本番
ここでザックさんは、グリルの火加減を判断する面白い方法を1つ教えてくれました。手のひらをグリルから10センチ離してかざし、どれだけ耐えられるか試してみましょう。3秒しか耐えられないのなら、グリルは強火にないっています。5~7秒耐えられるのであれば中火、10秒なら弱火です。火力を調節するには、グリルから真っ赤に焼けた炭を取り出すか、少しずつゆっくりと水をかけましょう。その後、必要に応じて燃える炭を足して火力を強めます。
肉を焼くには強火がお勧めです。バーベキューで牛肉のスライスを完璧に焼くコツは、裏返さずに片面を焼くことです。上面が肉汁でいっぱいになったら、肉を裏返してほんの少し火を通せば出来上がりです!
中火や小火は、天麩羅や豬血糕のような台湾バーベキュー独特の食材に最適です。ここで棒を使うと、食べ頃かどうかを確認することができます。棒で刺して感触を確かめましょう。外がカリッとして、中が柔やらかくなったら食べ頃です。焼くときには台湾式バーベキューソースを使うことをお忘れなく!
🍢リバーサイドパークスペ シャルイベント会場
ヘチマと二枚貝の炒め物(蛤蜊絲瓜) 材料:ヘチマ、二枚貝、ビール(または他のアルコール)、塩、その他お好みの香辛料。
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エノキのバター焼き(奶油金針菇) 材料:エノキ、バター、黒胡椒、塩、ニンニク、その他お好みの香辛料。
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大戈壁蒙古烤肉 🚩中山区松江路152号3階 🕑 11:00~15:30 17:00~21:00 大阪燒肉燒魂(林森本店) 🚩中山区新生北路一段132号 🕑 17:30~00:00(日、月) 17:30~02:00(火~土) 新村站着吃烤肉 🚩信義区忠孝東路五段159号 🕑 11:30~01:00(土、日) 11:30~15:00(月~木) 17:00~01:00 11:30~15:00(金) 17:00~02:00 |
🍷過度の飲酒は健康に害を及ぼします
関連写真
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